原発を運営する電力会社と立地する地元との金を巡る後ろくらい関係が明らかになってきているが、関西電力の役員ら20人が7年間に 高浜原発がある福井県高浜町の 故人となった森山栄治元助役 から計約3億2千万円分の金品を受け取っていた問題で、八木誠会長がそれ以前から金品を受け取っていたことがわかったという。10年までの4年間にわたって複数回金品を受け取り金沢国税局の調査が入るころまで自宅で保管していたという。関西電力の岩根茂樹社長も「社長就任時にお祝いというか、手荷物をいただいて。あとで見ると、非常に高額なものなので」と語っていたが、森山元助役は原発関連の工事を請け負う建設会社から金を受け取りその一部が関西電力の経営陣らに流れたとみられている。
この件に関して菅官房長官は記者会見で関西電力の役員らが高浜原発のある福井県高浜町の故人となった森山栄治元助役から金品を受領していた問題を強く批判し、「公益事業を担う事業者は、地元や国民からの信頼が何よりも不可欠だ。不透明な形で長年にわたり金品を受領していたのは大変な問題だ」と述べた。今後の対応について「経済産業が関西電力から詳細に事情聴取し、類似の事例がないかを徹底調査する」と強調し、関西電力には「しっかりと説明責任を果たし、信頼回復を図ることが必要だ」と求めた。経団連の中西宏明会長も記者会見で「詳細な情報が分かっていない」としたうえで、「八木さんも岩根さんもお友達で、うっかり変な悪口も言えないし、いいことも言えない。コメントは勘弁してください」と語ったという。
故人となった森山栄治元助役森山氏に約 3 億円を提供した地元の建設会社は、原発関連工事の受注により売上高を急増させ、 5 年間に少なくとも約 6 倍伸ばしたことが新聞社の取材で分かったそうなのだ。関電原子力事業本部では以前から森山元助役を関西電力の勉強会の講師として招き社内では「先生」などと呼んでいたと説明しているが、勉強会の際には福井県職員も同席していたというから地方行政もこの事件に少しは関係があったようなのだ。森山元助役に資金提供をしていたのは地元の「止した開発」という会社だというが、関西電力の原発関連工事が業務の多くを占め、工事経歴書によると高浜原発や大飯原発の関連工事を少なくとも二十五億円受注していたそうなのだ。
それだけではなく他に調査会社が把握していない売り上げが存在する可能性もあるという。また森山元助役は高浜町役場の助役を務めた後は地元の建設会社の顧問として町内の様々な工事に関わり影響力を持っていたそうで、ある地元の関係者は関西電力としても原発がある町の地元対策を行う上で森山元助役の協力が必要だったという。高浜町の元町議の男性は「吉田開発と森山さんの関係は地元では有名だった。森山さんがいなければ吉田開発は関電関係の工事をここまで受注できなかっただろう」と証言している。吉田開発から森山氏に対しては工事受注に絡む手数料として約三億円が流れていたことが税務調査で判明しているが、さらに森山氏が関電役員らに多額の金品を送っていたことが確認されているそうなのだ。
菅原一秀経済産業相は閣議後の記者会見で「事実だとすれば極めて言語道断。ゆゆしき事態」と関電を非難し、公益事業を担う大手電力会社が起こした今回の事案を問題視し徹底調査などを求めたという。立憲民主党の枝野幸男代表は「関西電力の役員らに対する不正、不当と思われる約3億2千万円の支出の問題は大きな政治課題ではないか。原発マネーという言葉が言われ、原発にまつわる金の話は昔から問題視されてきたが、基本的には原発をつくりたい電力会社側から色んなところに流れていく問題だと思っていた。今回はそのお金の一部がバックマージンとして入ってきているみたいな話。原発推進をしてきた電力会社とそれを後押ししてきた自民党政府の姿勢そのもの、本質にも関わる問題ではないか」と話している。
キーワードサーチ
コメント新着