成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.07.26
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カテゴリ: バス産業
『ものつくり敗戦~匠の呪縛が日本を衰退させる~』

カバーに使われている写真は、沈没する旧日本軍の戦艦・伊勢。帯のコピーワークは「日本は同じ過ちを繰り返すのか」「システム思考軽視が、日本を第二の敗戦に導く」とある。必ずしも太平洋戦争の敗戦がテーマの書ではないが、その部分の描写は大変な迫力を持って先の大戦で我が国が敗れた理由について考えさせられる。

例えば、旧日本軍の兵器づくりにおいては規格化、互換性といった思想が欠如していたのだという。それは高度な技術(匠の技)を持った熟練工を大量に確保できるという背景から生まれたものらしいが、戦場での運用に当たってはたしかに足手まといになっただろう。戦闘機「ゼロ戦」も、開発当初は間違いなく名機であったが、名人芸による設計を反映したきわめて複雑な機体をしており、その後の拡張性が大きく欠如していたのだという。一方で、レーダーやソナーといった情報兵器の開発には十分なリソースが投入されなかったそうだ。「ものつくり」には信仰に近い強い思いを持つ一方、「それをどう使うか」という発想、想像力に欠けているといえる。

交通系の電子マネーのプロジェクトにかかわった方がこうおっしゃっていたのを思い出す。「やっぱり、日本は『職人の国』なんですよ。モバイル(携帯電話)が電子マネー機能も持てば1台2役で便利だよねというアイデアに、日本のエンジニアは、アプリを起動して本人確認して・・・と難しいほうへ難しいほうへ考える。結局、利用者のハードルを上げてしまい気軽に使ってもらえない。でも、ICチップなんて小さいんだから『携帯電話の本体にピタッと貼り付けるICチップ』を商品化すればそれで十分なんだけどね」。首都圏における携帯電話の普及率と、スイカ・パスモの発行枚数に占めるモバイルスイカの比率とを比べれば、まさにその通りなのである。

そして、 『さらば、ホンダF1』 の時にも書いたが、旧日本軍の話になると、最後には、彼我の戦力の差を読み間違うという、おそらくは我々日本人の本質的な特性のところに行き着くのである。「過去の栄光にあぐらをかき、新しい近代戦の様相に目をつぶってきた軍部の怠慢はひどいものであったと言わざるを得ない」という木村氏の指摘は、ホンダF1チームにも、私の前職である国内系老舗ホテルでも、そして今日のバス業界にも共通している。外部環境(太平洋戦争でいえば、大量生産時代の近代戦のあり方。バスでいえば、モータリゼーションの進展等のマーケット環境)は確実に大きく変化しているのに、過去の栄光が忘れられず「われわれは地域の役に立っている」という思い込みから客観的な戦力分析を行なえない。気がつくと、ずるずると戦線を伸ばしてしまい、最後には「神風が吹くはず」という根拠のない希望的観測に頼り特攻隊を送り出すことしかできない状態に追い込まれる。

「新興の高速ツアーバスの攻勢に対抗できない既存の高速路線バス」などという小さな話をしているつもりは一切ない。「平バス」を中心に、高速バスも貸切バスも含め、「日本のバス産業」の今後を考えるに当たって、「地域の役に立っている」「利用者に満足してもらっている」という現状肯定から入っていいものか、問いたいのである。本当に役に立っているのなら、産業全体がこんな苦境に追い込まれていないはずなのである。





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Last updated  2009.07.26 09:08:12 コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
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