今年行われる税制改正は例年以上に個人向けの増税項目が並んだそうで、昨年の10月の衆院選前は安倍晋三政権の支持率低下を背景に所得税改革やたばこ税増税を見送る方針だったが、与党の圧勝を受け一気に増税路線に傾いたという。懸案の消費税の軽減税率の財源確保にも一定のメドが立ち消費税率10%への引き上げにも道筋を付け、焦点だった所得税改革について大綱では年収850万円超の会社員や高収入の年金受給者を増税する一方、自営業やフリーで働く人を減税する仕組みを盛り込んでいつ。実際の増税対象者は独身の高所得者や高収入の年金受給者らに限られることから、税制改正に向けた議論の過程でも特段、大きな批判を招かずに900億円もの税収増を捻出できるというのだ。
たばこ税増税も同様で衆院選挙後には受動喫煙対策の強化を理由に引き上げが決まりたばこ税増税に伴い得られる税収は2400億円だという。所得税改革と合わせれば3300億円もの税収増を確保できたことになるが、与党は一連の増税を決めた背景にあるのが衆院選での安倍首相の公約で、消費税増税で得られる増収分の使い道を組み替え子育て支援に振り向けることを打ち出したkとにある。既に具体策は2兆円の政策パッケージに盛り込まれ、消費税増税に伴う増収分の1兆7千億円が財源に充てられることになっている。消費税率10%は政権の既定路線になった形なのだが、昨年末の東京株式市場の日経平均株価は日銀の買い支えへの期待から買い注文が優勢となり終約26年ぶりの高水準を付けている。
株価は政権発足時の2倍以上で東京外国為替市場でも円相場は113円台と、政権発足時から約30円の円安水準で取り引きされた安倍政権だが、円安と株高を進めたのは日銀が25年4月以降打ち出した「異次元」の金融緩和なのだ。企業業績は輸出産業中心に改善し経常利益は過去最高水準だがただ個人消費が弱いのは変わっていない。昨年10月の消費支出は28万2872円と安倍政権発足時の32万5492円を大きく下回っているが、理由の一つが賃上げの弱いことだ。みずほ総合研究所の酒井才介主任エコノミストは「企業は、長年デフレが続き物価を上げられない中、賃上げしても収益が圧迫されるだけだと恐れている。雇用慣行上、いったん上げた賃金を下げづらいことも大きい」と指摘している。
消費税増税を予定通り実施するために積み残されていた課題が増税時に食料品などに適用する軽減税率の財源の捻出策だが、制度の導入で生じる1兆円の減収分のうち6千億円の穴埋め財源を確保できていなかったのだ。今年の税制改正で半分程度を確保できる算段が付くことになったわけだが、相次ぐ個人増税は消費者心理を冷やし消費の減退にもつながりかねないという。ただでさえ経済協力開発機構)の最新の世界経済見通しでは、今年の日本の実質国内総生産の伸び率は前年比1・2%と、昨年の1・5%から落ち込む見通しになっており、頼みの米国経済も先行きを危ぶむ見方がある中で安倍首相は予定通り消費税増税を断行するのか予断を許さないという径崎学者も多いという。
内閣府が18歳以上の国民に行った世論調査では不安を感じることの最多が「老後の生活設計について」で、政府への要望で最多が「医療・年金等の社会保障の整備」となっている。市場関係者は社会保障制度への将来不安も消費が盛り上がらない理由とみているが、モノが売れなければ企業も値上げできないことから、消費喚起へどこまで有効な対策を打てるかがデフレ脱却に向けて重要となっている。その安倍晋三首相は平成24年の第2次内閣発足から丸5年を迎え在職日数は第1次内閣時代を合わせ2200日を超えるが、安倍首相が今年の9月末に任期満了を迎える自民党総裁選に出馬するのは確実で、当選した場合は歴代1位の桂太郎氏の2886日を抜き憲政史上最長の政権が視野に入るというのだ。
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