群馬県等にある草津白根山の本白根山が噴火したのだが、噴火した場所は 3000 年間噴火せず気象庁も完全にノーマークだったという。関係者は「全く想定していなかった」とうなだれているそうで、群馬県や草津町は情報収集にあたったが、午後4時すぎには陸上自衛隊員1人が死亡したとの情報が県災害対策本部会議で報告された。死亡した陸上自衛隊員の男性は相馬原駐屯地に司令部を置く第12旅団第12ヘリコプター隊所属の陸曹長で上半身を骨折したという。当初は雪崩に巻き込まれたとみられていたが噴石による被害だったとみられ、隊員らはスキー場で約30人がスキー訓練予定だったが、コースが雪崩の危険で閉鎖されていたため別のコースへ向かう途中に噴火が発生したという。
自衛隊や消防への取材によると被害に遭った他の隊員のうち2人が重体で緊急手術を受けており他に重軽傷者が5人だという。草津町役場に噴火の一報が入ったのは午前中でスキー場を管理運営する町観光公社からだったという。草津町役場総務課係長は「特に音もなく、言われて初めて窓の外を見たら噴煙に気付いて、ああ噴火したのかって思った」と話している。町のシンボルで観光の目玉である湯畑近くの旅館関係者も「報道で知って驚いた」というほどだったというが、白根山は昭和58年に噴火しているそうなのだ。本白根山での噴火に地元住民も「記憶にない。本当にびっくりした」と語っている。草津町役場では災害対策本部を設置し山頂付近のスキーヤーに緊急事態を広報するなど情報収集に追われたという。
群馬県も午前中に災害対策本部を設置し大沢正明知事が陸上自衛隊に災害派遣要請をしたそうなのだが、「被害を最小限に食い止めてほしい」と願っていたという。午後4時の対策本部会議で自衛隊員1人の死亡が伝えられると「痛恨の極み」と悔やんでいた。草津町の黒岩信忠町長も噴火について「全く想定もしていなかった。本白根山が噴火するとは思わなかった。言葉にならないくらい残念」などと語っている。草津町役場総務課係長は「本白根山は白根山とともに町のシンボル。特にコマクサが有名で多くの登山客に愛されている名山。7・8月の行楽シーズンだったらと思うとゾッとする」と表情をこわばらせ、草津温泉観光協会によると当日の朝は噴火の予兆はなくいつもと変わらなかったという。
気象庁によると噴火したのは白根山山頂付近から南へ約2・5キロの本白根山鏡池付近で、噴火時刻から振幅の大きな火山性微動が8分間継続しており、振幅の小さな火山性地震も60回以上観測され地盤の動きを計測する傾斜計にも変化があったという。火口から噴石が1キロ以上飛散するのが確認されたが、警戒レベルが「活火山であることに留意」のレベル 1 に引き下げられた昨年4月以降、目立った噴火の兆候は観測されていないという。記者会見した斎藤誠火山課長は「周辺火山の観測を強化する。危険な区域には近づかないようにしてもらいたい」と話し、噴火警戒レベルを「入山規制」にレベル3に引き上げ、火口から2キロの範囲で飛散する大きな噴石などに警戒するよう呼びかけている。
草津白根山は主に湯釜火口で明治から昭和にかけて15回の小規模または中規模な噴火が確認されているが、昭和58年に湯釜で小規模な水蒸気噴火を観測して以降噴火活動は確認されていないそうなのだ。東京工業大で火山学を専攻している小川康雄教授の話では「草津白根山は1980年代に火口で水蒸気噴火をしたことがあり、ここ数年は湯釜と呼ばれる場所周辺での活動があった。だが今回は南側の休止状態が続いていた本白根山が活動したということで意外だ。今回も水蒸気噴火の可能性があるが、状況が確認できていない。一般に雪が積もった状態で噴火があると、土砂などの噴出物が雪を溶かしながら泥流を起こすことがあり、危険だ」と警戒をするように話している。
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