私の住んでいる愛媛県では公共事業の発注機関である土木部門の職員数が、1996年度のピーク時に比べて約3割減少しているとされているのだが、行政ニーズの多様化とともに発注者としての業務負担が増大しているし内容も多岐にわたっているというのだ。国土交通省は発注体制を整備できない地方自治体への支援策を検討してきたそうなのだが、技術力向上に向けた要望の中で希望の多かった「他の発注者とのノウハウなどの情報共有」や「外部有識者会議や処理システムなど他の発注者の仕組みの活用」に「ガイドライン・手引の提供」・「事務代行や支援などの人的サポート」・「常時相談窓口の設置」といった具体的な支援項目を例示し選択できるようにすることにしたそうなのだ。
国土交通省は今月にはコンクリートのひび割れを遠くから検出する 29 の技術について、現場での試行に基づく評価結果を公表したのだ。各技術の特徴や適用範囲を比較しやすいように表にまとめることで活用を促すのが狙いだというのだが、これらの結果は新技術情報提供システムの「維持管理支援サイト」で見ることができるそうなのだ。「維持管理支援サイト」というのは社会資本ストックの老朽化対策に有効な点検技術を募り、発注者・施工者・設計者などに広く情報提供するシステムで現場での活用を支援するのが狙いで、このサイトに掲載する技術情報の募集もしているというのだ。併せて老朽化対策に役立つ技術を試行するためのテーマも公募しているおいのだ。
従来の打音点検は点検用ハンマーを使用し人力で耳により異音を判断するという打音法で、点検員はかがんだ状態で路面等を叩いて異音箇所をマーキングチョークで罫がいて行く方法がとられていたのだ。点検作業は点検員が 3 名で 1 人当り左右 1m を 30cm 間隔で叩いて行くもので、空隙であると判断された箇所に点検員のマーキングし、再度総括点検員により空隙調査を行ってスプレーにて明示し、さらにその後スケッチ図を作成する方法だという。今回の打音測定システムは「手押し式 4 輪車」の打音測定車を 1 人が立ち姿勢で前方に一定の速度で走らせながら、もう 1 人が「ヘキサゴン」と呼ばれる六角形断面のハンマーヘッドの回転による衝撃音を集音計とレコーダーで収録していくというのだ。
そのデータをパソコンに送って画面上にソフトウエアを利用して、「ソノグラフ」という音の波形の表示を行ない空隙等の箇所を特定することが出来るというのだ。またそのデータは音も併せて確認が出来るかめ、現場での異音箇所を特定することが出来るそうなのだ。私もよく利用する「維持管理支援サイト」では新技術情報提供システムに登録された技術の中から、点検などに役立つ技術を募り一覧で整理した情報を提供するものなのだが、触診・打音など従来の手法に代わって「ひび割れ」・「腐食」・「変形」といった構造物の状況を把握できる点検技術を集め、戦略的な維持管理・更新への活用を支援し、構造物の診断調査結果を解析・管理・収集する技術も掲載対象としているシステムなのだ。
試行した 29 技術の内訳は、カメラを使う技術が 21 件と最も多かったそうなのだが、試行に用いた構造物は、プレストレスト・コンクリート単純 T 桁橋当の橋梁に、道路トンネル・道路の擁壁等なのだが、新技術情報提供システムによる評価を活用し、国土交通省で試行結果の審査を経て結果を発表したそうなのだ。橋梁の場合橋台や床版・主桁・橋脚といった部位ごとに、検出できたひび割れの数や長さや幅などを評価しているのだが、「ひび割れは全て発見され、ひび割れ長さは精度よく検出されていたが、ひび割れ幅に誤差が見られた」とおうのだ。国土交通省社会資本老朽化対策推進室は「ユーザーにとって有益な情報を載せた。評価結果を適宜、活用してほしい」としているそうなのだ。
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