私の家にはいまだ支給されていない新型コロナウイルス対策で交付される特別定額給付金なのだが、全ての市職員に新型コロナウイルス対策で交付される特別定額給付金を寄付するよう依頼した 兵庫県加西市で、市立加西病院の職員に寄付が重ねて要請されていたことが分かったそうなのだ。西村和平市長の「強制ではなく、お願いする」との会見の通知を周知するためとするがコロナ対応で負担が増した医療従事者への再びの要請で「より強制に感じる」と反発の声が上がっているという。新型コロナウイルス対策で交付される特別定額給付金を巡っては広島県の湯崎英彦知事が、4月に広島県職員の分をコロナ対策費に充てるとの意向を表明していたが批判を浴びて事実上撤回しているのだ。
兵庫県加西市は「市みんなで支え合う新型コロナウイルス感染症対策基金」を先月に設け、臨時市議会で予算化もして市民や事業所に協力を求めているのだが、 市立加西病院を含む正規職員約600人にも1人10万円を目標に寄付を要望したが庁内から疑問の声があり、5月に会見した西村和平市長は「あくまでお願い」と説明していたという。職員向け電子掲示板で「強制ではない。寄付額などで不利益な扱いはしない」と通知していた。ところが市立加西病院は今月になっても会計年度任用職員を含む職員399人に「基金への寄付について」とする文書を配布し寄付を募っているというのだ。市立加西病院の江指純事務局長は「電子掲示板に加え、重要な連絡は書類でも渡しており、補足しただけ」としている。
市立加西病院は感染症に対応する職員らへの手当の支給を決めたがまだ通知していないそうで、ある病院職員は「医療従事者への感謝が報道される中、不快に感じる」と憤っているそうなのだ。しかも非正規職員 500 人余りにも寄付を呼びかけていたことがわかったそうで、加西市は寄付を「強制ではない」と強調しているが、正規職員に比べて立場の弱い非正規職員にも対象を広げていることを疑問視する声が市内部から出ているという。「非正規公務員」の著書がある地方自治総合研究所の研究員は「新型コロナウイルス対応で、正規・非正規に関係なく公務員の長時間労働が常態化している。人減らしも進み、現場はぎりぎりの状況だ。公務員が率先して身を切り、寄付を差し出すべきだという発想は、今の現実に即していない」という。
市が正規職員とあわせて寄付を呼びかけたのは「会計年度任用職員」と呼ばれる非正規職員。原則 1 年単位の契約で雇用される職員で現在 554 人在職しているそうで、事務補助のほか保育士・幼稚園教諭だけでなく保健師・調理員・看護師ら職種は様々な職種となっている。加西市は 5 月 18 日総務部長名の通達文書で正規・非正規の全職員あてに寄付を呼びかけ今月末に支給される期末手当からの天引き依頼書も添えているそうなのだ。加西市の正規職員の一人は「非正規の職員同士で『私たちも寄付しないといけないのだろうか』と悩んでいる姿をみた」と話し、別の職員は「非正規は雇用が不安定なうえ、賃金格差もある。立場の弱い人たちへの寄付依頼は乱暴な印象を受ける」と疑問視しているという。
加西市の西村和平市長は「非正規職員からも自主的な寄付は受け取るが、正規・非正規問わず、職員に寄付を強制するような考えは全くない」と強調しているが、非正規職員でつくる組合の一つは機関紙で「寄付というのは、個人の意志で『する・しない・金額・方法』などを決めるものです。誰かに言われてするものではありません」と呼びかけているそうなのだ。非正規職員が担う職種は保育士や看護師など市民の生活や健康を維持するために欠かせないうえに、在宅勤務もできない最前線で少ない給与で踏ん張る非正規職員にも寄付を求める施策が妥当なのか加西市は再検討すべきだという労働問題の専門家も多いという。市職員が10万円を受け取ることを念頭に財源確保策を探ることに変わりはなく混乱は続きそうだという。
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