東京電力福島第一原子力発電所事故から約 5 年半が過ぎたのだが、社会中の多くの方にとってはその記憶も時間の流れとともに風化し、現在においては事故当時の被災された方々の気持ちも被害も、原発そのものの状況も分からない局面にきているといわれている。その一因は社会が理解できる発信が出来ていない廃炉現場そのものに原因があるとされており、それは厳しい核物質防護のルールだといわれている。福島第一原子力発電所は原子力事故が起きて社会的には公的な場として変わったとされるが、核物質防護上は日本中にある原子力発電所と同様に扱われており、核物質防護上写ってはいけないものが写ってしまう恐れからマスコミへの規制も厳しく規制されているというのだ。
それほど原子力発電所構内にはあらゆるところに防護のための施設があるそうなのだが、放射能汚染を恐れて住民が離れた場所は今や観光地として新しく扱われようとしているという。月 1 回の福島第一原発への視察では、原発事故後の暮らしを生きる人達が現状を知るための手段として学びという概念のもと企画されており、核物質防護のテロ対策を預かる東京電力が国のルールに則り、動機と共に視察者身分を判断し特別に許可するものになっているという。現行ルール範疇では視察受け入れ可否についても、見せる場所についても東京電力に委ねられるのが現状で、「核物質防護上は見せる場所ではない」ということがそれを表しており、現状では個人の視察は許されていないのだ。
団体による視察を東京電力に願い出て視察日を順番待ちし「見させてもらう機会」となっているのだが、福島第一原発の構内状況は 5 年半の月日と共に大きく変わったという。バス車内からの視察であれば特段の放射線防護対策は不要で、一般の方も見ることが出来る場所が増えているそうなのだが、一般の人が見ることができるということは、被ばくの観点から安全な場所に限られており、それは現場改善が進んだ場所しか見せないことを指しているのだ。これまで東京電力が受け入れてきた視察者は約 2 万 5000 人に上り、口伝をもって「福島第一原発は見に行ける場所となった」と、端的に伝わることが福島第一原発に行けるツアー化に拍車がかかっているというのが現状のようなのだ。
大学生を視察も多くなっているそうでそれは大学生からの強い希望があって、原子力事故がいかなるものか現状どうなっているのかを知り、今後の生き方や学業に活かしていくことを勉強に来ているそうなのだ。バス車内からの視察は工事の妨げにならない場所を限られた滞在時間においての視察だというが、「誰でも安全に見に行ける場所に福島第一原発は変わった」という安易な誤解をも生んでいるというのだ。一般視察で行けないで見ることができない場所にこそ福島第一原発の廃炉の課題は詰まっており、特に放射線とどう上手く向き合い解決するかに働く人達は手をこまねいているというのだ。約 6000 人に上る作業員の方々が毎日働く理由は現場に課題があるからなのだ。
その課題を受け取りきれぬまま視察が終わり行った事実と改善状況のみが強調され、容易に行ける場所で安全な場所になったという感覚へと伝わるというのだ。原子力事故が起きた「東京電力福島第一原発」は、事故後全国にある原子力発電所とは社会的に扱われ方が変わり、その現状は私達の生活に影響を及ぼすものとして歴史的な事故のあった場所として、公的な場所になってしまったというのだ。それゆえに見たい・学びたいと社会欲求に答えるべき場所と変わっているというのだが、今はその社会欲求に応じられる場所としてのルール整備や環境整備が整っていないというのだ。健康影響を鑑みて作られた 16 歳未満は入ることが許されないというルールくらいは準ずるべきなのだろう。
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