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2020年10月30日
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カテゴリ: 民間航空

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、各国が国境を超える人の往来を禁止、制限した。
 国内を含め旅客需要は激減。
 世界の航空会社が経営危機に瀕している。
 日本の航空大手2社のANAホールディングス(ANA)と日本航空(JAL)も2020年1~3月期の最終損益は赤字。
 両社とも2020年度は需要が回復しないと見込んでいる。
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 2021年3月期第1四半期(20年4~6月)決算は、新型コロナウイルス感染拡大の影響をもろに受け、両社ともに大赤字となった。
 ANA は「四半期では、過去最大の損失」、JALは「経営破綻した09年度決算に次ぐ規模の損失」とコメントを発した。
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 世界の主要航空会社と同様、売上げの低下を補うために借入れを中心に巨額の運転資金の確保を済ませている。
 ANAは政府系金融機関の政策投資銀行から新たに3500億円を調達したうえで、グループ会社を含めた4万2000人を一時帰休させるための資金を政府の雇用調整助成金で賄い、政府への依存度を高めている。
 破綻し政府管理下から再建なったJALは、政府と一定の距離を保とうと雇調金の受給は受けていない。
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 両社は国際線、国内線の割合が半々であり、事業構成は類似、業績低下も類似している。
 にもかかわらず、ANAは大規模なリストラ策を含む事業構造改革を秋までに策定しようとしている。

ANAのコスト削減策(案) の要点
・従業員約1万5000人の給与の引き下げ
・冬季一時金の不支給(冬季は例年月例賃金の2カ月分)
・希望退職制度の退職金の増額と新規募集
・役員報酬のカット幅を11月から拡大
・キャリアアップに向けた活動に使う無給の休業制度の設定(最長2年)
・従業員の一時帰休の継続(4月~)

 今後も不足基調が想定されるパイロットの希望退職制度強化策は提示されていない。
 これらの大幅な人件費の削減案を各労働組合に提示し、協議をすすめる。
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 保有する機材の売却や不採算路線の見直しなどの構造改革も行う。
 ANAは2010年のJALの破綻後に国際線を中心とする路線拡張や機体購入より固定費が拡大した。
 機体は使用せずとも、空港での駐機料、整備費が発生する。
 リースであれば巨額のリース料が発生する。
 使用機材を減らしてきたJALと増やしてきたANAの明暗が分かれる点だ。
 インバウンドの増加と相まってANAの業績の向上に貢献した経営施策が、コロナ禍による旅客数の激減で企業体力を継続的に損なう要因となった。
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最終更新日  2020年10月30日 16時00分06秒
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