私はコンビニで食品を買ったりしないし外食もあまりしないので関係は薄いのだが、外食産業大手の日本マクドナルドが中国製鶏肉商品の販売をやめたことが波紋を呼んでいる。サラ・カサノバ社長は決定に当たり「お客さまに提供する食事、またブランドに対する信頼が何よりも大切」と強調した。問題が長引けば前社長から託された経営再建への影響は避けられないため中国外しで幕引きを図った形だというのだ。日本マクロナルドで販売している「チキンマックナゲット」を製造していた中国の「上海福喜食品」で、消費期限切れの鶏肉を混入させた「チキンマックナゲット」を製造した問題の発覚したことから、日本マクドナルドには、消費者から原料原産地表示を求める電話が相次いだというのだ。
この中国製鶏肉商品の販売をやめた日本マクドナルドの決定を聞いて、コンビニのファミリーマート関係者は驚きの声を上げたそうなのだが、ファミリーマートも上海福喜から調達した「ガーリックナゲット」などを販売してきた以上、強い対応を迫られるのは必至だからだ。しこで日本マクドナルドが「中国外し」を決めた日に、ファミリーマートも中国の取引先に厳格な品質管理を求める方針を明らかにしたというのだ。日本マクドナルドも最初から中国製の排除を決めていたわけではないみたいで、当初は中国の別工場とタイに切り替える方針を打ち出していたというのだ。しかし消費者からの問い合わせが 1430 件に上り、「中国で作っていることが不安を呼び、信頼が傷つく事態を放置できない」とタイ製への一本化に踏み切った。
今回の事件で消費者の不安が高まっているのは事実で、フライドチキンを中国から調達するモスバーガーにも上海福喜の問題が明るみに出た後に、「安全性は大丈夫か」といった問い合わせが寄せられたというのだ。日本マクドナルドの判断に対し老舗外食企業の幹部は「お客さまの圧力が相当強かったのだろう」との見方を示していたのだが、製造国を切り替えるだけで問題が解決するわけでもないという指摘もされており、モスバーガーを運営する会社の幹部は「タイでも同様の問題は起こり得る」と指摘しているのだ。ベトナムから輸入した冷凍シシャモに毒性の強い薬剤などが混入されたことや、日本国内でも昨年末に冷凍食品から農薬が検出されるなど食の安全を揺るがす事件は枚挙にいとまがないというのだ。
同様の事態を防ぐには「チェック体制を強化するしかない」と話しているし、大手牛丼チェーンも「問題は国ではない。安全性をどう保証するかだ。中国からの調達を急にやめる必要はない」との立場で両社とも切り替えに否定的だった。それでも消費者の不安は募るばかりで、ある主婦は「中国の食品工場の映像を見ると、安い食品は怖いなと心底思った。外食でも産地を知りたい」と話し、原産地表示のないファストフード店の利用を控えるといっているそうなのだ。外食産業での原材料の名称や産地など表示する義務はなく、表示した場合のガイドラインを農水省が設けているだけだ。消費者庁は加工食品の栄養表示の義務化など、新しい食品表示法の施行に向け基準について詳細なルールを決めているというのだ。
ただ加工食品の原料原産地表示は議論の先送りが続き、外食の原産地表示は検討にも入っていないというのだ。外食の業界団体である日本フードサービス協会は「法律で表示義務が課せられれば、中小の飲食店の負担が大きく実効性が伴わない。企業の自主性に任せるべきだ」と義務化には反対の立場を貫いているそうなのだ。消費者からの「中国外し」を求める圧力が強まる可能性も否定できず各社は神経をとがらせている。外食産業は消費者の低価格志向に応えるため鶏肉加工品だけでなく多くの食材を中国に依存しているが、その一方でマクドナルドが中国製を切ったのも「お客さまの声が多かった」ことが決め手になった。各社は、安全と安さの両立という困難な課題に直面しているのだ。
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