成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.11.01
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カテゴリ: バス産業
遠方の路線バス事業者への出張が一つ決まると、それに合わせて周辺県の事業者にもアポを取っていく。その際にアポを取る事業者を選ぶ基準?は、メインで訪問する事業者の都市から高速バスで移動できるかどうかと、一緒にお酒を飲みに行けそうな担当者がいるかどうか、だったりして、果たして出張と言えるかどうか…

さて今回メインでお邪魔したA社は、数百台単位でバス事業を展開するが、同時に不動産やホテル事業なども盛んで、グループ内でバスの売上が占める割合は3割程度という典型的な地方の名門事業者。だが一度経営が行き詰まり、異業種から送り込まれた新しい経営陣が立て直しに奮闘中だ。私などがお邪魔しても、お忙しいなか社長さんが自ら会ってくださる。厳格なタイプでどちらかと言うと物静かな印象の社長さんだが、「ウチの会社だけじゃなくて、この業界どの会社にも『黒船』が現れて変わっていかないと」というお言葉に、自ら会社を立て直した自信が滲み出る。同時に、高速ツアーバスの新しいサービスやインターネットのお客様の傾向など矢継ぎ早にご質問をいただき、私も調子に乗って講釈を垂れてしまうが、メモを取りながら熱心に聞いてくださる。この経営者なら、一度だめになった古い体質の事業者を変えていけるだろうな、と確信した。

夜は担当者aさんと郷土料理をご一緒した。大学時代に路線バス事業者でアルバイトをしていたという経験は私と共通し、バスに関する豊富な知識は明らかにマニア?だが、異業種で10年働いたあと今の事業者に転職した彼は、既存乗合バス事業者の変革の必要性を痛感しておられる。それゆえ、バス部門から本社の企画系部署に異動となり現在は社長さんの若い右腕といったところで、営業所でバスを見ながら仕事ができなくなった現況には同情?するが、失礼ながらぬるま湯体質からなかなか抜け出せないバス部門と変革を目指す経営陣との「通訳」として今後もますます重要な役割を果たすだろう。

次に訪れたB社では今回は正式に会社にはお伺いせず、担当者のbさんたちと、こちらも郷土料理を楽しんだ。担当者と言っても元々は個人的な知人である。私が全国の既存路線バス事業者に、高速路線バスを私のサイトで取扱いさせてもらえるよう提案に回っているのを見て、数ヶ月前、同社の役員の方々の前で私がプレゼンをできるように段取りをしてくれたことがある。おおむねどの既存事業者でも同じ反応なのだが、私のサイトで自社のバスの空席を販売するメリットはご理解いただくものの、ウィラー・トラベルやオリオンツアーなどの高速ツアーバスと並べて売られること、あるいはここまで高速ツアーバス各社を育ててきた私のサイトと契約をすることにはやはり抵抗があるようで(もっと厳密に言うと、周りの事業者の目が気になって)、ご決断をいただくことはできなかった。変な話、そのような既存事業者の反応には私は慣れっこになっている。ところが、「今晩、成定さんと飲みに行くんです」とbさんが上司の方に何気なく伝えたところ、ふだんは口数の少ない上司の方が「b、すまんかったなあ」とおっしゃったそうである。もちろん友人に花を持たせられなかったbさんの個人的な立場を慮った言葉だろうが、私のご提案の内容が全く見当違いだと感じておられれば「まだあんなヤツと付き合っているのか」という反応だったに違いない。

誰もが、変革の必要性は感じているのである。既存事業者の皆様も、私がご提案した内容を間違っているとは感じておられず、むしろ、合理的に考えれば販路を広げ乗客数を伸ばすことを優先すべきなのに、なんとなくインターネットは怖いとか、横並びの業界の中で新しいことを始めてしまって「出る杭」になるのは嫌だとか、そんな理由で決断を先送りにしている自分たちに、どこか後ろめたいものを感じている。

現在のバス業界が置かれたこの状況で、既存事業者がこのまま変わらなくてもいいと考えている人はいないだろう。モータリゼーションの進展などバスを取り巻く環境が大きく変化しているなかで、「これまでのやり方」では、個別の企業としてもまた産業としてもバスが生き延びられないことはみな理解しているのである。しかし、組織と言うのは一朝一夕には変われない。

私の周りには、いくつかのタイプの経営者がいる。一つは「とにかく新しいこと、お客様が喜ぶことをどんどんやって、その結果として自分の事業を大きくしていく」ことを目指すタイプ。ウィラー・トラベルの村瀬社長らが代表例で、中小旅行会社の経営者に多い。一方「既存大手の既得権益に正面から戦いを挑んで、それに勝つことで事業を大きくしていく」タイプは貸切バス事業者の経営者に目立つ。平成エンタープライズの田倉社長らがそうだろう。そう考えると私は(そもそも経営者ではないが)そのどちらのタイプでもない。しいて言えば、A社の社長さんに近い立場か。既存事業者の持つ力、果たす役割の大きさを認識しているからこそ、過去の成功体験にしがみつき時代に合わせる変革ができなくなっている彼らを変えていくお手伝いをしたい。時に「北風」になり時に「太陽」になりながら、より生産性を向上させるための経営力の強化と、より顧客志向を強める運営面での強化を図る「きっかけ」を既存事業者の皆さんに与える「黒子」として、今後もがんばっていきたい。いろんな方々との出会いを通して、自分の立ち位置を改めて認識させてもらい、かの地を離れた。





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Last updated  2009.11.01 17:08:42
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

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