成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.04.28
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カテゴリ: バス産業
赤字にあえぐ岩国市交通局が、局100%出資の民間会社を立ち上げ路線の一部を新会社に移管する話は以前から聞いていたが、 その役員(社長?)を公募すると発表 された。そもそも赤字の穴埋めのために公営交通でありながら高速バスに進出したりしていたし、まだ30代の若い市長さん(私の2歳年上。本当に若いのに立派だなあ…)だから思い切ったことをなさる。

私が、面白いなあ、と半ば苦笑するのは、新会社を立ち上げることにしても今回の公募にしても、「民間の感覚」に期待されているところだ。上記リンクの新聞記事にも交通局の局長の「バス事業は公営では成り立たない」というコメントが紹介されている。

おっしゃりたい意味はよくよく理解できる。一つの会社として独立させることで「親方日の丸」の感覚を脱し末端のスタッフまで当事者意識を持たせ、コスト意識とマーケティング意識、それに接客業としての意識を高めることで赤字額を最小限まで減らしたい、という気持ちはよくよくわかる。国鉄、電電公社など、そして最近では郵政が民営化されたが、例えば国鉄からJRになって駅員の接客レベルを筆頭に鉄道を巡るあらゆるものがよくなったし、電電公社のままだったら今のようなウェブ社会、ケータイ社会が実現したかどうかはなはだ疑わしく、その意味でこの「分営化」には大いに賛成だ。

営業面では、唯一の収益源と思われる高速バス(岩国-広島線)については、高速ツアーバスが不得意な短距離高頻度路線だから高速ツアーバスの成功モデルをそのまま導入することはできないものの、発想を柔軟にすればまだまだメスを入れる余地は大きい。ざっと拝見しただけで「ああすれば、こうすれば」というアイデアがいくつか思いつく。高速バス事業については何割かの売上増は可能だろう。コスト面では、大きなレバーは人件費で、それはこの新会社が勝手に決めることは難しいだろうが、それ以外のコントローラブルなコストを圧縮することで、これも多少は削減できるだろう。差し引き、年間7,000万という赤字を半減、といったところか。

しかしながら、それでも赤字であることには変わりがない。交通局長さんは「バス事業は公営では無理」とおっしゃるが、この新会社に交通局100%出資という後ろ盾がなければ、申し訳ないが「民間にはもっと無理」だ。

それが日本のバス産業の現実なのだと思う。何度も繰り返し書いているが、本当に「市民の足」としてバス路線を現状と同じレベルで維持しようと思えば、何らかの形で公共が費用を負担しサービスレベルを担保しつつ、民間の競争原理も一定程度導入し効率化(ここで言う効率化とは、マーケティング意識の徹底による乗客増収益増と、コストの適正なコントロールによる経費削減の両方を指す)も図る、その相反する2つの側面を両立する制度の設計が必要なのだ。

その意味では、この新会社の役員は、理解ある市長さんの指導力のもと、ある意味モルモットとして失敗を恐れず多くのチャレンジをできる人が望まれるのだろう。そして全国の事業者(公営、民営を問わず)、研究者がじっとそれを観察すればいい。具体的には、費用面も含めて、どこまでを公共が担いどこからを民間が担うべきか、その匙加減をいろいろ調節してみてベストな線引きを見つければいい。

ただ最大の問題は、その実験をじっと眺めている時間的な余裕があるかどうか、である。現実に全国で老舗路線バス事業者の破綻が相次いでいる。遠く岩国の事例をじっと眺めていた結果、振り向いたら足元で事業が破綻していた、というのでは元も子もない。





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Last updated  2009.04.28 19:20:15コメント(0) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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