成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.09.02
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カテゴリ: 高速ツアーバス
ウィラー・トラベルから、「新成長戦略」第一弾として、まずは大阪南港線で乗合バスに参入し、「新高速」運用開始とともに現高速ツアーバス商品を移行させると発表された( 『日本経済新聞』 『トラベルジャーナル』 参照)。

「新高速」について、既存の高速路線バス事業者からご質問をいただくことも増えてきたが、ウィラー・トラベルのこのニュースでさらに加速するだろう。経営者や担当者の個別のご質問にお答えするケースもあるし、役員から本社部門の担当者、また予約センターや営業所の所長さんらに一堂に集まっていただき、みっちり半日かけてレクチャーするケースも既に何社目かだ。制度そのものの詳細については決まっていないことも多いが、「バス事業のあり方検討会」中間報告書に書かれた制度の骨子と、それを導いた環境変化。そして具体的に既存の高速路線バスに落とし込んだ場合どんな運用になるのか、もっと言えば、彼ら自身がこれからどういう方向に進むべきなのか、ご説明し皆で議論するのだ。

よく尋ねられるのが、<本当にツアーバス(全社またはほとんど)が、「新高速」とはいえ乗合許可を取得できるのか?>という点だ。もちろん、安全面でのハードルは上がる(とはいえ、書面上は乗合も貸切も求められる安全性は同等だ。例えば、そもそも私鉄系事業者では、平場の路線バスで優秀な乗務員だけが貸切に「上がる」会社が多い。初めての道で咄嗟の判断を重ねながら走る貸切の方が、求められるレベルは本来的には高いはずなのだ。万が一、外国人観光客を乗せた貸切バスが居眠りなどで大事故でも起こせば国際的な問題にさえなろう。ただ残念ながら、様々な背景から、現在の貸切バス事業者のレベルは「乗合よりも上」とは言い難い)が、それは歯を食いしばってでも越えてもらうしかない。

ただ、今日、高速ツアーバス事業に携わる会社のうち、企画実施会社(旅行会社)から発注を受ける立場の運行会社(「新高速」移行後は「受託会社」)の中には、涙を呑んでこの事業から撤退する会社もあるかも知れない。彼らに法令違反が判明した場合、「委託会社」(今日でいう企画実施会社)にも罰則が与えられる可能性があるからだ。いわゆる「服喪」が残るのかはわからないが、仮に受託会社の監査結果が委託会社の拡大申請(新路線開設や増回など)を妨げるなどというシーンを想像するだけで、それが他の仕事(一般貸切)に与える影響を考えると、これまでいい加減にやってきた貸切専業者は震えているだろう。

また、企画実施会社の中には、「バス会社になる」ことに違和感を覚える会社もあろう。彼らは、純粋に旅行会社として消費者ニーズに応えてきただけだ。スキーが好きだからスキーバス事業を始め、TDRが出来たのでツアーを企画し、都心間だけ乗りたいという声があったからそれに対応したというのが彼らのメンタリティであり、何ゆえ今さら「生き様」まで変えないといけないのか理解できないだろう。当然ながら旅行会社よりバス事業者の方が固定的な投資額は大きく、「重たい」会社に変わることには経営者としても大きな決断が求められる。そのことに関して、新制度にかかわる身として少し申し訳ない思いがある。

ただそれも、高速ツアーバスの事業規模がここまで拡大した中で従来通りとはいかないことは皆理解しているはずだ。そもそも、曲がりなりにも自身で事業を起こし自分の会社をそれぞれ成長させてきた経営者たちである。一度スイッチが入ると動きは速い。腹を決めた何人かの社長からは、私のところに貪るように質問がどんどん飛んでくる。

そして私は、高速ツアーバス連絡協議会から委託を受ける形で全国を回っている。目的は、高速ツアーバスが「新高速」に移行するに当たり必要な停留所の候補地を地図に落とし込む作業である。ただいまも高速バス車中だ(高速路線バスの発券窓口で、領収書の宛名を<高速ツアーバス連絡協議会で>と申し出る時、なぜかいつもメマイがする)。



<そうか、とうとうウィラーやオリオンも停留所を持ててしまうのか…>という思いとともに、心のどこかに、<それだったら、そのままツアーバスでいてもらった方がマシだったな>などという気持ちがよぎった人がいるなら、これまでの反ツアーバス活動、「一本化」の主張はいったい何だったんですかということになってしまう。

文字通り、これからは「同じ土俵」に上がるのだ。高速ツアーバス各社にとっても必死の上り坂が続くが、既存側もそれなりの覚悟で迎えねばならない。それでも、どう客観的に見ても、地方マーケットわけても昼行路線において既存各社のアドバンテージは大きい。既存事業者が今求められていることは、自分たちのどこがどう強く、どこが弱いのか感情的にならず冷静に把握することである。それさえできれば、どう攻め、どう守ればいいのかはっきりする。私としては、引き続き、高速ツアーバス各社に対しては渉外担当顧問としての立場から協議会を通して「ハードル越え」をサポートし、既存各社には個別の事業者単位でマーケティングを中心とした変革を支援していく。繰り返すが高速バスの拡大余地はまだまだ大きいから、どちらも支援し甲斐がある。これでますます面白くなってきた。





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Last updated  2011.09.02 13:11:21 コメント(4) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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