世界中で新型コロナウイルス肺炎が猛威を振るっている模様なのだが、中国政府は最初の感染地となった湖北省武漢市など一部都市を封鎖したほか、患者が確認された地域では公共施設の閉鎖だけでなく、海外団体旅行の中止など国民の移動制限に関する対策を次々と発表しているそうなのだ。地元当局が当初に感染情報を公開しなかったこともあり、実態は公式発表以上に深刻ではないかということや、日本でも大流行するのではないかとの不安が広がっている。新型コロナウイルスはその毒性や人から人への感染力など詳細が判明していないことから、新型コロナウイルス肺炎が中国でどのような事態を引き起こして、関係の深い隣国である日本はどのように対策するべきかということで中国の本当の課題が透けて見えるという。
発生してから間もないため人体の免疫力も高まっていないうえにこれまで知られていなかったこの新型ウイルスは、昨年末に武漢市の海鮮市場で違法に取引されていた野生動物から発生したと推測されている。新型肺炎の感染者は中国全土に広がっていることから中国政府は海外への団体旅行を禁じている。ある都市では患者が確認されてはいたものの湖北省とは遠く離れており圧倒的に少ない人数だったが封鎖を発表したところ、湖北省以外の省では初めてで他の都市でも同様の対策が取られるようになる可能性があるため、ニュースは中国全土で衝撃をもって受け止められたという。当然のことながら唐突に封鎖を宣告された市民はパニック状態になったことから当局はその様子を見て慌てて撤回したそうなのだ。
新型コロナウイルスによる肺炎の特徴が世界保健機関や中国の研究チームによる分析で少しずつ明らかになってきたが、発症者の 7 割が 40 歳超という報告があるなど中高年に多く高血圧や糖尿病などの持病がある人はリスクが高いという。患者の主要な症状は発熱やせきに筋肉痛などで発症後しばらくは症状が軽いが、約 1 週間後から悪化して入院する例が多かったという。効果的な治療薬はなく症状を和らげる対症療法が中心で重症者には過剰な免疫反応がみられるという。せきやくしゃみによる感染を防ぐためにマスクの着用は有効だが、着用中や捨てる際にはウイルスが付着している可能性がある外側に触れないことが大切で、加えて「ウイルスを直接触ることによる感染にも注意する必要がある」と指摘されている。
中国の湖北省武漢市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、武漢市への渡航歴のない奈良県の 60 代男性の感染が確認されたことを受け奈良県が会見したが、奈良県は男性がバスの運転手で武漢市からの観光客を乗せていたことを踏まえ、バス車内で感染した可能性が高いとしている。会見によると男性が武漢市からのツアー客を乗せたのは 2 回でバスガイドも同乗していたという。男性はマスクを着用していなかったというがこうした状況を踏まえ「長い時間バスに乗っており、バスが県内に立ち寄った時間は短い」と説明したうえで、「長時間同じ空間にいたため、感染したと考えられる。奈良県内で感染したとは考えにくい」と述べた一方でバスの経路などについては「差し控えたい」と述べたそうなのだ。
また男性と 2 メートル以内で接触した家族や医療関係者らを「濃厚接触者」として確認を進めて経過観察中だとしている。中国以外ではこれまでにベトナムでヒト - ヒト感染によると思われる新型コロナウイルス感染症の事例が出ていたそうなのだが、これに 3 カ国目として日本が加わった形になったというのだ。これまで日本国内で報告されていた 5 例は「武漢からの渡航歴」のある患者で、つまり武漢で感染したことが明白な事例ばかりだったというが、 しかし今回の症例は武漢や中国のそれ以外の地域への渡航歴のない事例ということで、これまでの 5 例とは異なっているというのだ。日本国内でヒト - ヒト感染が起こったと考えられる事例が発生したという点でインパクトの大きい事例と考えられているそうなのだ。
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