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2025.05.27
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カテゴリ: 報徳記を読む
報徳記  巻之六   【4】先生下館の分度を定む その2

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[報徳記&二宮翁夜話] 197

「安居院庄七と鷲山恭平」を本年2月出版しました。本書は安居院庄七の生誕地・秦野市及び足柄上郡各町の教育委員会を通して、秦野市立図書館・同公民館図書室・全小学校・中学校に寄贈し、図書館・公民館図書室では「貸出中」となっています。神奈川県では伊勢原市、相模原市、平塚市、藤沢市、松田町の各図書館で閲覧できます。
 また安居院庄七が主に報徳活動を行った遠州各地の図書館でも多く所蔵されています。終焉の地、浜松市の全図書館にも寄贈し、浜松市立中央図書館と11の図書館で貸出ができます。静岡県内では御殿場市、富士宮市、沼津市、袋井市、湖西市、森町の各図書館で閲覧できます。
また東京都立図書館の蔵書にもなっております。なお「安居院庄七と鷲山恭平」の本は、大日本報徳社で販売しています。


おおよそ国家の衰弊が極まるというのは、君は君の道を失い、臣は臣の道を失うためです。これを再復しようと欲する時は、君は群臣に先立って艱難を尽し、臣下は恩禄を辞退し、自己の勤労で生計の道を立て、一致した力で国の憂いを除く時には、たとえ何十万の借金であっても償却すること十年を待ちません。このようにして上下の永安を得るに及ぶならば、君臣ともに「艱難に素(そ)して艱難を行いたり」というべきでしょう。そしてこれを争戦粉骨の労に比するならば、なおやさしいことは同日の論ではありません。どうして成就しがたい事がありましょう。たとえ人情が世も末となり君の経済的に援助を残らず辞退して、この事を成就することができないとしても、国の米穀が減少して経済的に援助する米や金がなく、他から借金してこれを渡し、このために年をたつに随って危亡に瀕しようとしている。そして経済的に援助を受けて自分は安心しているに及んでは、間違いもまたはなはだしいではありませんか。君も国家の憂いを次第に大きくして一藩を経済的に援助しようとするのは君の過ちです。たとえ君が過ってこのようにされても、臣下はどうしてこれを受けるべき道が有りましょう。これは君臣ともに至当の道を失っているというのは誤りでしょうか。今、国の患いを消除するに他はありません。君はこの道理を明らかにして一藩に示し、国にないものを取ろうとする心を改めて、艱難の天命に随って大借を皆済するならば、必ず艱難を免れることは疑いありません。このために借金1年の利息分を上下の必要な費用として計上し、その減少を計算すると平均の分度の内2割8分を減少するのに相当します。これが自然の天命であって人間が勝手に作ったわけではありません。この減数で君の必要な費用、一藩の経済的な援助を節制し、その余は決して得るべき道がない事を説明し、艱難を尽して年々利息を支払うならば、3万両の借債は減ずることができなくても、毎年に増借のわざわいは免れるでしょう。もしこの自然の分度に安んずることができなければ、国家一粒の出る所がなくなるに及ばなければ止むことがないでしょう。」と教えさとされた。
 家老以下非常に至当の論を感激してこの事を行いましょうと言い、下館藩に帰ってまず君に申し上げて、次に一藩に示して減少当然の必要な費用を立てることができた。分度が既に定まって一藩が艱難に対処して行った。家老以下は再び桜町に来てこれを先生に告げた。
先生は喜ばれて言われた。
「下館の君臣上下が天命を知ってその本が既に定まった。この時に当って負債を償却する道を設けなければなりません。」と。
ここに数日沈思黙慮してついに数巻の書を作成して、これを家老以下に示して言われた。
「今、君臣ともに艱苦に安んじ年々利子を支払う道が備ったといっても、元金3万両はいずれの時に減少することがありましょう。減少しない時には国に患いは消え除く時はありません。しかしながらこれを減じようとするのに一金でさえ出所がありません。やむを得ず、元金減少の道をあれこれ考えるにここに一つあります。来年の1月2月の両月の国用の米財に私の仕法の米金を贈ってこれを補い、7月8月の両月の米財は下館の町の富な商人は常に君家の用財を処理してきたもの8戸でこれを補い、さらに宗家石川侯は慈仁で憐れみの心が深い。今、下館藩の君臣が艱難を尽して以前からの衰弊を挙げて永安の政治を行おうとすることをくわしく述べれば、必ず補助をなされることでしょう。そうであれば3月4月5月6月の4ヶ月の用財を補ってくださるよう求めるべきです。下館藩が再復するならばその時になって本家並びに商家の出財を償うことははなはだやさしい。このようにして当年は下館領村の租税で借金を償うべきです。そうであれば元金の数多くを減じて、従来利子として支払っていた金のうち数多くの財が余るようになるでしょう。これで毎年に元金を償却するならば、ついに3万両の借金を償却することは難しくありません。」 と。
家老以下先生が仁でありさらにすぐれた知恵を備えていることを感嘆して、非常に喜んでこの事をくわしく本家に申上げた。本家は先生の誠意に感銘して4ヶ月の用財を贈られた。
先生はまた下館の商家8人を呼んで、国家を再盛し上下の艱難を除いて、永安の道を得る大理を教え諭し、前のように告げた。

