離人症の器

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凪2401

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2013年06月30日
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カテゴリ: 読書メモ。
ずーっと気になっていたはずなのに、いつの間にか忘れていた本を、
本屋さんで見つけてやっと購入しました。

忘れていたなら気になってないんじゃ、という矛盾については、
いつものごとく自己スルーしておくことにします。

ただ、気になっていたとは言っても、
タイトルと表紙の絵がラ・トゥールだということだけで気になっていまして、
中身に関してはあんまり知らなかったのですね。

しかししかし、こんなに面白い本だとは思いませんでした。
放置していた自分がうらめしいぐらいです。



『読み終わった途端、われ知らずつい口に出た。絵ってすごいなあ』
『「名画の見方」を借りた、知的でスリリングな文学体験』


帯に書かれている書評の抜粋ですが、まったくもって、誇張じゃありませんでした。

この本を読むと、絵の見方ががらっと変わりますし、
絵画の謎を解き明かしていく中野京子氏の文章は、
まさしく上質なミステリーのそれだと思えます。

この本では中世から近代にいたる様々な様式の20の絵画について、
その絵の描かれた時代背景、画家について、絵画の様式や寓意などなど、
様々な見地から絵画にこめられた意味を解き明かされていきます。

とりあげられる作品は、ドガの踊り子、ティントレットの受胎告知、
ブリューゲルの絞首台の上のかささぎ、といったメジャーなものから、

有名画家のマイナーな絵まで多岐にわたっています。

この、絵について語る中野京子さんの文章がほんとうにすばらしいのです。
知識にほれ込んでしまいます。

絵画の鑑賞体験というものを、視覚的な「すごい」「きれい」で終わらせない、
その絵画が表している人間の本質や社会・時代の本質に、


画家の無意識まで切り込んでいるんじゃないかと思わせるぐらいの、
どこまでもその絵画の秘密を暴いていこうとするその姿勢や情熱に、
ぞくぞくしてしまうぐらいでしたね。

1日1作品、と決めて大事に読み進み、読了すると同時に続きを買ってきてしまいました。
また1日1作品ずつ、じっくり読み進めていくつもりです。







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最終更新日  2013年06月30日 18時50分23秒
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