温暖化でウイルスを運ぶ蚊が北上しテング熱やジカ熱などの熱帯病が増えるおそれは以前から指摘されていたが、地球温暖化が進めば糖尿病の患者が増えるというのだ。オランダの研究チームが気になる論文を専門誌に発表したのだが、研究チームが米国50州などの1996~2009年のデータを解析した結果平均気温が1度上がると、2型糖尿病の発症率が1千人当たり0・314人増えるというのだ。米国だけでも10万人以上の増加にあたるというが、チームが注目するのが体内の「褐色脂肪組織」で、寒いと脂肪を熱に変え体温を保つ働きがあるという。温暖化で気温が上がると組織の働きが弱まりカロリー過多で糖尿病を発症するという仮説をたてているが、高齢化が進み2型糖尿病は世界的に増えているそうなのだ。
国内の糖尿病が強く疑われる成人が推計で1千万人に上ることが厚生労働省の国民健康・栄養調査でわかったという。調査を始めた1997年の690万人から増え続け今回初めて大台に達したそうなのだ。厚生労働省は高齢化が進んだことが影響したとみているはが、調査は昨年度に20歳以上の人に実施したのだが、血糖の状態を示す血液中の「ヘモグロビンA1c」値の測定結果がある約1万1千人を解析し、全国の20歳以上の全人口にあてはめて推計した。ヘモグロビンA1cが6・5%以上で糖尿病が強く疑われる「有病者」は12年の前回調査より50万人増えて1千万人に上っており、男性の16・3%と女性の9・3%を占め男女とも高齢になるほど割合が高い傾向となっているそうなのだ。
一方ヘモグロビンA1cが6・0%以上6・5%未満で糖尿病の可能性が否定できない「予備軍」は1千万人で前回より100万人減ったという。厚生労働省は生活習慣病を防ぐために始まった特定健診で予備軍は減ったが、高齢になってインスリンの分泌も少なくなることなどから予備軍の症状が悪化し有病者が増えたとみている。高齢化がさらに進み今後も患者数の増加が予想されているが、 2 型糖尿病は血液中のブドウ糖が正常より多くなる病気で、初期の頃は自覚症状がほとんどないが血糖値を高いまま放置すると、徐々に全身の血管や神経が障害されいろいろな合併症を引き起こすとされているのだ。その 2 型糖尿病は遺伝や高カロリー食に高脂肪食と運動不足などが原因と考えられている。
2 型糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンの働きの低下つまり「インスリンの作用不足」が原因で起こるのだが、食事によって血液中のブドウ糖が増えるとすい臓からインスリンが分泌されブドウ糖が筋肉などに送り込まれエネルギーとして利用されるが、「インスリンの作用不足」が起こると血液中のブドウ糖を上手に処理できなくなり、血糖値の高い状態が続くようになってしまうのだ。「インスリンの作用不足」には 2 つの原因があって、 1 つはすい臓の働きが弱くなりインスリンの分泌量が低下する「インスリン分泌低下」と、もう 1 つは肝臓や筋肉などの組織がインスリンの働きに対して鈍感になり、インスリンがある程度分泌されているのに効きにくくなる「インスリン抵抗性」だといわれている。
2 型糖尿病では体質以外にも肥満や運動不足や食べすぎといった生活習慣の乱れが、「インスリン分泌低下」や「インスリン抵抗性」を引き起こすと考えられており、インスリン分泌の量やインスリンの効き具合が低下しインスリンの作用不足が起こるという。インスリンはすい臓の細胞で作られるホルモンで血糖値を下げる働きがあって、 2 型糖尿病では「インスリンの作用不足」を改善し血糖値を上手にコントロールすることが大切なのだ。そうすることで病気の進行を防ぎ合併症を予防することができるのだが、低栄養になりやすい高齢者は高血圧や軽度の糖尿病などの病気があっても食事の制限を緩めたほうがよいとされている。結局のところ年をとったら好きなものを楽しく食べるのが良いことのようなのだ。
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