1施設で複数の偽装表示が確認される例が大半を占めており、牛脂注入の加工肉などを使いながら「ステーキ」などと称する施設が多く半数超の約210施設で確認されたそうなのだ。小さなエビを「芝海老」と称し大きなエビを「車海老」と称する慣習があるとされる飲食業界で、エビの偽装表示も目立ち全体の約30%にあたる約120施設もあったそうなのだ。記者会見したホテルや百貨店側はブランドを装った表示を禁じる景品表示法の理解不足などを挙げ「偽装」を否定するが、それこそ数年に1回くらいしかホテルを利用しない我々の感覚とはずれてしまっているのだ。料理歴数十年の料理長は「今までは食材表記の仕方がはっきりせずあかんという決まり事の一線がなかった」と話しているのだ。
虚偽表示があったホテルや百貨店に魚介を納める業者は、納入先ホテルの広告にロブスターが伊勢エビと掲載されているのを見つけ、「おかしいと思ったが取引してもらう以上、こちらからどうこう言うのは難しい。ホテルや百貨店業界の習慣だったのではないか」と語り、別の業者は「ホテルの料理長は50~60代が多く昔の感覚で表示を続け、下の者がおかしいと思っても料理長が絶対の社会で声を上げられないのでは」と推し量っていたそうなのだ。しかも高級店は納入業者の活発な営業活動を受けるそうで、料理店の格付け案内本「ミシュランガイド」で星がついた和食店は、ミシュラン掲載後に多い月は10回ほど納入業者が営業に来たそうで、ダイレクトメールも多数送られるようになったそうなのだ。
水産仲卸業者でつくる全魚類卸協同組合の理事長は「プロが見れば魚やエビの種類の違いは歴然。メニューの表記通りの食材を使っていたら提供できない値段設定もある。ただ一般の人には分からない。業界全体で信頼を取り戻す努力をしなければならない」と話しているそうなのだが、JAS法ならば品種や原産地が実際と違えば違反を問えるのだが、JAS法の対象は生鮮食品や加工食品でレストランのメニュー表示は対象外になっているそうなのだ。今回の問題を受け「外食のメニュー表示にもJAS法を適用させるべきだ」との声も上がっており、「外食でも原産地表示を求める声が強くなった」として、外食の原産地表示のガイドラインを設定し積極的に表示することを勧めているというのだ。
ただし外食メニューの原産地表示は義務ではなくあくまでも任意によるもので、外食のメニュー表示に偽装があった場合に適用される法律は、不当表示から消費者の利益を保護する景品表示法しかないそうなのだ。メニュー表示が実際よりも著しく優良であるかのように装い、不当に客を誘導する「優良誤認」があったか否かが焦点となるのだが、何をもって著しく優良を装ったと判断するのか明確な基準がないのが実情だそうなのだ。外食メニューに厳格な法規制がないことが問題視されていることから、食材の虚偽表示問題の広がりを受け立ち入り調査などの対応方針を固めた消費者庁は「適正な表示に向け是正を進めていきたい」としており、事実確認をする中で景品表示法に基づき立ち入り調査に乗り出すみたいなのだ。
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