2万1000人以上が犠牲になった東日本大震災は昨日で発生から6年を迎えたのだが、警察庁のまとめでは死者が1万5893人で行方不明者は2553人と戦後最悪の自然災害になったそうなのだ。避難中の体調悪化などが原因の震災関連死も全国で3523人となり前年比116人増加している。このうち福島県は2086人で直接死を上回っているという。岩手県・宮城県・福島県の東北3県を中心に襲った津波や東京電力福島第1原発事故で、今も約12万3000人が全都道府県に散らばって避難し、被災した東北3県の仮設住宅に約3万4000人が暮らしているというのだ。しかも災害公営住宅の建設や宅地造成の遅れや、原発事故の影響などで避難生活は更に長期化する見通しだとされている。
復興庁がまとめる避難者数はピークだった約34万7000人から3分の1に減ったが、今でも12万3168人で、原発事故のあった福島県民の避難者数は7万9226人を占めるという。集計)によると3県の復興住宅入居者数は3万9664人で仮設住宅と逆転してはいるが、高齢化率は4割を超え孤独死は少なくとも17市町村で22人に上っているそうなのだ。国が福島県の11市町村に出していた避難指示は、帰還困難区域を除き9市町村で解除・解除予定で、当初より面積で約3割に縮小するが帰還するのは解除対象者の8%前後とみられる。しかも大熊町と双葉町は全域避難が続いているというのに、避難指示区域外から避難した「自主避難者」について福島県は3月末で住宅無償提供を打ち切るというのだ。
東日本大震災の発生から6年たって各地で犠牲者を悼む催しがおこなわれたのだが、被害にあった東北の3県では依然として約3万5000人がプレハブの仮設住宅で避難生活を余儀なくされている。阪神・淡路大震災では約5年で仮設住宅はなくなったが、東日本大震災の被災地では仮設住宅の解消の見通しは立っていないのが現状だという。福島県では福島第一原発の事故の影響でいまも約8万人が県内外での避難生活を強いられている一方で、放射線量が高い「帰還困難区域」を除くほとんどの区域では、今月末から来月にかけて避難指示が解除されるというのだ。しかも復興庁によると被災地で事業に携わっている人のうち売り上げが震災前の水準まで回復したのは半分以下にとどまっているという。
福島県ではおよそ8万人が避難生活を続けこのうち2万6000人余りが自主避難しており、「原発いじめ」という言葉が示すように根強い風評や風化が「復興」を妨げているという。松野文部科学大臣は「原発いじめ」の実態を把握するため、初めて全国規模の調査に乗り出す考えを示しているが遅いとしか言いようがないのだ。ある新聞社が避難家族の実態を調査したところでは、原発事故の2か月後にある家族は当時3歳の息子と0歳の娘を連れて、福島からおよそ550キロ離れた大阪へ避難したというのだ。郡山市は原発事故の避難指示区域外だが、この家族は子どもたちを放射能の影響を心配しなくていい環境で育てたい思いから、自主避難を決断し、夫は仕事で郡山に残り家族は二重生活となったという。
福島県は避難指示区域外から自主避難した家庭を支援するため、避難先の住宅の家賃を全額負担してきたのだが今月でその支援が打ち切られるというのだ。震災と原発事故でピーク時には避難者が15万人余りに上った福島県なのだが、浪江町と川俣町の一部と飯舘村・富岡町の避難指示が解除されるという。これで放射線量が比較的高い「帰還困難区域」などを除き再びふるさとで生活することができると政府は言うのだが、打ち切りの対象となるのは2万6000人あまりで、来月からは経済的な負担がさらに重くのしかかってくるというのだ。専門家も「打ち切るということは、避難したいと思う人が避難を継続できないということになる」と福島県のこの決定を非難しているというのだ。
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