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さて。

やむなく二つに別けた「時喰らい」第一回の「その2」でございます。

語りたい感想は「その1」でほとんど語ったので後は、多少の補足と、素晴らしいと思った文章をいくつか紹介しましょう。



霧としてはこの「 フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス 」、非常におススメです。

ところで、この「 現代のプロメテウス 」とは何でしょうか。

プロメテウスと言うのは、ギリシア神話の神で、人類に火を与えた者、若しくは人類を創造した者として登場します。

プロメテウスはこの行いによってゼウスの怒りを買い、不死の身で半永久的な拷問を受け続けることになります。



霧は少し小難しい話もしましたが、ストーリーに関しても、飽きさせることの無いような良い作りです。

ページ数自体もそれほど多くはありませんし、「 フランケンシュタイ ン」って名前だけはやたらと有名じゃないですか。

間違いなく得るところは多い作品ですので、一読されてみては如何でしょうか。

非常に深い作品だと思います。

因みに、霧は 創元推理文庫 から出ている、 森下弓子 さん訳のものを読みました。非常に上手い訳で、物語に引き込まれます。

いやいや、 日本語訳ってすごく大切なんですよ 。素晴らしい訳でした。

あともう一つ。



この表現法がまた最近の小説に少ない良いものなのです。

と言うのも、最近は三人称視点の物語が多いですからね。そういうのも良いのですが、一人称視点の物語ではまた違った味方が出来ます。

さらに、そこから「 手記 」と「 対話 」という形を取って主人公を入れかえるというのが上手いポイントなんです。

ブラム・ストーカー の「 吸血鬼ドラキュラ 」も、実は全編通して複数の人間による手紙で出来上がっています。

こういった手法のSFホラー小説と言うのはなかなかに面白いので、そういう意味でもぜひぜひおススメしたいものです。



では、長くなりましたがそろそろこのくらいで終わりにしましょう。

最後に、この作品の中で非常に素晴らしいと思った文章と、科学者志望の大学生に「 グサァッ! 」と突き刺さる二つの文章を引用しましょう。

まず、突き刺さる方から。



「 十四のときから母国の著名な詩人たちに親しむようになったものの、 自国語以外の言葉にも精通する必要があると気付いたときにはもう、そんな信念から最大の利益をひきだす力のない年頃になっていました 」 -ウォルトン



「 化学という分野は自然科学のうちでも一番進歩が目覚しく、また今後の可能性もある。私がここを専門に選んだ理由もそれでね。しかし私は他の分野の学問も同時に怠り無くやってきた。人間の知識のこの領域にかかりきっていては、ろくな化学者になれはしない。もし君が本物の科学者を目指すつもりで、 つまらぬ実験屋で終わりたくないと言うのなら、私の助言は、数学も含めて自然科学の全ての分野を学びなさい 」 -ヴィクター博士の先生



もう一つ、ヴィクターの先生の台詞で良かった物を。


「 この学問の古い時代の教師たちは、不可能を約束し、何一つ実現しなかった 現代の権威はほとんど約束をしない 。金属を金銀に変えることは出来ないと、また生命の霊薬は幻想であると、承知しているのであります。これら科学者たちの手は泥いじりの為にのみ造られ、目は顕微鏡やるつぼを覗くためにのみ造られていると見えるかもしれない。 だが彼らこそ実際に奇跡を成し遂げてきたのです 」

古い時代の教師たちと言うのは、錬金術師たちのことですね。コルネリウス・アグリッパだとか、パラケルススだとか。



そして最後に、真髄と思った文章を。



「 完成した人間は、いつも穏やかで平和な心を持たねばならず、激情やつかの間の欲望に平安を乱されるようなことは、決してあってはならないのです。知識の追求とて、この法則の例外とは思いません。もし貴方のなさる研究に、愛情を弱め、どんな不純物も混じり得ない素朴な楽しみを味わう力を損なうきらいがあるようなら、それは、その研究が不法なもの、つまり人間の精神に不相応なものと見て間違いない 」 -ヴィクター・フランケンシュタイン



正直、この台詞だけでこの本を読んだ価値がありました。

おつりは多すぎて素晴らしい作品です。

皆さんも、ぜひぜひ。



ではでは、また。





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最終更新日  2009.12.14 22:55:18
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