技術先進国なのにいまだに FAX が堂々と生き残っているのは、諸外国から見た日本の七不思議の一つらしいが、マンション管理組合はさらに後れをとっている紙社会だといわれる。重要書類が電子化されていないし管理会社とのやり取りはもっぱら郵便や電話で、集会のスケジュール調整は紙ベースで希望日を確認し組合員同士のコミュニケーションは立ち話だ。ほとんどのお知らせは掲示板のみというのが実態なのだ。これでは住民本位の管理組合運営は不可能で、管理会社も住民間のコミュニケーションは少ない方が主導権を握れるからなのか、IT化に熱心とは言い難いという。マンション管理組合のIT化は単に重要書類保全に必要なだけではなく、住民本位のマンション管理組合運営を実現する鍵となるという。
多くのマンションでは設計図面・構造計算書・確認申請書などの重要書類が、管理人室の片隅に埃をかぶってたたずんでいることが多いが、これらの書類は大規模修繕計画や工事に不可欠であるばかりか、排水管等の応急修理に機械式駐車場の改修など多くの修繕や工事にも必要となる。いざトラブル発生となって探し回ってようやく引っ張り出されるというのはいい方で、いつの間にか紛失してしまっているというケースも少なくないという。劣化したコピーは「ほとんど見えなくなっていた」などという事態になる前に、優先順位を付けながら順次紙資料をデジタル化しておくべきなのだ。 A4 で収まるビジネス書類とは異なり大判の図面が多いのなら大判図面の電子化を引き受ける業者に依頼してデーター化しておくべきなのだ。
通信手段は掲示板に「お知らせ」書類の各戸配布か郵便というのがマンション管理組合運営の現状なのだが、理事同士や組合員同士のコミュニケーションに至っては、会議以外の場ではほとんどなしで、もしあってもせいぜい立ち話といったレベルに留まっている。今年から理事長をやることになったので、マンションがこのレベルなのでまずは理事同士でメールでのやり取りができるようにしてみようと思っている。小規模のマンションなら居住者のメールでやり取りできるようにしておきたいもので、無料メールで管理組合専用のアカウントを作ってそれを使えるようにしたいものなのだ。管理会社のフロントにもメールによるやり取りを求め、やり取りがスピーディーになるし記録が残るので「言った、言わない」というトラブルがなくなるのだ。
理事会議事録も翌日には組合員全員に行き渡り欠席者にも意見を求めることができるし、管理に対する忌憚のない意見や第三者の見積もりなども紹介しやすくらる。必要となれば管理会社を変更する相談も気兼ねなく行えるようになる。管理会社には緊急連絡のために各区分所有者のメールアドレスさえ知っていてもらえば問題ないし、突き詰めて言えば管理組合内のコミュニケーションが質・量・スピードにおいて極めて貧弱であり、それが主人公である住民を無視した管理会社にお任せのマンション管理から抜け出せない主要因となっているのだ。それはマンション同士のネットワークの構築で、私も参加しているが地域によってはインターネットを用いたネットワークができ始めているのが現実なのだ。
あるマンションは独自の「理事会引き継ぎガイドブック」を持っているそうで、一人の理事が孤軍奮闘して作成されたものだが今ではこのマンションのかけがえのない財産となっているそうなのだ。管理会社をはじめエレベーターや機械式駐車場などの緊急対応担当者連絡先など、関連する行政窓口にそのマンション管理における特色や問題点だけでなく、マンション管理の基礎知識など初めて理事になる人にとって一目瞭然でよくわかるガイドブックとなっている。理事会引き継ぎの場面で管理会社のフロント担当者に「マンション管理のいろは」をレクチャーしてもらうのも面白いし、理事会後「理事だけタイム」を確保することも大切で、懸案事項を一通り協議したら管理会社のフロントにはお引き取りいただいて理事だけで話すべきだという。
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