北朝鮮は北朝鮮北東部に位置する咸鏡南道の新浦付近の日本海から、潜水艦発射弾道ミサイルを1発発射したというのだ。このミサイルは北東に約500キロ飛行し日本の防空識別圏内の海上に落下した。北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイルは300~400キロを超える高高度に達した後、高さ約50キロの空からマッハ10の速度で日本海に落下した。固体燃料が使用され機体の1段目と2段目の分離にも成功した模様で、燃料を増やせば2000キロ以上の飛行も可能と韓国軍は判断している。実験の成功といえる飛距離300キロを初めて超えて飛行したうえ、日本の沿岸に近づけないよう意図的に高い角度で発射したとみられ、今回の潜水艦発射弾道ミサイルを通常の角度で発射した場合1000キロ以上の射程になる可能性があるという。
日曜日のTV番組ではこのことの話題が取り上げられており、防衛省幹部は「日本が射程に入ることになる」と指摘し、また6月に発射された中距離弾道ミサイル「ムスダン」が高度1000キロに達しており、「北朝鮮のミサイル技術全体が大きく底上げしているようだ」と警戒感を示した。日本政府は北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイルを「新たな脅威」とみて警戒を強めており、安倍晋三首相は首相官邸で記者団に「我が国の安全保障に対する重大な脅威だ」と語ったそうで、稲田朋美防衛相も記者団に「北朝鮮の軍を優先する政治の中で、日々技術を改良していることは事実だ」と述べ、一定の技術的進展があったとの認識を示し、3月に施行した安全保障関連法に基づく自衛隊の訓練を行う準備が整ったと発表した。
我が国は弾道ミサイルを撃墜するため「SM-3」と「PAC-3」という2種類の迎撃ミサイルを保有しているが、弾道弾迎撃の困難さは「けん銃の弾を、けん銃の弾で撃ち落とすようなもの」と例えられているのだ。そこで稲田朋美防衛相は記者会見で、3月に施行した安全保障関連法に基づく自衛隊の訓練を行う準備が整ったと発表し、自衛隊は実施予定の米軍との共同統合演習「キーンソード」で、安保関連法で定められた新事態を想定した訓練を行う方向で調整するというのだ。また11月中旬以降に南スーダンでの国連平和維持活動に派遣する予定の陸上自衛隊部隊に「駆け付け警護」などの新任務を付与するため、9月中旬から準備訓練を行うための教材作成や教官養成を行ってきたというのだ。
新たに南スーダンに派遣される部隊に付与される駆け付け警護は、離れた場所で武装勢力に襲われた非政府組織職員などを救援する任務で、治安悪化などによる緊急時に他国軍と協力して宿営地を守る「共同防衛」も行うものなのだ。安保関連法ではPKO派遣部隊が現地の監視・巡回を行う「安全確保業務」も可能となっており、アフリカ地域の緊迫した紛争地においてはある程度の武力を持った軍隊の介入は必要だとされている。そうしなければ民間人を含め人が死ぬからなのだが、南スーダンに派遣されるのは監視・巡回などを行う歩兵に当たる普通科部隊ではなくても、安保関連法に基づく「グレーゾーン事態」で米軍を守るため武器使用を行う「武器等防護」等の新任務に関しては訓練の準備を終えている。
これはわざわざ新しい紛争地に武器を担いで自衛隊員が入るよりも、すでに活動している地域に「若干」装備と規律が変更された自衛隊員に入れ替わる方が、はるかに技術的に容易であるうえ反対世論も抑制できるからだといわれているのだ。南スーダンにおける施設部隊は平成24年の1月から順次派遣されており、道路等のインフラや敷地等の整備を実際に行う部隊で、約350名が派遣されているといわれている。南スーダンにおける治安情勢が悪化したため派遣施設隊はジュバの国連施設内において、避難民の支援として避難民保護区域の敷地造成や整備を実施しているほか、給水活動や医療活動についても支援を実施しているそうなのだが、武器使用の可能性がある新任務に関連した訓練は9月中旬ごろとなる予定だという。
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