日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が逮捕以降初めて会見を開き逮捕は日産自動車や日本政府が自らを引き下ろすための陰謀だったと非難したが、私の本当なら寝ている時間なのにTVを見ていたのだ。時折汗を拭いながら日本の司法制度に対する批判も熱弁したわけなのだが、レバノンの首都ベイルートで開いた会見の冒頭でどのように日本を出国したかはこの場で明らかにするつもりはないと発言し、自身に対する陰謀には日産の西川広人前社長兼最高経営責任者や川口均前副社長だけでなく、レバノン政府に迷惑がかかるので実名は挙げないとしながら日本政府関係者も関わった陰謀だと訴えていたが、ただし日産幹部らがどういった陰謀を企てたかの詳細については触れなかったという。
会社法違反などの罪で逮捕起訴されたゴーン被告は保釈条件で海外渡航が禁止されていたにも関わらずベイルートへ逃亡しているが、今回の会見では自身の出国が違法であったことは認めた上で「検察も、捜査情報をマスコミにリークするなど 10 件も法を犯している」と反論したという。これをうけて森雅子法相は臨時の記者会見を開き「逃亡を正当化するために、我が国の法制度について誤った事実を殊更に喧伝するもので、到底看過できない」などと述べ、持論を展開するゴーン前会長を厳しく批判した。森法相の会見は前会長の会見終了直後を含め 2 回にわたって行われたが、こうした対応は現地との時差を意識しつつ、際世論に日本の刑事司法制度の正当性を訴え理解を求める狙いがあるとみられている。
森法相は保釈条件に違反して逃亡したにもかかわらずそれを正当化するために日本の法制度や運用について誤った事実を主張していることに対して、臨時の会見で「不法出国したゴーン被告は主張すべきことがあるのなら、我が国の公正な刑事司法手続きの中で主張を尽くし、公正な裁判所の判断を仰ぐことを強く望む」などとするコメントを読み上げ、法務省は日・英・仏の 3 カ国語でホームページに森法相の趣旨を掲載したそうなのだ。ゴーン被告の主張を「抽象的で趣旨が判然とせず、根拠を伴わない」などと指摘したうえで、さらに「人質司法」や「人権侵害」などといったゴーン被告の発言を踏まえ、日本の刑事司法制度に関する説明を繰り返すことに対して、「主張によって国外逃亡が何ら正当化されるものではない」と述べたという。
東京地検の 斎藤隆博次席検事もコメントを発表し「日産と検察により仕組まれた訴追であるとの主張は不合理であり、全く事実に反している」と主張したそうだが、斎藤隆博次席検事は「 130 日間にわたって逮捕・勾留され、保釈条件で妻らとの接触が制限されたのは、高度な逃亡のおそれや、妻を通じて罪証隠滅行為を行ったことが原因でゴーン被告の責任に帰着する」との談話を発表している。法を犯して国外に逃亡したゴーン被告は保釈条件で弁護士の事務所でのみパソコンを使用することが許されていたが、ゴーン被告にバカにされた格好の弘中弁護士は東京地検からゴーン被告が使用してたパソコンやパスポートの提出を求められ、対応を検討すると話していたがパソコンの提出は拒否したそうなのだ。
弁護団によると裁判所の令状を持った地検検察官ら6名が「法律事務所ヒロナカ」を訪れ、ゴーン氏が利用していたパソコン2台の差し押さえをしようとしたそうだが、弁護団は刑事訴訟法に基づく押収拒絶権を行使し事務所に立ち入らせることなく帰ってもらったという。刑訴法 105 条の規定により弁護士は業務上委託を受けて保管または所持する物で他人の秘密に関するものについては押収を拒むことが可能だとされているそうで、弁護団によると押収の対象としたパソコンはこの規定を満たしているということのようなのだ。ゴーン被告が国外に逃亡したことで裁判など行われないと知りながら、裁判の準備をするために使用が認められた唯一の端末で「訴訟の反対当事者である検察官がこれを押収することは違法」と主張したという。
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