コーヒーを飲みながら仕事や勉強で疲れた頭を休めるといったことが、来年以降はそんな手軽な気分転換の前に財布との相談が必要になるかもしれないというのだ。コーヒー業界で「 2050 年」問題が注目されているそうで、地球温暖化に伴う生産地の減少と新興国での需要増が重なり、コーヒー豆の需給がひっ迫する懸念が業界に広がっているからだという。赤道直下のインドネシア・スラウェシ島の標高 1000 メートル超の高地で、キーコーヒーが運営する農園で原産地の異なる約 40 種の苗を育てる「実験」が進められているそうなのだ。 コーヒーの国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」と協力し、生育状況を観察して気候変動や病気に強い品種の開発に役立てるのだという。
コーヒーの国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」の報告書で、コーヒー生産の 6 割程度を占める「アラビカ種」の生産に適した土地が 2050 年に半減する危険性を指摘しているというが、業界に問題意識が広まりスターバックスやネスレなど世界的なコーヒー大手も病気に強い品種改良など研究に取り組んでいるという。異常な高温と降雨が関係しているもようでコーヒー豆の供給不足を懸念する声も上がっている。環境変化に強いコーヒー豆の品種改良など企業の取り組みが広がるが、コーヒーの野生種はアラビカ・ロブスタ・リベリカの 3 大原種があって、世界で栽培される 7 割を占めるのがアラビカ種だという。アラビカ種は香りが良く飲みやすいコーヒーに仕上がる一方で病害虫や気温の変化に弱く栽培に手間がかかるとされる。
赤道を中心に北緯約 25 度から南緯約 25 度の間に位置するコーヒーベルトには、約 60 カ国に多くのコーヒー農家が点在しているが、影響は既にコーヒーベルトの生産適地に広がっているそうなのだ。昼夜の寒暖が激しいほど味が良いため標高 500 ~ 2500 メートルの高地で育てられているケースが多く、標高の高い場所で栽培し日夜の温度差によりコーヒーの実が引き締まって味が凝縮されるという。そんなコーヒーの樹は非常に繊細で気温は年平均 20 度ほどの過ごしやすさだけでなく良好な日当たりや水はけの良さなど生育に必要とされる条件が多いという。それだけに地球温暖化の影響がじわじわと忍び寄り、気候変動だけでなく赤道付近特有の雨期と乾期のリズムが崩れ始め深刻な干ばつが生産地を襲っているというのだ。
世界でコーヒーの生産量 1 位のブラジルだけでなく中南米やアフリカなどでも同様の現象が予測されているそうで、この状況が続けば 50 年にアラビカ種のコーヒー栽培に適した土地が現在の 50% にまで縮小するという。コーヒーの国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」が警鐘を鳴らすのがこの「コーヒーの 2050 年問題」だ。そればかりか 30 年前は標高 1800 メートル程度だったのに今は暑さを避けて 2000 メートルまでの高さまで生産地が移っている」と三井物産の担当者は、グアテマラで 30 年以上コーヒーを手掛けるベテラン業者からこんな話を聞いたそうなのだ。もともと、高地での栽培は人件費などコストが高くつくが、温暖化の影響を避けようと生産地の標高を高くすればさらなる価格上昇の圧力にもなるというのだ。
コーヒーの木は年月がたつと実が落ちやすくなり病気にかかりやすくなるが、気候変動で環境が変われば植物の感染症の一種である「さび病」問題が深刻になるという見方も多い。スターバックスコーヒーは病気に強いコーヒーの木の苗の開発を進めており、約 2100 万本の健康なコーヒーの木をさび病などの病気や寿命で古くなった木の差し替え用として生産者に提供しているそうなのだ。加えて懸念されているのが「農家の世界的なコーヒー離れ」だそうで、コーヒー豆は収穫まで 3 ~ 5 年かかるが足元の価格の低迷を受けて農家の転作や耕作放棄が相次いでおり、「生産意欲が減退している農家からいかに安定して買い付けるかが課題」となっているという。すぐさま在庫不足となる状況ではないが在庫減少が価格は不安定にするという。
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