「私たちの家の財産をことごとく出しても、君命であれば承諾しなければなりません。今、先生が下館藩における、少しも縁も理由もないのにこれを旧復するために多くの苦しみを尽し、そればかりでなく数多くの米財を贈られることはその恩に感謝する所を知りません。私たちの出財はもとから願う所です。」と言う。
ここで一年の貢税で遅延することが難しい負債を先立ってこれを償却し、元金の数多くを減じた。これが3万余両の負債を償却した始めである。

報徳記

巻之六【4】先生下館の分度を定む その2



此(こ)の如くにして上下(じやうげ)の永安を得るに至らば、君臣共に艱難に素(そ)して艱難を行ひたりと云(い)ふべし。
而(しか)して之を爭戰(さうせん)粉骨の勞(らう)に比(ひ)せば、猶(なほ)易々(いい)たること同日の論に非(あら)ず。
何(なん)ぞ成し難き事か之有らん。
僻令(たとひ)叔世(しゆくせい)の人情(にんじやう)君の扶助(ふじよ)を殘(のこ)らず辭(じ)して、此(こ)の事を成すこと能はずと雖(いへど)も、國(くに)の米粟(べいぞく)減少して扶助の米金(べいきん)なく、他の財を借りて之を渡し、之が爲(ため)に年を經(ふ)るに隨ひ危亡に瀕(ひん)せんとす。
而(しか)して之を受けて自ら安しとするに至りては亦(また)甚しからずや。
君(きみ)も國家(こくか)の憂ひを増長して一藩を扶助せんとし玉ふは君の過ちなり。
僻令(たとひ)君(きみ)過ちて此(こ)の如くし玉ふと雖も、臣下何を以(もつ)て之を受くべきの道有らん。
之を君臣共に至當(したう)の道を失ひたりと云ふは非邪(ひか)。
今國患(こくくわん)を消除(せいぢょ)する他(た)なし。
君(きみ)此の道理を明かにし一藩に示し、國(くに)になきものを取らんとするの心を改め、艱難の天命に隨(したが)ひ大借(たいしやく)を皆濟(かいさい)せば、必ず艱難を免れんこと疑ひあるべからず。
是の故に借債一年の利息を出(いだ)せるものを上下(じやうげ)の用度(ようど)に配し、其の減少を算(さん)するに平均分度(ぶんど)の内二割八分の減(げん)じに當(あた)れり。
是(これ)自然の天命にして人作(じんさ)に出るにあらず。
此の減數(げんすう)を以て君の用度(ようど)一藩の扶助を制し、其の餘(よ)は決して得(う)べきの道なき事を辨明(べんめい)し、艱難を盡(つく)し年々利息(りそく)を送らば、三萬金(まんきん)の借債(しやくざい)は減ずることを得(え)ずと雖も、毎年(まいねん)に増借の殃(わざはひ)を免(まぬが)るべし。
若(も)し此の自然の度(ど)に安んずることあたはずんば、國家(こくか)一粒(りふ)の出所なきに至らずんば止むべからず 
と教誨(けうくわい)す





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最終更新日  2025.05.27 00:00:19


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