昨年 7 月の参院選広島選挙区 において票の取りまとめを依頼する趣旨で、選挙区内の地方議員や首長らに現金を配ったとして検察当局が河井克行前法相と参院広島選挙区で初当選した妻案里氏を公選法違反(買収)の疑いで逮捕した。関係者によると河井夫妻はこれまでの複数回の任意聴取で買収行為を否定しているというのだが、検察当局は地元の議員や首長らを巻き込んだ大規模な買収事件の様相が強まっていることも踏まえ、在宅起訴ではなく逮捕して実態解明を進める必要があると判断したもようだという。前法務大臣の河井克行氏は安倍晋三首相らに近いとされ参院選では自民党本部が案里氏の擁立を主導し資金面を含めて支援しており、安倍政権への打撃は必至だという。
昨年 7 月の参院選広島選挙区では自民党現職の溝手顕正氏と同党新人の案里氏、無所属現職の森本真治氏の 3 人が 2 議席を巡って激戦を展開したが、 1 億 5 千万円の資金提供を受けるなど自民党本部の後押しを受けた案里氏と森本氏が当選し、 6 選を目指した溝手氏が落選した。案里氏が参院選広島選挙区で同党の公認を得た昨年 3 月以降に選挙区となる広島県内の県議や市議・後援会幹部ら計数十人に現金を配ったほか、公選法が原則無報酬と定める陣営関係者らにも現金を渡すなどした疑いがもたれている。検察当局は各地に支持基盤を持つ地方議員らに票の取りまとめや支援の拡大を頼む趣旨で河井夫妻が現金を幅広く配ったとみており、配布先は 100 人近くで総額は約 2500 万円に上るとされている。
河井案里氏の陣営を巡っては車上運動員 14 人に法定を超える報酬計 204 万円を払ったとして、案里氏の公設第 2 秘書立道浩と克行氏の元政策秘書高谷真介の両被告が今年 3 月に同法違反(買収)の罪で起訴されている。広島地検は立道被告について案里氏が失職する連座制適用対象の「組織的選挙運動管理者」に当たるとして「百日裁判」を申請しており、広島地裁は今月に懲役 1 年 6 月執行猶予 5 年の有罪判決を言い渡している。懲役刑は連座制の適用対象で案里氏が失職する可能性が濃厚となっているが、自民党は河井克行前法相と妻の案里氏の離党届を受理したと発表しており、国会閉会後に河井夫妻は案里氏が初当選した昨年7月の参院選を巡る公選法違反事件に絡み離党する意向を固めていた。
今回の問題に「長引いている感がするのは説明聞いてないからでしょうね」と河井夫婦が会見を開き説明していないことに疑問を投げかけた関係者もいるが、さらにTVの番組では今回の判決に自民党の二階俊博幹事長が記者会見で「党や政権に影響はないと言ったら、適当ではないかもしれないが、影響を及ぼすほどの大物議員でもなければ、そんなに大騒ぎするような立場の人の行動でもない。よく本人から説明を聞いて対応したい」と述べたことを紹介し、 番組のコメンテーターも「僕もあんまりだと思います」と指摘していた。さらに「大物、小物は僕には分からないですけど」とした上で河井克行氏について「法務大臣まで務めた方ですからここらへんの言い方はないだろう」と疑問を投げかけていたそうなのだ。
この件では立憲民主党の蓮舫参院議員も自民党の二階幹事長が、河井案里参議院員秘書が執行猶予つき懲役刑を受けたことの記者会見における発言について、「大物ってなに、選挙違反が問われる人物に大物かどうかは関係ありません」とツイートしている。さらに「離党しても、選挙応援で安倍総理が語った河井議員への期待と大義、ならびに自民党からの公認料は変わらぬ事実。大物ではないから、はい終わりとはなりません」とつづっていた。自民党の二階幹事長の自分の責任を回避しようというだけの発言には、実際問題として 1 億 5000 万円もの選挙費用の支出に党の役員が噛んでいないわけがなく、問題なのはこの選挙のテコ入れの中に自民党本部から1億5000万円の資金提供がなされていると指摘していた。
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