様々な事件が起こると政治家のあっせんが問題になってくるが、今回の新型コロナウイルス感染拡大で不足する医療用マスクを巡っても、 自民党の原田義昭前環境相が川崎市の業者に対し自身の選挙区がある 福岡県筑紫地区の医師会などに融通するよう依頼していたことが分かったという。政治家の影響力を使って特定地域のマスク不足解消を図る形となり、公平性の観点から問題視する意見も出そうだ。ある雑誌でも「今度は環境省の大臣経験者ですか。本当に腹立たしいです。国民はおろか医療現場でさえも不足しているというのに。こういうことをすると足りない都道府県にではなく、力のある政治家の地元に資源が流れてしまうことになる。問題ないだなんて見識を疑います」との意見も寄せられていた。
福岡県筑紫地区の医師会側がマスク不足を地元選出の原田義昭前環境相の秘書に相談したところ、自民党の原田義昭前環境相の東京事務所の秘書が今月の上旬に「筑紫の医師会のマスクが不足している」と川崎市の業者に融通するように相談し、医師会側には必要枚数を取りまとめ当事者間で連絡を取るよう伝えたというのだ。自民党の原田義昭前環境相側も対応に問題はなかったとしている。日本医師会は新型コロナウイルス感染症に関する会見を開き医療現場におけるマスク・防護服などの不足や休業要請対象の拡大の必要性などを訴えており、特にマスクや防護服の不足については感染防護服が不十分であることが病院内での感染が立て続けに発生している一つの原因だとしているのだ。
新型コロナウイルスによる医療現場での深刻なマスク不足が続く中で原田義昭前環境大臣が地元の福岡県内の医療団体に高額マスクの販売をあっせんしていたことでは、福岡県西部の筑紫地域の医師会や歯科医師会・薬剤師会の三師会から各会員に対しマスク販売の案内が届いたそうなのだが、入手した「サージカルマスクの有償供給につきまして」と題する医師会が会員に送った FAX には〈この度、前環境大臣、原田よしあき衆議院東京事務所様のご厚意で、サージカルマスクの有償での紹介がございました、 4 層式であり、紹介元もしっかりしていることより、筑紫医師会で一定数購入し、会員医療機関において不足した場合、すぐに手配できるように致します〉とし、購入希望枚数を原則上限なしで連絡するよう記されているという。
医療用マスクであるサージカルマスクは 主に空気中に飛散する飛沫を対象とする感染予防を目的とするマスクで、対象とする粒子径は一般的に 5μm より大きいものとされているが、ウイルスのように感染性病原ウイルスが微粒子で空気中に浮遊している場合、医療用マスクでは対応できないため N95 や DS2 のクラス以上のマスクが使用されるという。マスクの性能を表す指標として細菌濾過効率と微粒子濾過効率があるが、日本ではサージカルマスクについて呼称や性能に関する法令の規定は特になく、過去には感染性呼吸器疾患の流行時に、政府からガイドラインが公表されたことがあるという。医療用マスクであるサージカルマスクは基本的には使い捨てであるが供給が追いつかない場合は滅菌して再利用することもあるという。
原田義昭前環境大臣が福岡県内の医療団体に斡旋した医療用マスクであるサージカルマスクはいずれも販売価格は 1 枚 110 円(税込)となっていたそうなのだが、会員の歯科医師は「この値段は、こちらの弱みに付け込みふっかけているようにしか思えません。歯科医院では 1 人の患者にマスク 1 枚を使います。国から 50 枚を無償提供してもらったが、まったく足りない」と語りもの凄く高い値段だという。原田事務所はマスクの販売の案内を認めた上で「医療機関への早急な情報提供であり口利きにあたるとは到底思えない。筑紫地域の医師会や歯科医師会・薬剤師会が業者と直接値段交渉してもらうようにしています」と説明しているが、こうやって政治家が横領し放題だから市場にマスクが回らない典型だということのようなのだ。
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