離人症の器

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凪2401

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2012年10月08日
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カテゴリ: 離人症
一気に寒くなりましたね。
最低気温は10度を下回っております。
もう、コタツが欲しい季節ですね。

さて、離人症と脳科学。
前回から脳の具体的な機能の説明に入っていました。

脳の細胞は場所によってその役割が決まっていて、
この場所の細胞は「体の感覚」担当、この場所の細胞は「視覚」担当、
というように機能的にわけることができます。

それを表したのが『ブロードマンの脳地図』と呼ばれるもので、


我々が末梢の感覚受容器(感覚を受け取る細胞)から受け取った情報は、
絶えず脳に運ばれて、リアルタイムで脳に送られ処理されて、
我々は時々刻々と変化する自分の体の状態や外界の情報を得て状況に適応していきます。

感覚受容器が受け取った段階では、
「刺激、受け取りました」という単なる細胞の反応に過ぎなかった情報は、
脳の特定の場所に運ばれて解釈されることになります。

前回までは、我々が自己身体の状況と外部環境についてを認識するためには、
触覚や筋肉・関節の感覚といった体の感覚(体性感覚、といいます)と、
眼球の網膜から来る視覚の情報とが矛盾なく統合されていることが必要で、
体性感覚情報は頭のてっぺんあたり、「エリア1・2・3」に運ばれて、
視覚の情報は頭の後ろの後頭葉に運ばれて処理される、ということを説明しました。





エリア1・2・3、つまり一次感覚野という呼ばれるところで処理された感覚情報は、
お隣のエリア5、二次感覚野というところで、更に高次の情報処理を司る部位に送られます。

このエリア5で何が起こるかというと、ここでは体の両側からの情報が統合されるんですね。

よく、脳卒中では右脳が傷つくと左に麻痺が出て、
左脳が傷つくと右に麻痺が出て、というように、


ですので、右半身の感覚情報はまず左の脳に運ばれて処理され、
左半身の感覚情報はまず右の脳に運ばれて処理されるんですね。

そうやって半分ずつ処理されていた情報が、エリア5でひとつになることで、
身体の感覚を統合して全体として把握できるようになります。

両側の感覚がわかる、ということでもっとも重要なのは、
体の真ん中がどこにあるか、ということが認識できる、ということです。

この真ん中の軸を参照して、私たちは外部空間の中に、
まっすぐな姿勢を保って身体を位置づけたり、
自分の体が外部環境に対してどういう格好でいるのか、
あるいは四肢が胴体に対してどこにあるのか、ということがわかるわけです。

自分の体をしっかり外部環境に位置づけて動かすためには、
非常に大事な機能というわけですね。

そうやってエリア5に運ばれて統合された統一的な全身の情報は、
更にお隣のエリア7、頭頂連合野と呼ばれる場所に運ばれます。

ちなみに、この7野の反対隣が、視覚野である後頭葉なのです。
『ブロードマンの脳地図』でぐぐっていただけると、一目瞭然かと思われます。

つまり、ここでようやく、体性感覚情報と視覚情報が出会うわけですね。
このエリア7で体性感覚情報と視覚情報が矛盾なく統合されてはじめて、
私たちは自分の身体と外部環境との関係について、正しく認識できるわけです。

つまり、たとえば手を握る場合であれば、
脳から手を握る指令が筋肉に届くと同時に、指を曲げる筋肉が働くわけです。
そうすると、指を曲げる筋肉から「働きました」という情報が一次感覚野に届く。
それと同時に、視覚には自分の手がこぶしの形に握られる映像が、後頭葉に届くんですね。

この一次感覚野に運ばれた情報が二次感覚野を経由して、エリア7へ行き、
同時に後頭葉に運ばれた情報もエリア7へ運ばれ、
つまりそれは、エリア7に指を曲げる筋肉が働いたと同時に、
手が握られた視覚情報が届くということですから、
その行動の結果の情報に矛盾がないな、ということで、
自分の体は自分のもので、確かに自分が動かしているんだ、
ということが把握できるわけです。

この身体状況と外部環境を認識する脳の高次機能、というものは、
確かにこの体が自分のもので、自分で動かしているのだ、という認識のために、
必須の機能であるわけです。

じゃあ、この機能が障害されてしまったらということで、
それはまた次回へと続きます。




ちなみに、ですね。
エリア7に運ばれた体性感覚と視覚の情報は、
その下にあるエリア39・40、下頭頂小葉という部分に運ばれます。

ここはですね、聴覚や記憶や言語機能の一部を司る側頭葉と隣あうところで、
体性感覚と視覚に加え、それらの情報と統合されます。

したがって、ここに運ばれることで、
自分が置かれた状況に意味が与えられることになります。

そうしてその情報が前頭葉の方に運ばれて、新たな行動を起こし、
その結果がまた脳の感覚処理領域に運ばれて処理されて……
ということで、知覚と活動は循環していくことになります。

余談でした。







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最終更新日  2012年10月08日 19時53分39秒
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