成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.09.12
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カテゴリ: バス産業
大分大学経済学部の大井尚司准教授から、先生の前職である財団法人運輸政策研究機構運輸政策研究所の研究員であったころからのご研究『公共交通における規制緩和政策と公共セクターの役割の再評価に関する研究 ―乗合バスの規制緩和とその影響について―』のレポートが完成したとのことで送って届いた。タイトルも長いが、本文もA4で145ページもある立派な装丁だ。個人的には、「おわりに」で、わざわざ1パラグラフを立てて、日本バス協会の船戸常務理事と私に謝辞が述べられているのだが、船戸常務さんのような重鎮と相並べていただいて大変恐縮しているところだ。

この分野では、東京海洋大学の寺田一薫教授の 『バス産業の規制緩和』 という名著があるが(なお、大井先生が本内容を発表した 「運輸政策コロキウム」 での対論者も寺田先生だった)、実際の規制緩和(需給調整撤廃)から10年近くが経過し、また大井先生らしいというか、全国の数多くの(マニアックな?)現場での綿密なご取材を踏まえ、数多くの事例とその評価が詳しく詳細されている点が本レポートの特徴だろう。

高速ツアーバスに係るケースに加え、高速バスでは高松~関西線の新規参入、さらに岡山と長崎における空港バスの後発参入、鹿児島などでの平場の路線バスへの新規・後発参入といった競争的参入事例のほか、福岡や松山など競争・参入が発生しなかった事例についても評価がなされている。一方で退出規制の緩和に関しても、 札幌 、鹿児島など数多くの事例が紹介されている。

失礼ながら、現行の道路運送法の理念について未だ理解なさっていない事業者の関係者の方が多く見受けられるが、ぜひ一度このレポートに目を通してほしい。何も、現行の道路運送法が完璧だとは思わない。規制緩和、具体的には需給調整を撤廃したことによるデメリットも当然ある。それも踏まえ、今われわれが置かれた現実の中でバス産業を今後どう導くべきかを皆で議論すべきであり、少なくとも、ひとつ前の法律の理念が今日でも生きていると誤解したままバス産業のあり方を語るのは許されない。

さて本研究のために、運政研の研究員の立場で大井先生がご取材に回ったのが2009年というから、今から2年前だ。それを踏まえ、本レポートでは、高速ツアーバスに関して以下のようにまとめられている。
<ツアーバスは、その成立経緯からは高速バスとの競争を前提としたものではなかったが、結果(実質)的に高速路線と競争状態になったのは事実であろう。そして、この競争によって、高速バスの価格・サービス改善には寄与しているものと思われる。一方で、以下の点は、「イコール・フッティングが必要であると考える。>として、具体的に以下の4点を提言している。


どうだろう? 1~3.については、正に『バス事業のあり方検討会』中間報告書に示された新制度が、今まさに解決しようとする問題だ。それが実現すれば、4.はその必要性さえなくなる。わずか2年前に、「実現可能性はともかくとして」と前置きしたうえで「こうあるべきだろう」と話し合っていた内容が、間もなく実現するのだ。

特に、「イコール・フッティング(競争条件の均等化)」という言葉が、それまでの「現行の高速路線バスに一本化」という固定観念から離れ、「高速ツアーバス業態のいいところ(運賃、車両調達の柔軟さなど)があるなら、それを積極的に取り入れることは既存高速路線バス事業者にとってもメリット」「イコール・フッティングを考える上で、『バス停の権利』という隠れた参入障壁も重要な要件」という考え方が定着しつつある点は、先の「運輸政策コロキウム」での大井先生の発表がきっかけの一つとなったし、それを受けてここ1~2年に大きく変化したなあと、このレポートを読んで時代の流れの速さをあらためて感じた。

先日、高速ツアーバスの問題についてご取材を続けている先生(研究者ではなく政治関係の先生)から、「バス事業のあり方検討会」の成果について、<相当なご苦労だったでしょう>とねぎらっていただいた。かみ合わない議論も正直あった中で、なんとか高速バス市場全体の成長に向けた制度改正が実現するのはもちろん簡単ではなかったから、そのようにお声掛けいただけるのは本当にうれしい。ただ、この制度改正は何も会議室での委員同士の議論だけで生まれた成果ではない。国土交通省のリーダーシップや、寺田先生や大井先生をはじめとした先生方の研究など、多くの皆様のご努力の積み重ねなのだ。

あとは、高速ツアーバス各社が確実に「新高速」に移行すること。また既存高速路線バス各社が積極的に「新高速」の柔軟さを活用すること。その両方のお手伝いをこれからがんばっていかないと。もっとも本音を言うと、その「新高速」をも上回る長所を持った新ビジネスモデルを開発し高速バス事業に新規参入したい、などという挑戦者がもしも現われたなら、そちらもぜひお手伝いしてみたいのだが。





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Last updated  2011.09.12 09:38:44
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

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