防衛省沖縄防衛局 が発注した沖縄県名護市辺野古沖の海上警備業務に、過大積算があると会計検査院が指摘したことが関係者への取材で分かったという。会計検査院は過去の実績を調査するのだが3年前からの契約4件の予定価格は計約83億円で、すべて東京都渋谷区の警備会社が受注し、ほとんどを下請け業者に再委託している。沖縄県宜野湾市米軍普天間飛行場の移設反対派に対する警備の「特殊性」を口実として、人件費などが過大に見積もられていたというのだ。各契約の一般競争入札は3年前の7月を皮切りに過去4回行われているそうだが、受注社は1件目で予定価格24億790万円に対し23億9481万円で落札するなど、落札率は約98~約99%で推移し100%に近く官製談合が疑われるというのだ。
私も道路工事などで交通整理人として警備員の契約を多く経験しているのだが、委託契約に係る予定価格調書等によると警備業務は各時間帯8時間の3交替制勤務で行うなどとしており、各時間帯において通常時に必要な数の要員を配置し、さらに通常時に配置する要員だけでは対応することが困難な異常事態等の発生時に備えて、各時間帯に交替要員を1名ずつ配置するとしている。そして防衛省沖縄防衛局は委託契約に係る予定価格について保全業務積算基準に基づいて、警備員が正規の勤務時間内に業務を行う場合の8時間当たりの労務単価として公表されている日割基礎単価に、警備ポスト数及び業務日数を乗ずるなどして直接人件費を算定しているということには原則として間違いはない。
午後10時から午前5時までの深夜勤務を含む時間帯については、警備員が正規の勤務時間内に業務を行う場合の8時間当たりの労務単価に、所定の方法で算出した深夜勤務に係る1時間当たりの割増単価を基に算定した深夜勤務に係る割増額を加算するなどして、同時間帯の直接人件費 を算定している。直接人件費に諸経費として直接物品費・業務管理費・一般管理費等を加えて業務価格を算定して、これに消費税を加えて予定価格を積算することもよくあることで、積算基準等によれば割増基礎単価は日割基礎単価から家族手当等を除いたものを、1時間当たりの単価に換算したもので深夜勤務を行う場合の割増しの基礎となる1時間当たりの単価とすることになっている。
深夜勤務に係る割増率を乗ずることによって深夜勤務に係る1時間当たりの割増単価を算出することとされており、この割増率は労使間の協定による取決めなどの特別な理由がない限り100分の25とされていることから、深夜勤務に係る割増額を算定すべきであると認められたというのだ。しかも防衛省沖縄防衛局は交替要員に係る直接人件費の算定に当たり異常事態等の発生時に備えた交替要員を常時配置するとしていたというが、交替要員の配置が必要となる異常事態等はあらかじめ発生回数等を確定することが困難であることから、交替要員を常時配置することを見込んで交替要員に係る直接人件費を算定するのではなく、交替要員を配置した実績に基づき精算することとすべきであるべきだと会計検査院が指摘したというのだ。
辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では移設反対派が作業に向かう車両を阻止し、辺野古沖では移設反対の市民らがカヌーなどに乗って抗議活動を続けており、防衛省沖縄防衛局は埋め立て工事を安全に進めるため海上警備を発注しているのだ。受注社は子会社に業務を一部委託しながら現在も海上警備を行っており、予定価格は警備員の賃金単価に人数や時間を乗じるなどして積算されるのだが、関係者によると会計検査院がこれらの契約を中心に調べたところ防衛省沖縄防衛局の積算単価は非常に高額な設定がされていたわけで、検査院が独自に標準的な単価で積算し直すと予定価格より数億円低くできたという。この件で 防衛省は「検査の過程のため現時点で答えられない」としているという。
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