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2025.08.13
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テーマ: きょうは…(1688)
カテゴリ: 戦争を語る


さて毎年夏恒例の記事となりました 「戦争を語る」 シリーズです。今回は一つの戦争を取り上げた童話を取り上げたいと思います。

そのお話は 「火垂るの墓」 でお馴染みの作家・野坂昭如氏が書いた 「凧になったお母さん」 というお話です。

時は1945年 (昭和20年) 8月の神戸の街。神戸の街は度重なる空襲で、すっかり焼け野原になっていました。

この焼け跡の残骸にまぎれて一人の子供がうずくまっていました。歳は5歳ですが、その表情は老人のようにはしぼんでまったく生気はありません。そり顔つきは眼ばかり大きく見開らきはしていますが何も見えていないように瞳は動かず顔中の皮膚を口許にたくしこんでしわがよっていました。

「カッちゃん」 。彼は、この町が焼けてから今まで空ばかり見つめていました。米軍の飛行機がしきりに飛来する青空ですがそんなものには目もくれず、カッちゃんは空からきっともどって来るにちがいないお母さんを待ち続けていたのです。風に吹かれて凧のように舞い上がってしまったお母さんを・・・・。

お母さんは、きっと戻って来る。お腹も減ったし喉もかわいたけどお母さんが凧のように舞い上がった所から一歩も動かずうずくまって待ち続けていました。いつも空の上でお母さんが見ていてくれるように思い、寂しくなかったからです。

港湾施設と軍需工場があるため、神戸の町は毎日のように空襲に怯えることが多かったのです。その神戸の町でカッちゃんは育ちました。お父さんは兵隊になって南方で戦っていました。二人の住む町にB29が来襲し焼夷弾を落とし住宅地は炎え続けたのです。

この戦火の中を逃げ惑うカッちやんとお母さんは流れる汗でカッちやんをかばいつつ燃え上がる火炎に耐えて火に囲まれた公園の砂場になんとか逃げ込みました。公園を囲む家にはまだ火が燃え移っていませんでしたが、空気がだんだんと熱くなり吸う息でさえ感じられ水を探しました。しかし、水はどこにも見当たりませんでした。

「熱いよーぉ!」 とカッちゃんは泣き出しました。

お母さんはふと思いつき胸に手をあて汗をすくい取りカッちゃんの顔に 「もう少しの辛抱よ、我慢してね」 とかたりかけなからやさしく顔に移しました。

やがてお母さんの汗もつきました。カッちゃんはお母さんに頼っていると大丈夫だと信じていました。お母さんはカッちゃんの顔を見ながら、せっかく生まれてきて美味しいものも食べられず、玩具だって遊園地だってよく知らないまま死んでしまうのか。

世の中に、どんなに苦しい病気があるのか知らないけど、じりじりと火にあぶり殺されるなんて、これほどの苦痛はないだろう。どんな悪いことをしたというの、カッちゃんがお母さんは自分の悲しい思いを追いやり流れ出る涙をカッちゃんの乾いた肌へうつしていました。お母さんは、必死に子守歌を歌っていました。

「どうせ死ぬなら苦しみすくなく・・・・・」 喉の乾きったお母さんの声はカッちゃんの耳に聞こえません。

意識がもうろうとする中、カッちゃんが乳房を吸っているのを感じ、乳房をわしづかみにして母乳をしぼりだしカッちやんの口に塗ってあげましたが、突然お母さんの乳房から血が吹き出し、抱きすくめているカッちやんにしたたり流れ出ました。血はだんだんあちこちから吹き出し、まんべんもなくカッちやんにおおいつくしてしまいました。



「お母さんどこへ行くの」 カッちゃんがびっくりしてたずねるとお母さんはふだんと同じようににっこり笑います。

カッちゃんが安心してついて行くと、いつものように空襲の跡の強い風が吹き荒れてお母さんの体は宙に浮きどんどん高くのぼっていきました。 「お母さん」 とカッちゃんが呼ぶとその都度ふりかえりつつ凧のように高い青空に舞い上がり、天使のように素晴らしい姿で舞いながらやがて見えなくなってしまいました。

一人ぼっちになったカッちゃんには、もう何の気力も残っていませんでした。

8月15日。終戦の詔勅 (しょうちく)

お母さんとカッちゃんは手をとりあって真夏の太陽の輝く空にはばたきながら神戸の焼跡をはるか下に見ながら空高く昇っていきました。

この様なお話です。自らの身を削って、愛するわが子を守ったお母さん。楽しい事を何も知らずに5歳で命を落としたカッちゃん。この二人の事を思うと、いかに戦争というものが残酷で愚かなものであるかが分かってくるような気がします。

この 「凧になったお母さん」 は、アニメ映画にもなりました。

野坂昭如の名作 「火垂るの墓」 については、拙ブログでも何度か取り上げましたが、戦後80年を迎える今年だからこそ、改めて読み返してみたいものです。また8月15日には、久しぶりにTVで 「火垂るの墓」 が上映されるそうです。

二度とこのような悲しい出来事を起こさないように、改めて平和というものを一人一人考えていきたいものです。皆様からのコメントもお待ちしております。

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最終更新日  2025.08.13 05:00:05 コメント(41) | コメントを書く


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