仁志・多喜馬の戯言日記&戯言通信

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2009年11月11日
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 今日のITのニュースを見ていたら、舞台「屋根の上のヴァイオリン弾き」の主演をはじめ、映画やテレビ・ラジオで幅広く活躍し、戦後芸能界の最前線に立ち続けた俳優の森繁久弥さんが、老衰のため東京都内の病院で死去したそうだ。けっこう高齢だとは思っていたがやはり96歳だったそうだ。私も松山で舞台「屋根の上のヴァイオリン弾き」が公演されたときには、その自分の給料から考えると高価だったチケットを買って、仕事を休んでまで見に行ったものだった。そのミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」のテビエ役は、原作者から世界一と称されたそうで、19年間に上演900回を重ねる代表作となっていたのだ。(その後上条恒彦氏にその役を譲ったのだが・・・)

 私は落語が好きなので知っていたのだが、終戦前にNHKに入社してアナウンサーになり、満州慰問団の司会を引き受けて満州へ行っていたそうだ。その満州慰問団の落語担当がなんと、古今亭志ん生と三遊亭円生の両巨頭というのだから驚きなのだ。少し落語のことを知っている人なら、あの森繁節の絶妙な司会で古今亭志ん生と三遊亭円生の落語を聴いて見たいと思うはずだろう。(私もその一人なのだが・・・)戦後は大衆娯楽の主だった映画産業に入って、サラリーマン喜劇の映画「三等重役」シリーズが出世作となり、森の石松役の「次郎長三国志」や「駅前」・「社長」などの人気シリーズに出演して人気をはくし、ドタバタだけの喜劇俳優とは違う、渋さの中にユーモアをたたえた演技派俳優として評価が高まっていったのだ。(時代を見る目もあって、映画からTVへの進出も早かったそうだ・・・)

 森重久弥のマルチタレントぶりはそればかりでなく、ラジオでも元アナウンサーだったことを生かして、再放送を含めて2千回以上続いたNHK「日曜名作座」に出演しており、間の取り方に工夫を凝らした朗読で新境地を開いていたのだ。 (私も何度かは聞いたことがあるのだが、なかなか味わい深い朗読だったと記憶している・・・)歌手としても有名で自分が作詞・作曲した「知床旅情」など、「森繁節」と呼ばれる節回しでファンを魅了していたのだ。映画の撮影で訪れた知床でのロケに協力した地域住民と仲が良くなり、撮影最終日に感謝の気持ちを込めて、たった一晩で仕上げたものが原曲になったそうだ。その後、加藤登紀子さんの歌で大ヒットし、知床ブームがわき起こったというのだ。森繁さんが知床旅情を作詞作曲してから来年で50周年を迎えるため、地元では祝賀イベントも予定されていたそうなのだ。

 これほど長く活躍した森繁さんだけあって賞のほうも多く貰っており、その中でも最高なのは大衆演芸部門で、初めて文化功労者となったことだろう。なぜ私がこのように森繁久弥氏が亡くなったことを日記に書いたかというと、私は松山で行われたミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の、舞台が撥ねた後の出演者との懇親会に参加しており、そのパンフレットに森繁氏をはじめ出演者のサインをしてもらい、なんと森繁氏からは舞台で使用したテビェのユダヤ人がかぶる帽子を頂いたのだ。そのようなこともあって今日に日記を書いたわけだが、大衆演劇界の「巨星堕つ」といったら、「そんな柄ではない」と謙遜するだろうと思って、今日のタイトルにしたのだ。






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最終更新日  2009年11月11日 04時58分04秒 コメントを書く


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