環境省は中央環境審議会の小委員会でレジ袋有料化の義務づけなど12年後までに、使い捨てプラスチック排出量を25%削減することなどを盛り込んだ戦略の素案を示したという。素案ではレジ袋有料化について中小企業などの状況を踏まえ「必要な措置を講じる」とし、対象となる店舗の範囲などについては関係業界と調整するが、コンビニエンスストアは義務化の対象となる見通しとなっている。プラごみ削減に向け洗顔料などに含まれる微粒子状のマイクロプラスチックの削減徹底や、植物などを原料とした環境に優しいバイオマスプラスチックの利用を約7万トンから最大約200万トンに拡大する目標も示したという。目標に掲げた使い捨てプラスチック削減については比較の対象となる基準年を明示せず今後議論するようだ。
国内では年約 900 万トンのプラスチックごみが排出されており、そのうち約 400 万トンが包装容器やペットボトルにレジ袋といった使い捨てプラスチックとなっている。家庭などから出る一般廃棄物の比率が約 8 割を占めると言われており、そのため環境省は素案の中で使い捨てプラスチックの削減目標を初めて示したというのだ。食品の包装容器の利用削減を含めて使い捨てプラスチックの排出量を10年後には 25% 減らすとしているが、レジ袋の有料化は小売業に義務付ける方針で、国内では年 450 億枚のレジ袋が使われていると推定されている。そのうち 3 割を占めるコンビニにも有料化を求めるというが、小売り各社が注視するのは有料化の対象となる店の業種や規模なのだが詳細は今後の議論で詰められる見通しとなっている。
義務付ける方法については包装材などの削減を義務付ける容器包装リサイクル法の改正が一案となっているという。レジ袋の有料義務化を目指す環境省の動きに対し小売業界は「国が決めるなら従う。早く決めてほしい」と議論の行方を注視する構えだという。自主的な有料化では無料の競合店に客が流れかねないため、政府主導の義務化には歓迎のムードも漂っているそうなのだ。レジ袋の有料化は既に主な総合スーパーで自主的に行われているが、中小の食品スーパーは依然無料の店が多いという。ユニー・ファミリーマートホールディングスの高柳浩二社長は「有料と無料の店が出ると競争上難しい。どうやって足並みをそろえられるかがポイントだ」と話し国の規制などによる一律の有料化が望ましいと指摘している。
レジ袋を使う小売店は衣料品店や家電量販店にドラッグストアなど幅広いが、無料提供を続けるコンビニも環境問題や海外の規制の動きは意識しており、「有料化の流れは止められないだろう。不公平にならないように国に縛ってもらった方がいい」と義務化を望む声が上がっているそうなのだ。不透明なのは料理を持ち帰りできる飲食店や弁当店が含まれるかどうかで、来年10月の消費税増税後は税率8%に据え置かれる持ち帰り弁当類の需要が増えることが見込まれており、外食業が「小売りではない」として除外されればコンビニ業界などの反発は必至だという。「禁止と違い、有料化を法律に位置づける例はあまりなく、今後の課題」との声もあって、義務化を守らない場合の罰則をどのように設けて実効性を持たせるかも課題だという。
海外ではレジ袋について既に禁止や有料化といった対策を始めており、フランスは2年前に禁止し、オランダやポルトガルなどでは有料としている。オランダでは袋 1 枚当たり 34 円程度を課したところ 4 割の削減効果があったというが、国内でも自治体によっては自主的に条例を設けて有料化を進めているという。東京都杉並区ではレジ袋有料化を推進する条例を設けたところ、スーパーではマイバッグの持参率が高まり平均で 34% になったという。また植物などを原料とするバイオ素材のプラスチックの利用を約 200 万トンまで増やすことも考えられており、実用化に向けた開発を進めて 7 万トンから大きく伸ばすという。なお日本は 1 人当たりの使い捨てプラスチックの使用量が米国に次ぐ 2 位だと言われている。
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