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2026/9/20 オペラべっかんこ鬼(新演出) オペラシアターこんにゃく座創立55周年記念公演第一弾新国立劇場小劇場 原作・台本:さねとうあきら、作曲:林光、演出:大石哲史、 (に組)鬼:金村慎太郎、ゆき:高岡由季、山母(やまかか):彦坂仁美、 猟師:北野雄一郎、風1:吉田達也、風2:石窪朋、風3:小田藍乃、風4:沢井栄次、ピアノ:五味貴秋、笛:入江茉奈、 図 べっかんこ鬼 チラシ 目の不自由な、猟師の娘(高岡由季)が歌い出したとき、思わずハアーとなってしまった。柔らかい豊かに響くソプラノが小劇場の隅々まで通っていく。語りかけるような明瞭な言葉が伝わってくる 今回の出演者は皆さん解りやすい明瞭な歌唱。だが、中で一際通りと深みが感じられたのが盲目の娘・鬼の妻・鬼の子の母「ゆき」の歌声だった。 作曲家・林光が80才で転倒が元で死去されたのが2012年。2014年に高岡由季はオペラこんにゃく座に入団した。林光が存命だったら92才になっていた今、完璧に解る創作日本語オペラ上演が確立した。そんな感慨を抱きながらの観劇になった。夢の実現は次世代によって、というような風になってしまうのはいつも悲しいけれど! 村の猟師は娘「ゆき」を連れて山に少し入り、そこで待っていろと告げて罠にかかった獲物を捕りに山中へ。そこに鬼がやってきた。目の見えぬ娘を連れて山奥へ。娘が消えていることを悟った猟師の娘捜しと、幽閉した娘をてなずけようと頑張る山の中の鬼。父は来ない。長い年月を経て娘ゆきは何となく鬼の存在を受け入れ何となく鬼に頼るようになってくる。ゆきは村に帰っても猟師である父以外は頼るすべがなく、山の方が居心地良いと言い始める。 やがて鬼はゆきに求婚する。夫婦になった鬼とゆき。子供が生まれ目の見えない不自由が重くなる。 「やまかか」が鬼に告げる。「川沿いの崖に生えている薬草の根の滴を目に垂らせばたちどころに見えるようになる。」 鬼は薬草を求めて谷に向かう。 彷徨の末、漸く薬草らしきモノを急な崖の途中に見いだす。周りへの警戒を忘れ必死に崖を這って薬草に向かう鬼。 猟師は探し求めていた鬼が無防備で崖の途中にいるのを発見。銃声一発。薬草を手に取った鬼は、必死で妻ゆきの元に。それを追う猟師。住処に漸く辿り着いた鬼は妻に手渡ししながら根の滴をゆきの目に。始めて光を見たゆきの目に最初に映ったのは血に塗れた瀕死の夫鬼の姿。 猟師は瀕死の鬼と抱き合う娘ゆきを見いだした。しかもゆきは目が開いている。 何年ぶりかの父娘の邂逅。 父は当然のことだという感じで娘に村に戻ろうと誘う。 娘の返事は「否」。長く山にいて、山の生活が身についている。今更村に戻れない。亡き夫鬼を守らねば。父鬼は角が2本、背負った我が子には角が一本。この子と共の山に住みます。 話はスラッと頭に入ってしまった。劇の場に即した見事なピアノ演奏、そして父娘を結ぶはずだった笛の音。不思議なことに全ての言葉が歌で表現されていたのに、それを支えていたメロディが記憶に残っていない。 印象的なアリアがなくて会話劇スタイルだから何じゃあなかろうか?フトそんな気もして、バッチリした日本生まれの歌曲、五行詩や七行詩を歌化した短い繰り返しメロディではなく、長い歌曲。そんなのがいくつか入るとメロディが残り、オペラとして締まってくるのかなあ? 観劇の2日ほど後、いつからこんにゃく座に入団されているのか確認したく、高岡由季のFacebookを覗いてみた。エッ、結婚されたとのこと。そして減量のお話も! 響き渡る深さを感じさせる声音を支えているのは心身の---充実と希望なのでしょうか。芸術論・芸術家論みたいな方向の学びにもなった様に思惟したニャンスケであった。世界は劇場(1) オペラシアターこんにゃく座ソング集 [ 林光(作曲家) ]オペラシアターこんにゃく座 / オペラシアターこんにゃく座 ソング集Vol.2 世界は劇場 [CD]CD / オペラシアターこんにゃく座 / ぼくたちのオペラハウス/オペラシアターこんにゃく座ソング集 / EFCD-3099林光 追悼コンサート「夢へ……」 [ オペラシアターこんにゃく座 ]CD オペラシアターこんにゃく座 ソング集Vol.2/世界は劇場(CD2枚組)(FOCD9680/1/うた:オペラシアターこんにゃく座、クラリネット:橋爪恵一、ヴァイオリン:山田百子、ピアノ:服部真理子・萩京子)
2026.09.25
