離人症の器

離人症の器

PR

プロフィール

凪2401

凪2401

カレンダー

2012年07月08日
XML
カテゴリ: 映画。
久々になんとなく映画が見たくなって、DVDを借りてきました。
2本借りてきたんですが、そのうちの1本ですね。

ひとつは真面目っぽいのを借りたので、もうひとつはコメディでと思い、
好きな俳優さんである堺雅人さんが出ているものを選びました。

まあ、話的にはしょうもない詐欺師の話なんですけどね。

詐欺の話を聞いているとつきものの、
「何でそんなあやしい話を信じられるんだ!?」と思うこと以上の、
ありえないくらいにあやしさ満点の結婚詐欺師と、
そんな結婚詐欺師にだまされる女性たちの物語でした。


つつけばすぐに穴があきそうな、危ういウソで女性たちをだましていく、
そんなクヒオ大佐を演じる堺雅人さん、よかったですねえ。

いわゆる悪賢い、「だましてだまして、むしりとって逃走!」みたいな、
そんな悪い人じゃないというか、なんだか、憎めないんですよ。

憎めないというか、なんとももう、「おばか」で「情けない」んですね。
誰も信じないよ、というしょうもないウソの連続の果て、
銀座のおねえさんにはあっさりウソがばれて、自分がカモにされてみたり、
あるいはだましている女性の悪い弟に、あっさり見抜かれて脅されてみたり。

おおよそ、知的で冷静で冷酷な詐欺師、という像からはほど遠くてですね、
とにかく、「ばかだねえ」と呆れてしまうような、そんな詐欺師です。

そう考えると、一番最初からだまされている(結局ふたりしかだませてないんですが)、

すばらしかったんでしょうね。

こんなどうしょうもない結婚詐欺師であるクヒオ大佐に、
一生懸命ついていこうとしては貢いでしまう純粋な女性を、
しかも、「なんでこんな男に」というバカっぽさもあまり感じさせることなく、
見事に演じきっていたと思われます。



とも思ってしまいました。そういう面でも演技がすばらしかったんでしょう。

こう、つらい現実から目を背けるために、自分でもウソを本当だと信じて、
そのウソを貫き通したならば、それはやがて真実になるんじゃないかという、
そんなことしか慰めにならない、切迫した悲しみに満ちた心。

ウソをついて、ついて、現実を塗り固めて、
自分でも本当はそうなんだって信じて、
そうすることでやっと生きていかれる。

まあ、それは実際ウソだし、詐欺なんだけれども、
その人の中ではまぎれもない真実になりかわっているから、
どうしようもないのかもしれない、とも思いましたね。

いい、悪いでいうならば、当然犯罪で悪いことなんだけれども、
それだけでははかれない悲しみというものが現実にはあって。

だからそういう場合、人はわざとだまされてしまうのかもしれません。
ウソだって、冷静な部分ではわかってるんだけども、
その人の作り上げた虚飾だらけの現実に、一緒に寄り添いたくなってしまって、
無意識的に、ウソの部分に知らないふりをして、
自分もその世界を信じているだっていうウソを、貫き通そうとする。

まさに、松雪泰子さん演じる女性が、そんな感じで、
だからクヒオ大佐に思ったのとは違って、
「ばかだなあ」という感じはあまり受けなかったのかもしれません。

面白い映画でした。特に、俳優さんの演技がすばらしかったです。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012年07月08日 19時25分32秒
コメント(0) | コメントを書く
[映画。] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: