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2023年10月18日
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テーマ: 東芝-TOSHIBA-(56)
 2023年9月21日、東芝は日本産業パートナーズ(JIP)など国内連合によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。
 株主による応募比率が、TOB成立に必要な66.7%を上回る78.65%となった。
 TOBで外資、モノいう株主の排除はできても、価値ある組織を外部化した後である経営の現状は変わらない。
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...待ち受ける巨額の融資返済
「物言う株主」決別後も険しい再建への道
2023年10月9日 J-CAST会社ウォッチ
 ようやく厄介払いができても、安心はできそうにない。経営の迷走が続いている東芝のことだ。
 国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などが2023年8月8日~9月20日に実施した東芝に対する株式公開買い付け(TOB)が終了した。ただ、これで日本を代表する名門企業だった東芝が、かつての栄光を取り戻せるか、予断は許さない。
 「多くの株主の皆様に当社の考え方を理解いただけたことに深く感謝する」
 東芝の島田太郎社長は2023年9月21日に発表したコメントでTOB成立を手放しで喜び、今後、株式の非公開化に向けた取り組みを進めていく考えを示した。
 TOBの条件は1株4620円。買い取りに応じたのは、議決権ベースで78.65%。「3分の2以上」としていた成立条件を上回った。
 11月の臨時株主総会でTOBに応じなかった株式を強制的に買い取る手続きをとったうえで、年内にも上場廃止になる見通しだ。
 東芝は1949年から続いてきた上場企業というブランドを失うことになる。財界トップも複数輩出してきた名門にとって、寂しすぎる結果と言える。
島田社長「企業価値向上に向けて尽力」...呪縛から逃れ「安堵感」も?
 名門凋落のきっかけは、2015年に発覚した不正会計問題だ。以降、迷走を続けた経緯は文末の年表の通りで、J-CAST 会社ウォッチでも、末尾のバックナンバーのように繰り返し報じてきた。
 大まかに振り返っておこう。
 最初の不正会計で責任をとって経営陣が退陣した直後、今度は社運をかけて買収したはずの米原子力大手、ウエスチングハウスが巨額の損失を出して経営破綻した。これで東芝は債務超過に陥り、危機を乗り切るため約6000億円の増資に踏み切った。これが迷走のはじまりとなる。
 増資に応じたのは、海外の投資ファンドなど「物言う株主」。東芝は早期の収益還元を迫る株主の要求に振り回され続けた。
 物言う株主を排除しようとした動きはことごとく失敗し、今回、JIP陣営によるTOBでようやく念願が叶うことになる。
 「企業価値向上に向けて尽力していく」。島田社長の明るいコメントの背景には、物言う株主の呪縛から逃れられるという安堵感がある。
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冷ややかな産業界の反応 「名門どころか、いまや二流企業」?
 しかし、産業界の反応は冷ややかだ。なぜか? 事情通はこう解説する。
 「経営危機が続いた東芝は稼ぎ頭だった半導体メモリーや白物家電など主力事業を次々と売却してきた。いま残っている事業はどれも小粒。東芝の経営がパッとしないのは、物言う株主の責任ではない」
 東芝の2023年3月期間の売上高は約3.4兆円。不正発覚前の15年3月期から半減した。収益力も他の電機大手に比べ見劣りしている。「東芝は名門どころか、いまや二流企業」(事情通)なのが実情だ。
 そればかりではない。TOBも今後、経営の重荷となってのしかかってきそうだ。
 米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは9月25日、TOB成立を受け、東芝の長期発行体格付けを「ダブルBマイナス」へと2段階引き下げたと発表した。
 S&Pが問題視したのは、TOBのスキームだ。
 JIP陣営による買収資金は約2兆円。このうち1兆2000億円は、銀行団からの融資で賄っている。この融資の返済は今後、東芝自身が負うことになる。東芝の財務状況が大幅に悪化するのは確実だ。
 「一枚岩とは言えない」とTOB参加企業 今後は国内企業の要求に振り回される?