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2026/9/5 ハード・プロブレム(The Hard Problem) 劇団青年座第266回公演 吉祥寺シアター 原作:Tom Stoppard、翻訳:小田島創志、演出:金澤菜乃英、 ヒラリー:那須凜、ボー:角田萌果、スパイク:久留飛雄己、アマル:前田聖太、レオ:横堀悦夫、ジュリア:市橋恵、アーシュラ:遠藤好、ジェリー:佐藤祐四、イレイン:万田千尋、キャシー:小田島優月(劇団ひまわり) 図 The Hard Problem チラシ・場内配付資料・半券より ハード・プロブレム チラシからは劇団の並々ならぬ意気込みが感じられる。『人の心に「善」はあるのか?現代科学では解明できない「心」の謎に挑む。』シェースピア劇を弄り倒している著名劇作家Tom Stoppardの最晩年の劇、本邦初演? 演出は気鋭の金澤菜乃英、翻訳者は著名シェークスピア学者小田島雄志の孫で新進イギリス劇学者!小田島創志。 劇中、様々なまだ謎が多い感情の由来、心の問題が議論される。これ、多分昔からの問題。ギリシャの神々のお話?源氏物語?お化けと怨霊の世界?人間の体の科学的解明が始まった近代から顕著になってきた心と体の問題。H.G. Wellsが端緒で人間機械論?緑の宇宙人?・・・ ロボットは果たして意志を持ち得るか?ロボットに良心は持ち得るか? 古典的問題提起でありハード・プロブレムといえば言えるが、何だか陳腐な問題提起にも聞こえる。大学院生だったヒラリーと指導教官だったスパイクスの議論に始まり、研究所の面接試験を待っているときに会ったヒラリーとアマルの議論などを介してそんなハード・プロブレムのいくつかが並べられる。 そんな中、著名研究所で大学生を指導する立場になっていたヒラリーは大学院生ボーに自分のモデルを検証するため少年少女を対照にした調査研究テーマを与えた。ボーは少年少女96人の調査結果をヒラリーに渡した。ヒラリーはボーを信頼しているからといってデータを見ずにしまい込み、ボーは解析作業を続けた。そして論文がまとまった。それはヒラリーの考えていたモデルにピッタリ整合する素晴らしいデータであった。 ボーを主著者に国際会議で発表後、ご満悦のヒラリーとボー、ボーは博士号を手に前途洋々。 然るに、クレームが出てきた。調査対象は96名。論文に出てきたデータは88人分。8名のデータは何処に行った!何か不正操作があったあのでは? ボーの説明は単純、突出した異常値は外した。この扱いは是か非か? 多数派は「否」との結論。ボーは博士を剥奪され、研究者としての将来を失った。ヒラリーはアメリカの地方大学に職を得て、エリートコースのトップから離れていった。 ふと気になって96名調査データから最終的に省かれたデータの原典を見つけ出して、文字を見て愕然。ヒラリーとスパイクスの間にできた我が娘が異常データとされた被験者の一人だったのだ。 で、最後のデータ弄りの話がインパクト大で、「ハード・プロブレム」は捏造の話か?という様なことになって舞台が終わる。 チラシが示していた話の方向と何だか違う?入場時、聞き慣れない専門用語が一杯出てくるからと、A4 裏表に台詞に出てくる用語の解説がまとめられている。「意識のハード・プロブレム」「ゲームの理論」「囚人のジレンマ」「外れ値」「共分散」『進化生物学」「レバレッジ」などなど。舞台制作側の熱意は充分感じられる。でも舞台の結末と投げかけた問題の多様な広がりに、収集のつかなさだけが印象に残ってしまう。 収拾が着かなくなってデータ不整操作の話に逃げた? 原作に問題?チラシを書くときの意識に問題?翻訳の問題? スミマセン。原作を読んでないのがいけないのです。そうなのですがお金と時間がかかりそう。 で、WikipediaでThe Hard Problemを当たってみた。2026年3月8日21:30(UTC)にupされた版が掲載されていた。 読んでみて、Wikipedia編集者が著者にシナリオの要約が長すぎるとクレームしている。その要約は、今回見た舞台の内容ほぼそのものなのだ。 そうなのだ、翻訳も演出も良いのだ。 問題は原作の方にあった。あるいは、いろいろな問題を雑多に放り出して考えさせる、不条理演劇の系譜に入る作品なのだろうか? Wikipedia に引用されている2015年ロンドン初演時の様々な、Stoppardは主題から逃げているというような数々の酷評は今回のニャンスケ拝が感じたものと全く一致していて極めて妥当なのだが、・・・ 更に一歩の突っ込みが必要なんかも知れない。それは制作側に?ニャンスケ側に?The Hard Problem A Play【電子書籍】[ Tom Stoppard ]The Hard Problem 【電子書籍】[ Tom Stoppard ]The Hard Problem 【電子書籍】[ Tom Stoppard ]
2026.09.10
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