成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.11.02
XML
カテゴリ: 高速路線バス
私たちはいま全国の既存事業者の皆様に対し、高速路線バス(定期観光バスや空港連絡バスも含む)の座席をウェブ上で代売させていただき、売れた分について送客手数料をいただきたいというご提案に回っているわけだが、実は航空業界では「ゼロ・コミッション(手数料率0%化)」が進展しつつある。国際線でゼロがほぼ定着したのに続き、ANAが国内線でもゼロとする方針を打ち出した(実際には旅行会社の実入りは0円ではないのだが、旅行会社にとって厳しいことに違いない)。もし既存事業者の経営者・担当者の中で旅行業界の動向に詳しい方がいれば「航空はゼロに進みつつあるのにバスはなぜお前のサイトに手数料を払わないといけないんだ」と突っ込まれるかなあ、と考えていたが、現在のところ「無事」である。

航空業界は、我が国においては「大枠」で言うと2社(かつては3社)体制がほぼ定着している。つまり、日本人が飛行機に乗ろうと考えれば、全国どこに行くのにもANAかJALのどちらかで予約が取れる。さらにそのことを多くの国民が普通に認知している。利用者が個人で飛行機に乗ろうと思えば、かつてであればANAかJALの予約センターの電話番号を調べるのが普通の流れだった。電話予約が成立すれば「○日までに航空券をお買い求めください」と言われ、航空会社の支店は遠いから近くの旅行会社で発券する。上で挙げた「手数料」とは、その「発券手数料」である。ウェブ予約が定着し、航空会社のサイトからクレジットカード等で決済できるようになった今日、航空会社としては発券手数料をゼロ化するのは収益性のために当然だ(ただ、パッケージ旅行の企画など新たに需要喚起する役割は航空会社も旅行会社に大きく期待していて、私の会社でも航空会社と共同で大きな事業を一つ行なっている)。

一方、高速バスはというと、そもそも認知の度合いが航空とは大きく違う。検索サイトYAHOO!で、「航空券」と検索される回数は月間15万回だが、「高速バス」と検索される回数は60万回もあるそうだ。高速バス利用者が航空利用者の4倍もいるはずはない。一見不思議なようだが、「ANA」「JAL」がそれぞれ250万回検索されていると聞くと納得するだろう。高速バスをどの会社が運行しているのか、どうやって予約すればいいのか、航空と違って利用者はよくわからないのである。さらにその60万回は、あくまでも「高速バスに乗ろう」と自分から興味を持った人たちである。「信州に行くなら特急あずさ号」と思い込んでいる人はそもそもYAHOO!で「高速バス」とは検索しないから上記の60万回にさえカウントされておらず、高速バスのポテンシャルはまだまだ大きい、というのが私の考えだ。航空会社から旅行会社へのコミッションが「発券」手数料ならば、私のサイトがいただくのは「送客」手数料であり、意味合いも違うし、こちら側で必要なコストやノウハウも全く異なる。

日本における高速バス事業者が、もし仮に、航空業界同様、青い「全日本バス運輸」社と赤い「日本バス」社の2社しかなく、双方が全国ネットワークを築き予約方法もわかりやすく、しかも多くの路線でダブルトラック化して両社がマーケティングにしのぎを削り、ゴルフの石川選手ら有名人を使ったテレビCMをどんどん流して需要喚起と認知向上に努めていたならば、私の会社ごときが入る余地はなかっただろう。だが、現実はそうではない。そこに私たちの役割があると考えている。

その上で、10年ほど経ったとき、送客側が過大に力を持ち運行事業者は低い利益率で苦しんでいるのか、逆に航空会社のように「自社で集客できるから手数料は払わないよ」と運行事業者側が一方的に通告するのか、もちろん双方の努力しだいであって、小さな例では高速ツアーバス各社やホテルは、私のサイトなどからの予約者には「次回は自社サイトからどうぞ」と自社サイト独自の特典を明記した案内を手渡したりしている。ただ、仮に特定の予約サイトが力を持ち過ぎるようであれば、事業者は手数料率が低い他の予約サイトに優先的に座席を提供するようになるだろう。チャネルコントロールは企業として当然の努力であり、自社サイト・総合予約サイト・旅行会社などチャネル間の競争があるから、各チャネルも利便性と販売力の向上に努力する。大切なゴールは、常に、高速バスの利用者数が伸びることなのである。

そもそも、わずか10年前には、インターネットがここまで定着するとは誰も考えていなかっただろう。IT技術も利用者のニーズもどんどん進化する。あと数年すれば、何も私のサイトのような中間会社が入らなくとも、PC画面に日本語で「11月10日 高速バス 大阪」とでも入力すればコンピュータが勝手に各社の基幹システムと通信し「ドリーム号の3列シートは○円、ウィラー・トラベルの4列シートは○円」などと当日の空席便を案内してくれる時代が来るかも知れない。いや、携帯電話か何かに「来週の火曜日 大阪まで高速バス」と声で命じれば、向こうから声で空席情報を伝えてくれるかも知れない。ただこのままだと、そのようなサービスが技術的に開発されても、航空会社はそれに積極的に協力するが、果たして高速路線バス事業者が協力しバスの情報まで提供されるようになるかどうか。「一人でも多く、ウチのバスに乗ってもらいたい」と事業者が本当に考えているかどうか、これからその本気度が試されるのである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.11.02 19:01:42
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

nalys

nalys

Comments

京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

Calendar

Archives

2026.10
2026.09

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: