成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.07.28
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カテゴリ: 高速ツアーバス
高速ツアーバス成長の歴史を振り返ると、いつも書いているように2006年ごろから突然、爆発的に成長している。2001年にオリオンツアー(厳密には、オリオンよりも先に某大手旅行会社が系列事業者の貸切バスを使って始めていたのだけれど)が高速ツアーバスに初参入して以来4年後にあたる2005年度の高速ツアーバス輸送人員(推計値)は年間20~30万人に過ぎなかったのに対し、その4年後にあたる2009年度は400万人である。まだ10年に満たない高速ツアーバスの歴史のなかで、前半の4年間と後半の4年間で、成長スピードは10倍以上の差があったことになる。ではその境目となった2005年後半から2006年前半にかけて一体何が起こったのか? 一つは、その時機に私たちのサイトが高速ツアーバス予約事業に参入したことに象徴されるようにウェブマーケティングの本格活用が始まったことであり、もう一つは、行政が通達等で高速ツアーバス業態を明確に容認したことである(この成長過程は7月12日付の『東京交通新聞』の記事に詳しい)。

旧来の紙媒体に比べウェブにおいては情報量が非常に多く、利用者に「比較・検討」の可能性を与えたことで「お客様自身が高速バスを選んで乗る時代」を迎え、2007年ごろからは上級車両やアメニティグッズなど商品の開発競争が激化し、さらにその競争が新たな利用者を呼び込んだ。 一昨日の記事 に書いたとおりである。ただしそのための前提条件があった。一つは、既存バス事業者の存在感が相対的に小さい大都市どうしを結ぶ路線においては、既存の高速路線バスがマーケットの掘り起こしを十分になしえていなかった点である。そこにウェブマーケティングを持ち込むことで潜在需要を喚起できた。そこまでは何度も書いてきた内容だ。もう一つ、重要な前提がある。それは、この「首都圏~京阪神」のような大都市間路線は、全体(鉄道や航空などを含む)の移動量が、同距離の他の区間(例えば「首都圏~青森県」)に比べて圧倒的に大きかったことだ。

ある区間を移動する客が、航空を選ぶか鉄道を選ぶか高速バスを選ぶか、というシェアは、それぞれの区間(すなわち所要時間)によって大きく変動する。さらに高速バスを選ぶ利用者の中でも、3列シートのような上級車両を望む人の比率もまた区間(所要時間)によって変動する。長距離になればなるほど「4列シートはイヤだ」という人の比率は当然上がる。一方、長距離になればなるほどグレードによる価格差も大きくなるから、「キツイけど我慢して4列シート」という人もいないわけではない。首都圏~京阪神や首都圏~名古屋を移動する人全体を移動コストのバジェットという観点で「輪切り」にすると、「最上位」には新幹線グリーン車や航空機の上級座席を選ぶ人たちがいて、「ボリュームゾーン」にあたるのは真ん中あたりの新幹線普通席利用者で、数では圧倒的だろう。そして「下位」に高速バスが一定程度存在し、その高速バス群の中でも3列シートの上級車両を望む人と4列でいいから安い方がいい、という人とに分けられる。それぞれの比率は、所要時間が同じ区間どうしであれば大きくは違わないと思われる。つまり、首都圏~京阪神の全移動者のうち「4列シートの高速バスでとにかく安く移動したい」人の比率は、首都圏~青森県のそれと大差ないはずだ。そうすると、京阪神と青森とでは、全体の移動量に大きな差があるから、結果として「4列シートの高速バス」を選ぶ人の数も、京阪神の方が青森よりも圧倒的に多いということになる。

当初、高速ツアーバスが大都市間路線に入り込みやすかった理由として、いつも言うように既存の高速路線バスが市場を掘り起こし尽くせていなかった点に加え、まずは4列シートの汎用的な貸切車で参入しても、「キツくても安い方がいい」という利用者だけでバス何台分もの需要が隠れていた、という点がある。初期投資やそれに伴うリスクを最小限に止めながら新規参入をし、事業が軌道に乗るとともに3列シートなど上級車両を専用車両として導入する、という「スモールスタート」の戦略を採ることができた意義は大きいだろう。逆に彼らが地方都市向けの夜行路線(例:首都圏~青森、京阪神~鹿児島)に進出しようとしても、4列シートの最安値商品だけではバス1台を埋めきれず、大都市間で成立した「スモールスタート」戦略はハードルが高い。既に高速路線バスがマーケットを十分に掘り起こしていた点とあわせて、まずはリスクを最小限に汎用的な貸切車で参入し徐々に上級車両を品揃えを目指す「スモールスタート」戦略が採りづらい事が、これまで高速ツアーバスが地方都市向け夜行路線で苦戦してきたもう一つの理由である。

ただ、それも状況が変わってきた。ウィラートラベルや日本ユース旅行など高速ツアーバス事業が一定規模を超えてきた企画実施会社にとって、そのような地方路線に3列シートなどの上級車両を投入することのリスクは相対的に小さくなった。地方都市路線に3列シートの新車を投入することは以前なら清水の舞台から飛び降りるような冒険だったが、もしその路線が思ったほどの収益性を出せなければ、全国にいくつもある自社の他の路線に転用すればいい、という状態にまで事業が育ったのだ。例えばウィラートラベルは今夏、首都圏~八戸/秋田/庄内/金沢/広島/松山や、京阪神~仙台/福島/鹿児島といった地方都市路線に3列シート車を運行している。そして3列シート車や、一段劣るものの優れた4列シートの特別車が導入された路線は、私たちのサイトでも確実に成長している。

そして最近では、4列シートの汎用的な貸切車で「スモールスタート」を図る路線は、上記のような数路線よりもさらに線の細い地方路線に移行している。その中には、 首都圏~しまなみ海道の各島 (この便は大三島を経由し今治、松山行き)や 名古屋~山口県 のように、従来の高速路線バスのスキームでは難しかった細かな路線や、 京阪神~唐津 佐賀 、 大分 、さらには 首都圏から日本海側(村上、温海)を経由し鶴岡、酒田を結ぶ商品 (本商品については別途説明が必要だろう。詳しくは後日)のように、かつて高速路線バスが運行していた“懐かしい”匂いがする路線も目立つ。その多くは、まずは夏期限定から入るテストケースだが、それらがやがて上記のように上級車両へ、通年運行へと成長していけるかどうか、売る側から見ても楽しみである。もっともその先には、高速路線バスの「本丸」とも言える多頻度昼行路線が残るわけだが。





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Last updated  2010.07.28 19:15:30
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

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