日本人は欧米人より腎臓の機能が弱く慢性腎臓病になりやすいとする研究結果を、日豪などのチームがまとめ米科学誌に発表したそうなのだが、そのチームの 神崎剛東京慈恵会医科大助教は「塩分のとりすぎや肥満に注意してほしい」と話している。日本腎臓学会の推計によると国内の慢性腎臓病患者は1300万人とされ、32万人以上が人工透析を受けているという。日本人の腎機能が弱いのは体格や腎臓ともに小さいためとみられているが、そのうえ塩分の多い食事でより負担がかかるというのだ。神崎剛東京慈恵会医科大助教は「ネフロンの数は出生時に決まっている。近年増加傾向の低体重で生まれる赤ちゃんが特に心配だ。生活習慣に気をつけ、腎機能を継続的に調べる必要がある」と語っている。
腎臓は腰の上あたりお腹の後ろ側に背骨を挟んで左右1つずつあって、形はそら豆に似ていて重さは 1 つ 120 〜 160g で大きさはにぎりこぶしぐらいだという。腎臓の最も大切な働きは体の中にたまった老廃物や余分な水分を外へ出して血液をきれいにすることで、これを「ろ過」といい血液が腎臓に流れ込んで糸球体を通るとき、糸球体の壁から老廃物を含んだ液体がこし出されていくというのだ。これを原尿といいその原尿が尿細管や集合管を通ると、体に必要な成分や水分は再び吸収され、尿細管では不要な物質の排泄もするという。そして最終的に老廃物と余分な水分だけが尿となって体外へ出されるが、ネフロンの働きで腎臓は尿の濃さや量を調節し体内のイオンバランスや酸性度などを適正に保っているというのだ。
血液中の老廃物を濾過して尿を作る組織「ネフロン」は基本的な機能単位であり、腎臓の皮質部分に位置にある腎小体とそれに続く 1 本の尿細管のことで、その数は腎臓1個あたり約100万個あるとされてきた。人間の場合は左右の腎臓合わせて 2 百万個ほど存在し、各ネフロンで濾過し再吸収して分泌・濃縮が行われ原尿が作られていくという。腎臓はろ過以外にもいろいろな機能を持っており、そのひとつがホルモンの産生・分泌で腎臓から産生されるエリスロポエチンは骨髄での赤血球の産生を促している。また「レニン」・「プロスタグランディン」・「カリクレイン」・「キニン」は血圧を調整しており、さらに腎臓はビタミン D の活性化も行いそれによりカルシウムの吸収が促され骨が丈夫になるというのだ。
腎臓はさまざまな働きをしているためその腎臓の機能が低下すると、体内に老廃物や水分がたまるだけでなく、赤血球が作られず貧血で体がだるくなったり、ビタミン D が活性化されず骨がもろくなり骨折しやすくなったり、といったさまざまな問題が起こるというのだ。腎臓の働きが悪くなると体内の尿素をはじめとする有毒物質が排出されにくくなり、体内に毒素がたまり多くの障害を起こすことになって腎不全ということになってしまうのだ。この腎不全には意識障害などの精神症状を伴うことがあるが、その場合を特に尿毒症というそうなのなのだ。この腎不全の治療には人工透析が行われるが、つまり腎臓の役割を人工透析器という機械を使って、体内の血液を体外に取り出してろ過し老廃物を取り除いて再び体内に血液を戻すというのだ。
腎臓の研究をしている日豪などの研究チームによると、「ネフロン」の数は20万~200万個と人種などで差が大きいとわかってきたという。このチームは国内の健康な人だけでなく、高血圧や慢性腎臓病の各9人の計27人の腎臓を調べたところ、推計すると健康な人は平均64万個で高血圧患者は39万個となり慢性腎臓病患者は27万個だったという。欧米人の平均90万個と比べ大幅に少なかったが、慢性腎臓病では日常的な腎臓の負担をできるだけ少なくするよう食事などの生活習慣を管理した上で、薬を使ってコントロールするというのだ。仕事や家事・学校生活はどの程度行えるか通勤通学は可能か、血圧や体重のコントロール方法に運動の程度などそれぞれの患者の状態に最適な方法を見つけるというのだ。
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