成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.12.26
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カテゴリ: バス産業
おかげさまで最近、既存の乗合事業者の経営者の皆様とお話しする機会が多い。既にお取引先になっていただいた会社、なろうとしている会社、それに、将来そうなるであろうと私が勝手に考えているだけの会社もある。担当者とビジネスの話を長い間かけて詰めてきて「今度はウチの社長に会ってもらって…」というケースもあれば、第三者のご紹介、オフィシャルな会議の場などシチュエーションは様々だ。私個人としては、自分の会社を大きくすることより「業界全体の黒子」として業界全体に影響を与える方が自分の仕事観、人生観に合っているから、多数の経営者の方にお目にかかることができるのは非常に嬉しい。どこかの事業者の社長になってその会社の業績を上げることよりも、主に高速バスの数字を伸ばす戦略を1社でも多くの事業者に説明しそれを実現してもらうことの方が嬉しいのだ。大会社の社長になって100のことを自分で決済するより、私がご提案する100の戦略戦術のうち1つずつであっても、それを100社が採用してくれる方が喜びが大きい。

既に契約済みの事業者や、まさに取引先になろうとしている事業者の場合、その経営者は当然、私たちの会社の理念を理解してくださっている。私たちが自ら高速ツアーバス事業を営んでいるわけでないことも、高速ツアーバスだけを取扱う気はそもそもなかったこともご存知だ。それでも私に会うと、「ツアーバス問題」について一言モノ申さないと気が済まない様だ。もちろん、その気持ちは私にはわかる。自分自身が、高速ツアーバス企画実施会社の連中が既存事業者についてちょっと非難めいた発言をすると、今でも<いやいや、彼らにすればね>と懇々と既存事業者の立場で説教を垂れてしまうくらいだからだ。

自分たちがいかに地域交通に使命感を持ち、高速バスの収益を平場の路線バス維持のために費やしてきたか。自分たちがいかに輸送の安全性確保に腐心してきたか。自分たちが路線の改廃新設の際にどれだけ面倒な手続きをしているか。私自身も共感し敬意を覚えるだけに、応接室のソファで、黙ってうなずきながら拝聴する。<いやいや、成定さんのトコロが悪いわけじゃないんですよ。お宅は売ってるだけだから>とこちらの立場を慮る言葉が混じったら、ただ頭を下げる。それどころか<ウィラーさんが悪いわけでもないんだよ>とまで言い出す方もいる。<「お上」が認めたんだからヤツらは違法じゃない。いい加減な通達を出した方が悪いんだ>と、たいてい最後は行政批判になって終わる。

しかし、<これも儀式だ>とばかり全く黙っていたら、私の思いは実現しない。私としては、高速路線バスをサイトで取扱うことそのものがゴールではない。既存の乗合事業者の皆さんに、それをきっかけにより積極的なマーケティング意欲を持ってもらうことが大切なのだ。だから少しは反論する。例えば<現行の道路運送法では、過疎路線の維持は内部補助によって行なうべきとはなっていないですよね>。例えば<御社はそれだけ立派な安全対策を行なってこられたのに、それを効果的に利用者に伝えてこられましたか>

すると、これまで滔々と「演説」してきたその口調のまま再反論が始まるのだが、どうもしゃべっているうちに調子が狂ってくるらしい。行きつ戻りつ、頭の中で考えながらしゃべるように口調が変化してくるのがよくわかる。皆さん、大事業者の経営者ばかりだ。例えばメディアの取材で、例えば株主総会で、例えば春闘などの労使協議の場で、言葉を選んで発言する機会は少なくないはずだ。少しずつそれを思い出すのだろう。その度に私は感じる。<ああ、この人たちは、こと「ツアーバス問題」に限っては、意見を同じくする人たち同士でしか話をしたことがないんだな>と。だからこの問題に関して「考えながら話す」習慣がない。自分の考え方とは異なる考え方が存在する可能性に気づいていないのだ。結果としてこの問題に限っては「議論する力」がどうも不足する。

それゆえ、例えば全くの第三者から、<そこまでツアーバスの方が有利で不公平だと言うのなら、なぜあなた方の会社が運行する高速路線バスをツアーバス業態に移行しないのか>などと客観的質問が飛んできたりするとそこでスタックする。たしかに、これは答えるのが難しい質問なのだ。<ツアーバスは違法だから>と答えれば、行政が違法ではないと通達に明記している以上事実に反するし、むしろ誹謗中傷とか名誉毀損と責められるリスクがある。<ツアーバスの低い客単価では利益が出ないから>では、高速ツアーバスこそ価格設定が自由な上に最近では価格が逆転している事象や、客単価を高く設定しても結果として乗車率が上がらねば収益性を落としてしまう可能性を説明できない。<旅行会社が企画し貸切バス会社が運行する形式では安全性が担保されないから>という答えでは、自社の旅行業部門が企画実施するバスツアーや、自社の貸切バス部門が旅行会社からバスツアーの仕事を請けることまで否定することになる。一番無難なのは<ツアーバスは違法だという信念を持っているから>という回答だろうが、それだと一企業のポリシーの問題で、銀座の高級寿司店が<ウチは回転寿司には進出しない>と明言するのと同じ結果となり、高速ツアーバスの存在そのものを否定する根拠とはなりえない。うーん、この質問への「本当の」「素直な」答えは、<ツアーバスはレベルの低い新免事業者がやる仕事だと思い込んでいたから>ですよね、きっと、と私としてはちょっと言ってみたい。

と、そこまでをバス業界関係者の何人かの知人に話してみた。すると、上記会話の場にも一緒にいた業界に詳しいある人は<いやいや、成定さん。事業者の経営陣はもっとしたたかだよ>と言葉を濁す。ちなみに別の関係者はもっとストレートだった。あまりにストレートな解説が返ってきたために、ここではあえて紹介しないと決めたほどだ。ごくごく率直に私は思う。皆さんは経営者だ。従業員の給料にも株主への還元にも責任がある。だから経営者が自社の権益を守ろうとするのは当然。そのためには「したたかな発言」も重要だ。株主総会や労使協議の場をうまく切り抜けてきたように、この問題に関しても「議論力」を鍛える必要がある。そしてそのためには、意見を異にする人の意見にあえて耳を傾けることで、自らの主張に客観性を補強していくしか方法はないですよ、と。





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Last updated  2010.12.26 11:29:56
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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