福岡市 の名物「屋台」の担い手を募る初の公募手続きが行われており、路上営業を厳しくした福岡市の規制で営業が続けられなくなる28軒分が対象で選考されると来春に開店することができるという。大学教授や市議らでつくる選定委員会が書類審査と面接で年内に決めるそうなのだが、メニュー内容や外国人観光客らへのおもてなし街の魅力向上への工夫などを100点満点で採点するという。営業場所は中洲・長浜・天神3地区の計28カ所で、採点上位者から好きな場所を選ぶことができ最長10年間営業できるというのだ。福岡市は今後も公募を続け屋台を集約する方針だが、周辺住民からの苦情が多かったことなどから市道上での屋台営業は「原則一代限り」とし、例外として継承できるのは配偶者と子供に限っていたのだ。
これにより最盛期に400軒以上あった屋台がぐっと減っていた福岡市の屋台だったのだが、10年に就任した高島宗一郎市長は「屋台は観光資源」と位置づけ存続を探り、屋台基本条例で住民への配慮の徹底など営業ルールを厳格に定め公募の導入も決めたという。福岡市によると屋台の営業権の公募は初めてだというが、斬新な発想やデザイン性のある屋台を導入し市の観光資源である屋台の魅力を高める狙いがあるという。公募枠は30軒ほどになる見込みというが、学識経験者らでつくる「屋台選定委員会」が審査し、年内に営業候補者を決め来年4月から営業を始めてもらうという。福岡市によると市内には現在119軒の屋台があり、111軒は市が管理する道路や公園で営業している。
現在営業している屋台のうち28軒は屋台の営業許可を受けた人以外が営む「名義貸し」をしていたため、福岡市は屋台を実際に営業している人に3年の期限付きで新たな許可を与えて営業させていたというのだ。福岡市は屋台を観光資源と位置付けているが歩道の確保が不十分だったり、名義貸し屋台が横行したりしていたため2013年に屋台基本条例を制定し適正化を推進してきたというのだ。名義貸しを改善できない場合は猶予期間の3年が経過する来年3月に廃業となる。ただ当時125軒あった屋台のうちすぐに名義貸しを改善できない屋台が4分の1程度に上ったため、「適正数」とする110〜120軒程度を維持するには不足分を公募でまかなう必要があるとしていたというのだ。
屋台で楽しむとなると心配なのは飲酒運転なのだが、福岡市は 2006 年の事故後に懲戒処分指針を改訂し酒気帯び運転は原則「懲戒免職」としている。飲酒絡みの不祥事が相次いだときには 1 カ月間の「自宅外禁酒令」も出しているのだ。「飲酒運転はしない、させない」という職場の宴会の冒頭で呼び掛けるなど意識改革が進む中で、昨年12月の福岡高裁判決によると同僚らと飲酒した後にバイクを運転して帰宅する途中に酒気帯び運転容疑で検挙され、罰金30万円の略式命令を受けた市職員に対して行われていた「懲戒免職」に関して、「男性の行為は飲酒運転の中でも比較的軽い。公務員の地位を奪う処分には特に慎重な検討が必要で免職処分は重すぎて違法だ」と判断したというのだ。
福岡高裁の佐藤明裁判長は「飲酒運転撲滅に取り組んでいる市が厳しい処分をする方針は理解できるが、免職には慎重な検討が必要」と指摘し、人的にも物的にも被害がなく反省していることなどを考慮し「免職は裁量権を逸脱し、違法」と判断した。処分を取り消した一審・福岡地裁判決を支持したそうなのだ。それに対して福岡市水道局は「主張が認められず残念だ。市は飲酒運転撲滅運動の先頭に立ち、職員に飲酒運転は免職と徹底してきた。最高裁の判断を仰ぐ方向で協議する」とのコメントを出していた。その酒気帯び運転を理由に懲戒免職となったのは「処分が重すぎて違法だ」として、福岡市を相手に処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷福岡市の上告を退け敗訴が確定したそうなのだ。
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