低燃費車の普及に伴いガソリン需要が低迷するなか経営者の高齢化などに加え老朽タンクの改修を義務付けた消防法改正が追い打ちとなり、2013年には全国の ガソリンスタンドの休廃業・解散数は前年比 3 割増の 258 件と 2 期連続で前年度実績を上回った。 ガソリンスタンドが減り続けている。1990年代は全国で約6万店あったが、近年、年2~3%の割合で減り続け、2015年度末で約3万2000店に減少しているという。自治体内のガソリンスタンドが3カ所以下という「GS過疎地」も増えている。人口減少、経営者の高齢化、若者の車離れといったガソリンスタンドを取り巻く経営環境が厳しさを増す中、減少に歯止めをかけようと、経済産業省が先月、群馬県庁昭和庁舎で全国初の対策フォーラムを開いたそうなのだ。
フォーラムは「GS過疎」対策の先進事例を紹介しながら自治体の計画策定を促し支援するのが狙いだというのだが、群馬県が初開催地となったのは県や関係市町村の問題意識が高いことや「GS過疎地」が集中する県西部をモデルケースに対策をしやすいことなどが理由だとというのだ。経済産業省の担当者は「ガソリンスタンドはいったん閉鎖すると、再開するには多額の設備投資が必要となる。廃業する前に手を打つのがリーズナブル。踏みとどまれるかどうかの瀬戸際に来ている。歯止めをかけたい」と強調したそうだが、経済産業省は将来的には、消防法の規制を緩和し無人給油所や移動型タンク貯蔵所の活用促進を目指すというが、規制緩和だけで廃業するガソリンスタンドをすくことはできないという意見もある。
地元住民や自治体に石油元売りなどが協力して給油所を維持する動きはあり、経済産業省も運営を支援するなど過疎対策を強化しているが、抜本的な解決策につながっていないのが現状だという。経済産業省はガソリンを運搬するタンクローリーを「移動式 GS 」と位置付け、定期的に巡回させて広い駐車場などを利用し住民の車に直接給油することなどを想定しているそうなのだが、「高齢者は遠出が難しく、村にとって、給油所はなくてはならないもの」とか「価格の安い都市部で給油する人も多く、月50リットルを上回るのは難しい」といった「GS過疎地」の自治体の担当者からは切実な訴えが聞かれた。こうした声に対し経済産業の担当者は有効策の一つとして小型の貯蔵タンクを用いた「ミニGS」を紹介したそうなのだ。
事例発表では5年前に地区唯一のガソリンスタンドの経営者が高齢と施設の老朽化を理由に廃業を決めた群馬県内の自治体では、閉鎖されると町民にとって最も近いガソリンスタンドでも約20キロ先になってしまううえ、地区内の道路は1本道のため災害などで通行止めになると孤立状態になり、ガソリンの供給がストップしてしまう恐れがあったという。住民らの要望を受け町が引き受け先を探した結果地元の観光関係の3社が100万円ずつ出資して合同会社を設立し運営を再開した。高知県四万十市では廃止を決定した地区唯一のガソリンスタンドを存続させるため100人超の住民が株主になり約700万円の出資金を元に株式会社を設立し、ガソリンスタンドを買い取って地域のコミュニティーとしても役立っている例が紹介されたという。
町が廃業したガソリンスタンドを買い取った例もあって、和歌山県すさみ町では将来想定される震災対応の拠点を整備するため廃業したガソリンスタンドを買い取り、資源エネルギー庁の補助金も活用し町営ガソリンスタンドとして再オープンさせたという。米国や英国などではタンクローリーからの直接給油が認められており、ガソリンスタンドの少ない地方で実施されていることからより経済産業省も安全な装置や仕組みを開発し規制緩和を目指すという。私の住み愛媛県は市町村合併が進んだことから「 GS 過疎地」はないとされているが、車以外の交通手段がない人口過疎地域では給油所は生活を支える重要なインフラなため、安全性と利便性を両立させる開発と法改正が期待されているという。
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