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2023年09月04日
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テーマ: ドイツ(630)
カテゴリ: 経済
 現在ドイツの与党はオラフ・ショルツ首相を擁する社会民主党(SPD)、同盟90/緑の党(B90/Gr)、自由民主党(FDP)で構成されている。
 ドイツ経済の発展を謳歌したメルケル前首相時代と異なり、海外からの直接投資が急減しているという。
 経済の不調は、コロナ禍、米中対立、ロシアのウクライナ侵略などに起因するが、他の国々よりドイツは強い反動があった。
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経済がボロボロになっても脱炭素に固執する
プレジデントオンライン / 2023年8月28日 7時15分
  …  (略)  …
■脱ロシア、中国排除で経済停滞は避けられない
 ドイツ経済研究所(IW)によると、ドイツへの投資が減少している主な理由は、同国の電力事情が不安定化していることにある。2022年のドイツは、ロシア発のエネルギーショックが直撃し、歴史的な物価高騰を経験した。一方ショルツ政権は、B90/Grのイニシアチブの下、脱原発・脱炭素・脱ロシアの三兎を追う戦略に邁進した。
 すでにドイツでは消費者物価の上昇は一服したが、ショルツ政権による急激な再エネ・LNGシフトで電力供給が不安定性を高めているため、エネルギー価格がエネルギーショック前の水準に戻る展望は描きにくくなっている。こうした状況から、外資系企業は、ドイツに対する投資に慎重にならざるを得なくなっているようだ。
 ドイツ経済の復調には、外国からの投資流入が必要不可欠である。にもかかわらず、B90/Gr出身のロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候相は、中国を念頭に、ドイツ向け投資に対する規制の強化を模索している。ショルツ首相や経済界は中国との関係を重視しているが、ハーベック副首相はそれとは真逆のスタンスを貫いている。
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■ショルツ政権の足並みを乱す環境政党
 投資政策のみならず、財政政策の在り方に関しても、B90/Grは連立政権の足並みを乱している。ショルツ政権は8月16日、数十億ユーロ規模の法人税を減税することで経済成長を後押しする「成長機会法案」を審議した。自由主義の立場から「小さな政府」を良とするFDPの肝いりの法案だったが、B90/Grの反対で合意に達しなかった。
 より正確には、B90/Grに属するリザ・パウス家族・高齢者・女性・青少年相が、この成長機会法案に基づく減税措置と同時に、児童手当の拡充を声高に求めたため、3党間の合意に達しなかったのである。FDPは小さな政府を良とする立場から減税は支持するが、歳出の拡大には反対の立場である。そのため、議論がまとまらなかったわけだ。
 そもそもショルツ政権は、財政拡張志向の左派の2党(SPDとB90/Gr)と健全財政志向のFDPという「水と油」の関係を内包する連立政権であることから、発足の当初から早々に空中分裂するのでないかという懸念があった。実際にこれまでの政権運営で、FDPは、SPDとB90/Grが志向する政策に対して、たびたび疑義を呈してきた。
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■経済よりも「脱炭素」に固執
 例えばSPDとB90/Grは、電気自動車(EV)シフトを重視する立場だが、FDPの主張を受けて、2035年以降も新車供給に合成燃料(e-fuel)を用いた内燃機関(ICE)車を容認する道が拓かれている。FDPは連立政権の足並みを乱すというよりも、左派勢力による理念先行の政策を、現実的な方向に修正してきたようにも見受けられる。
 SPDは左派政党だが、責任政党としての経験が豊かであり、現実的な対応ができるしかし責任政党としての経験に乏しいB90/Grの場合、SPDとの違いを明確する必要があるとはいえ、理念先行の主張に終始している。これまでのところ、3党連立の足並みを乱しているのは、FDPではなく、むしろB90/Grといって差し支えない。
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■急激な脱炭素政策に、有権者は不満を募らせている
 環境政党あるいはラジカルな環境・エネルギー政策に対して有権者の不満が募っていることは、7月に行われたスペイン総選挙でも明らかとなった。ペドロ・サンチェス首相を擁する中道左派の与党・社会労働党(PSOE)は1議席を増やしたが、最大野党である中道右派の国民党(PP)が48議席を積み増し、第1党に返り咲いたのだ。
 当初は、ラジカルな環境・エネルギー政策を批判する極右政党ヴォックス(VOX)の台頭が予想されたが、同党は結局19議席を失う大敗となった。直前に有権者が、VOXよりも現実的なPPに期待を寄せたことが、VOXの大敗につながったようだ。またPSOEと協力関係にある極左政党スマル(Sumar)も、改選前から7議席を減らし敗北した。
 英国でも、首都ロンドン西部で行われた下院補選で、劣勢が伝えられていた与党の中道右派・保守党の候補が勝利を収めた。保守党の候補が、中道左派のロンドン市長が進める環境対策に対する反対票の受け皿となったわけだ。このように、環境政党あるいはラジカルな環境・エネルギー政策に対する有権者の不満は、各地で確実に高まっている。
  ―  引用終わり  ―
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 ドイツは東西統一で経済の勢いを失ったが、EU結成で勢いを取り戻した。中国への自動車製造の進出でさらに勢いを増した。ロシアからパイプラインで低価格の天然ガスの供給も約束された。これらがすべて裏目に変わった。
 気候変動の激しさなどから低炭素化は社会のトレンドであり続けるだろうが、地球温暖化防止策と経済の折り合いをつけなければ、政治は迷走することになる。失業者が短期間に多数発生するような政策・政党は、国民的支持が得られにくい。
 ドイツの経済不振は社会の不安定化を導き、もともと不安定なフランスとあわせEUは体制の不安定化する。日本にとっても良いことではない。









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最終更新日  2023年09月04日 06時00分13秒
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