仁志・多喜馬の戯言日記&戯言通信

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2012年09月16日
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 2年後の4月に8%になりそれから1年半後の10月に10%へと段階的に税率を引き上げる消費税増税法が成立したわけなのだが、試算では増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」の家計への影響は、年収500万円の「40歳以上で夫だけの片働き4人世帯」で年間約33万円の負担増になるそうなのだ。私たち土木技術者にとっても自らの懐具合の行方は気になるところなのだが、与野党の攻防のさなかに火が付いた公共事業をめぐる論議が、仕事の面でさらに大きな影響をもたらす可能性が出てきたのだ。それでも消費税の増税が土木分野に与える影響を心配する声は、あまり上がっていないのが実情なのだ。

 同じ建設産業でも増税を見越した駆け込み購入と、その反動からくる市場の冷え込みに懸念が高まる住宅分野とは大きく異なる点なのだが、社会保障と税の一体改革に関連して、建設工事請負契約書に関する印紙税の負担軽減を図る方針等も示されていることから、歓迎ムードすら漂っているとまでおわれているのだ。消費増税の直接的な影響以上に関心を集めているのが、間接的に持ち上がった公共事業拡大の大合唱で、与野党の協議を経た消費税増税法案の修正案が衆議院を通過したところで、修正案の附則第18条第2項に増税で生まれた余裕を防災や減災などに重点配分するとの一文が加えられたからなのだ。

  東日本大震災では国土の脆弱性が露呈し、将来の大規模災害への備えも欠かせないということのようなのだが、その一方でデフレに苦しむ日本で消費税を増税するに当たっては、景気対策が不可欠なのだ。防災関連のインフラ整備に大型の投資をすれば、一挙両得ではないかというのがその理由のようなのだ。税収の増分がそのまま公共事業の財源になるかは不明だが、消費税増税と公共投資はおおむねこのような論理で結びつけられたそうで、急先鋒は建設業が票田の自民党で、6月4日に国会に提出した「国土強靭化基本法案」に関連し、一極集中がもたらした国土の脆弱性を是正するとして10年間で200兆円規模の公共投資を提案したそうなのだ。

  法案の作成を担当した自民党の建設族である脇雅史参院議員は、「過密と過疎が進行した現在の国土から、多極分散型の国土へと転換を図る必要がある」と強調しており、そのためには地方のインフラ整備が欠かせないと説くと同時に「デフレ脱却には財政出動しかない」と言い切っているそうなのだ。それを受けて公明党が7月10日に骨子を示した「防災・減災ニューディール推進基本法案」や、民主党を中心とした超党派の議員で構成する「新たな戦略的国土地域政策を推進する議員連盟」が7月5日に示した「日本再生計画~ビジョン2030~」も、ほぼ同様の考えの下、財政出動による大型公共投資の必要性を主張しているのだ。

 その一方ではこうした動きをけん制する声が高まり、議論は過熱してきており、民主党の前原誠司政調会長は自民党が掲げる国土強靱化を「先祖返り」と指摘し、公共事業のバラマキにつながるとして批判を強めているそうなのだ。公共政策を専門とする慶応義塾大学経済学部の教授は「防災や減災という国民が批判しにくい名目を付けているが、やろうとしていることは公共事業の政治的誘導といえる」と断じているのだ。その教授は「費用対効果の高い防災・減災を目指すなら首都直下地震対策に集中しなければならないはずだが、自民党や公明党が想定しているのは全国的な公共事業の展開だ」と非難しているのだ。

 また「真に防災を名目とした公共事業を行うなら、景気対策から独立して行うべきだ。二兎を追うと、防災が相対的に軽んじられる」とも言っているのだが、公共事業をめぐる一連の議論で残念なのは100兆円を超える投資規模ばかりが注目を集め、肝心の内容についてほとんど議論が深まっていない点なのだ。防災関連のインフラ投資に関して国民が一定の理解を示しているのは確かで、私が愛読している業界紙でも一般市民418人に実施した意識調査では、「防災関連の公共事業には従来以上にお金をかけるべきだと思うか」との質問に対して、合計59%が「非常にそう思う」または「ややそう思う」と答えているのだ。

  しかしながら公共事業そのものに対する視線は依然として厳しいのも事実で、「無駄な公共事業が多いか」との問いに「非常にそう思う」または「ややそう思う」と回答した人は合計74%にも上っているという結果になっているのだ。景気対策を目的とする公共事業では質よりも規模が重視され、無駄を生みやすいとの指摘は以前からなされてきており、国民の理解を得たいのであれば各党は法案や提言の内容をより丁寧に説明する必要があると思っているのだ。私もそうだったのだが政権交代で民主党が掲げた「コンクリートから人へ」というスローガンに、反発を覚えた土木技術者は少なくないということをわかっていてもらいたいのだ。







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最終更新日  2012年09月16日 03時59分59秒
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