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2025.06.24
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カテゴリ: 文学
■木谷ポルソッタ倶楽部・2005/1/27
【拙著出版喜涙始末記】
「あなたの書いた由布院の本が欲しいのですが」
今日一日中、そのような電話が次から次へとかかってきた。それも、佐賀県、山口県、福岡県とかなり遠くからなのだ。今朝の西日本新聞に、拙著の『由布院の小さな奇跡』についての記事が掲載されたらしいのだ。
年末に記者のIさんが取材に来た。
「本社の人から電話があって取材に来ました」
本社の人とはKさんのことだろう。本を送っていた。
新刊案内か書評に取り上げてもらえればと考えていたのだ。
大分合同新聞のKさんが話してくれた。
「木谷さんよ、新聞に載るということは、結構、効果があるんだよ」
そのKさんも自ら書評を書いて拙著のことばかりか、私の人生についても語ってくれた。拙著『由布院の小さな奇跡』の発行の際にはいろいろな出来事が起きた。
「中谷さん、溝口さん、亀の井別荘、玉の湯のことをどんどん書いて下さい」
新潮社の編集者から言われた。由布院、中谷さん、溝口さん、亀の井別荘、玉の湯、その文語だけで本は売れるだろうというのだ。そういうものかな。
私は中谷さんと溝口さんへ取材に行った。
「私たちふたりや私どもの宿のことよりも、由布院で頑張っている多くの人たちのことを書いて欲しいのです。
由布院のまちづくりは何をやってきたか。

そのことを木谷流に綴って欲しいのです」
由布院の人たちはマスコミや雑誌社の人たちへは次から次へと話をする。由布院を知ってもらうためだ。
しかし、私が話しかけると態度がガラッと変わった。
「私の本を発行したいと思ってます。
 ところで、あなたのお話を聞かせて下さい」
そう尋ねると、由布院の人たちは、一瞬、呆れて、
やさしく微笑みながら酒を勧めてくれた。
そして、文字にできない話を聞かせてくれた。 
これがまた面白いのだ。田舎の人の話はかくあらんという感じだ。笑って笑って私は次第に酔っていった。
酔っていきながら、私は叫ぶしかなかった。
「面白いけれど、この話は文字にできない。
そうすると、私の本ができないのだ。ああ」
それでも、年末に、どうやら本が発行された。
いろいろな出来事が起きた。
泣きたくなるほどの感動もあった。
こんな私のためにこのようなことまでしてくれるのか。
感謝の念で何も言えないこともあった。
大勢の人たちの恩を感じた二ヶ月だった。
先日の休日、大分の本屋さんを巡った。トキハ。ジュンク堂、晃星堂、明星書店……各本屋の店頭に、
私の本がバカーッと平積みされていた。
「売って売って売りまくりますよ」
SさんやOさんが言ってくれていた。
しかしね、まだ、こんなに沢山も果たして売れるのだろうか。感動が不安に変わっていった。
全国、県内、県庁の方々、もしもまだ購入していない方がいたら、新潮新書『由布院の小さな奇跡』を購入して下さいな。できたら率直な感想をお聞かせ下さいな。
そう、お返しに、今度、呑む時に文字にできなかった話を聞かしましょう。ああ。
Iさんの記事は大分版にでも掲載されるのだろう。
私は思っていた。違っていた。九州版となっていた。
私の予想を裏切って少し範囲が広がっていた。
私はIさんに言っていた。
「もう少し暖かくなったら、観光地化した由布院でなく
素朴な由布院をいつか案内しましょう。
そしてね、温泉へ入って田舎料理を戴きながらキューとやりましょう」
もうすぐ二月、由布院の春が近づいている。
今年の由布院の春はどうなるのだろうか。 
――――――――――――――――――――――


 これからでもない
 一呼吸
 一呼吸の
 今である
(坂村真民詩集)





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最終更新日  2025.06.24 18:17:23


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