家計を直撃するのはなんといっても 8 %から 10 %に引き上げられる今回の消費税増税で、小売業に与える影響を経済評論家は「家電は前回の増税時、駆け込み需要によるバカ売れが目立ちました。今回もそれを狙って、 8 ~ 9 月あたりから家電量販店は価格を上げる可能性がありますから、安易な駆け込み買いは控えたいところです」という。さらにこの消費税増税にはもうひとつ政府の狙いがあって「それは決済のキャッシュレス化です。銀行 ATM は維持費がかかりすぎるため、政府は店舗数を減らしたいのです。政府は消費税増税後、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を使った消費者に対し、購入額の 5 %分をポイントで還元する施策まで検討しています。還元目的に、むやみに買い物をしては本末転倒です」と語っている。
日本では政府による景気判断が 6 年ぶりに「悪化」に転じ GDP 成長率はほぼゼロ成長と試算され、テレビでは軽減税率の特集が組まれコメンテーターが日本の財政赤字の多さを強調しているが、経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子氏は語気を強め「国内総生産に対して借金が 2.5 倍もある日本の財政状況は、立て直す必要があります。いずれ消費税の増税はやむを得ないと思いますが、安倍政権での増税には強く反対します」という。さらに「安倍首相は、ことあるごとに『強い日本を取り戻す』と発言しています。たとえば、 '15 年に“アベノミクスと外交、安全保障政策は表裏一体”と、経済を強くして、国防費を増やすという主旨の発言もしています」として10月からの消費増税には反対だとしている。
昨年 9 月にトランプ大統領は安倍総理との会談後に「日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と発言し、その後 1 機 100 億~ 150 億円もする F35 戦闘機をアメリカから 105 機も購入する予定であることが明らかにしている。経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子氏は「世のため、人のための増税なら理解できますが、私には、安倍首相は富国強兵を目指しているとしか思えません」という。今年の 10 月から幼児教育・保育無償化が始まるがこれも消費税の増税を見越したものだが、「もともと社会保障と税の一体改革のために増税するといわれていたのに、教育無償化することに目的が広がってしまった」とし、子育て世帯にとってはうれしいことだが懸念があるというのだ。
浜教授は「私は、タダより怖いものはないと思っています。政府がより教育に干渉し、森友学園のように、教育勅語を暗記させるような教育が全国に広がることを警戒します。このような 21 世紀版大日本帝国を目論んでいるとしかみえない」という。一方で日本の財政への懸念もあるそうで「不測の事態に陥ったとき、国民や企業をレスキューするのが、国の役割です。そのためにわれわれは税金を払っているのに、現状では、むしろ国が苦しいからといって、国民がレスキューを強いられる。こんなばかな話はありません。本来の役割を果たせるような財政に立て直すことが急務です」とし、その一つの方法が消費増税ではあるが明らかに富裕層しか買わないような物品には 80 %、 90 %の税率をかける等一定の条件がなければならない」という。
そして「国の借金は国債という形で国民や企業の資産になっており、家庭に例えると夫が妻の財産を借りているようなもの。家計の中で、お金は減っても増えてもいません。日本が外国から借金している金額はごくわずかで、ほとんど国民からの借金ですから、家庭内の借金と同じでいま消費増税しないと財政破綻するというのは誤った考えです」と主張している。「 3 %から 5 %への増税の直後に消費が落ち込んだとき、財務省はアジア通貨危機が原因と主張しましたが、デフレになろうとしているときの増税が原因でした」と言い、デフレ下で増税すると消費が落ち込み企業の業績が悪化し賃金はさらに減る。それがさらなる消費の落ち込みを招き収入減だけでなく、失業者の増加や年金不安など深刻なデフレ不況を招くのだという。
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