現在国会で審議されていることから参院議員会館で、田原総一朗氏や小林よしのり氏らジャーナリストや作家ら 14 人が会見を行い、私も大反対だと思っている共謀罪法案の反対を訴えたそうなのだ。共謀罪は「平成の治安維持法」と言われており、なかにはそれを大げさという向きもあるのだが戦争世代である田原氏が「むしろ両者はそっくりだ」というのはやはり説得力があるという。田原総一朗氏は「安倍首相はテロリストを対象にした法案であり一般の国民は全く関係ないと言っていますが、テロリストは一般の国民の中に潜り込んでいるわけだから、本気になって取り締まろうとすれば、当然一般国民のプライバシーに深く広く入り込まざるを得ない。おそらくそのつもりだと思います」と語っているのだ。
また田原総一朗氏は発言を続け「私は戦争を知っている最後の世代だと思います。小学校5年生の夏休みに玉音放送が流れた。戦争を知っている世代だとすれば、どうしても治安維持法を思い浮かべます。治安維持法も安倍さんの言い方と同じでした。『これは国体を壊そうとする共産主義者を取締りの対象とするもので一般国民は全く関係ない』そう言いながら、2回改正して、政府を批判する人間、さらに満州事変が始まってからは戦争を批判する人間を全部逮捕した。私の知り合いでも拷問されて亡くなった人がいました。今回の「共謀罪」法案は、この治安維持法とそっくりですよ。だから、戦争を知っている私たちは体を張ってこれに反対しなければいけない」と締めくくったという。
国会で参考人として発言した保守派の論客である小林よしのり氏も政府の提出した共謀罪法案には反対だそうで、「この共謀罪法案は、国民世論で見ると、賛成のほうがパーセンテージは高くなってしまう。ここのところを突破しなければどうにもならないところがあるんですよ。だいたい共謀罪に反対と言っている人は左翼だと、そういう認識になってしまっているんですね。保守がこれに反対するはずがないと思われてしまっている。一般の人、 90 %以上の人が『自分は一生テロとかそんなことやるはずもないから、関係ない。そういうことをやる人がいるのだったらさっさと捕まえればいい』としか思っていないですよ。だから、関心がない、ということになりますけれども右の方向からワシが共謀罪の危険性を訴えた」というのだ。
また保守派の論客である小林よしのり氏は発言を続け「普段はほとんど 90 %以上の人がモノ言わぬ市民として暮らしています。それで一生終えますよ。けれども何かあった時は、たとえばワシが関わった薬害エイズ事件では子どもが非加熱製剤入りの注射を打たれてしまった。いわば無差別テロのようなことをされてしまったわけですよね。そういう時は権力と闘わなきゃいけなくなるんですよ。モノ言わぬ市民のはずが被害を被った時は、モノ言う市民に変わるんです。こういう時のことを一般の普通の市民が想像できるかどうか。ここにかかっているんです。このことをマスコミの人たちがちゃんと伝えてほしい。誰でもモノ言わねばならない市民に変わってしまいますよ」と自らの体験をもとに共謀罪に反対の意思を示したというのだ。
共謀罪については朝日新聞が大変興味深い報道を行っていたそうで、いろいろな世論調査で共謀罪法案への賛否を問うとかなりばらつきが出るのだが、これは設問のしかたに負うところが大きいのではないかというのだ。つまり政府が行っているような「東京五輪を控えてテロ対策として出てきた法案だ」という説明を行ったうえで賛否を問うと賛成がどんと増えるが、逆に「犯罪を実行しなくても計画段階で処罰できる法案だ」という説明をすると反対が増えるという。こんなふうにぶれが出るのは要するに法案について国民が知らされておらず、自分なりの意見を持つに至っていないため設問の説明に左右されてしまうというわけだというのだ。これは使い方によってはどちらにでも使える法律だということを示しているというのだ。
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