TOBには今回、オリックスや電子部品大手ロームなど東芝と関連が深い国内企業約20社が参加した。東芝はこうした企業と連携して、経営の立て直しを図る青写真を描く。数年内の再上場も視野に入れているという。
 ただ、参加企業のある幹部は「国内企業の思惑は一様ではなく、一枚岩とはとても言えない」と打ち明ける。「物言う株主」という目の上のたんこぶを排除できた代わりに、今後は国内企業の要求に振り回されることになると見る経済関係者は少なくない。
 こうした事情を考えると、名門復活はまだまだ先の事になりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)
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<東芝年表>
2016年12月 米原発事業での巨額損失を公表
2017年12月 6000億円の第三者割当増資
2020年 1月 子会社で不正会計が発覚
2021年 4月 英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズによる買収提案が判明/車谷暢昭社長辞任、綱川智会長が社長に復帰/CVCが買収提案を事実上撤回
2021年 6月 20年の株主総会の運営が不公正だったとの調査報告書公表/株主総会で永山治・取締役会議長らの取締役再任否決
2021年11月 会社を3分割する方針を公表
2022年 2月 3分割計画を2分割に修正
2022年 3月 綱川智社長が事実上引責辞任、島田太郎氏が後任に就任/臨時株主総会で2分割計画否決
2022年 5月 再建計画の提案締め切り、非上場化8件などの提案
2022年 6月28日 定時株主総会でファンド幹部2人を含む13人の取締役を選任
2022年 7月19日 国内ファンドなど4陣営が2次入札に進む
2022年10月 JIPに優先交渉権
2023年 3月 JIPの買収提案受け入れを取締役会で決定
2023年 9月 JIPによるTOB成立
  ー  引用終わり  ー
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 一流、トップクラスの組織でないと優秀な人材から外部流出する。もちろん一流には給料、年収も重要な要素。
 キオクシア、ダイナブックなど将来稼げそうな目のある分野は、そこを担当する人材とともに東芝から離れていった。
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キオクシアとWD経営統合
3メガなど2兆円の融資で支援-関係者
布施太郎、鈴木英樹
2023年9月20日 Bloomberg
→2兆円の内訳は融資1兆6000億円と融資枠4000億円
→持ち株会社の出資比率はWDが50.5%、キオクシアが49.5%
 キオクシアホールディングスと米ウェスタンデジタル(WD)の経営統合を支援するため、三井住友銀行など3メガバンクが最大2兆円の融資実行に向けて検討に入った。10月半ばに融資を約束するコミットメントレター(融資証明)をキオクシアに提供する方向で融資条件などを詰めている。資金的な裏付けをすることで両社の経営統合を後押しする。複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。
  ー  引用終わり  ー
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 東芝が一流企業であった事実と、現在抜け殻のようになっている可能性とは矛盾しない。過去の幻影にとらわれない立て直しが必要との外部からの見立てが多数派と思われる。レノボやキオクシアは大胆に変化しているが、東芝の変化の柱は今のところ見えない。
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「変化への対応力とスピードが重要」
2023年10月9日  ITmedia ビジネスオンライン
 大手PCメーカー、レノボ・ジャパンの檜山太郎社長は世界初のノート型PC「Dynabook」の立ち上げメンバーの1人だ。日本のノート型PCの歴史や栄枯盛衰を知っている。
 その檜山社長にレノボの戦略や今後の日本市場について聞いた。(武田信晃、アイティメディア今野大一)
●日本市場の位置づけは?
 2005年、IBMのパーソナルコンピューティング事業部と中国レノボが統合し、新生レノボが誕生した。11年にはNECのPC事業を担うNECパーソナルコンピュータとともに「NECレノボ・ジャパングループ」を発足させ、日本での存在感も増している。
 世界でのレノボグループの数字をみると、180市場に7万7000人の従業員がおり、22年度の売上高は625億ドル(9兆3209億円、9月27日現在)に達する。
 調査会社「Canalys」によると、22年のPC世界シェア1位はレノボで23.9%、2位はHPで19.4%、3位はデルで17.4%だ。つまり、世界のPCの約4分の1はレノボ社製ということになる。なお、PCが祖業であるアップルは9.5%で4位につけている。
  …  (略)  …
●経営は「変化への対応力とスピード」が重要
 檜山社長は東芝が発売した世界初のノート型PC「Dynabook」の立ち上げメンバーの1人で、PCの表も裏も知っている人物だ。
 「ずっとIT業界にいますが、今の時代は変化が早すぎて、過去の経営者的な経験が参考になりません。3年後、5年後、10年後に必要な経営者のスキルは、変わっていきます。それまでの経験やいろんな人からアドバイスを受けたりしながら経営的視点を身につけてきました。ですが現在は、変化に対応できるようにするための意識を持つことやスピード感が大事だと思います」
 東芝からレノボという外資系企業に移ったことによって、見えたことはたくさんあるようだ。
 「製造業の基盤が強いので、それまでに培ってきた文化・理念などを大事にしようとしますし、それを守るという意識が強いです。『ルールを守る』と表現すればいいでしょうか。今は基板やルールさえも見直しながら進んでいかないといけない時代に入ってきています。欧米はその辺が進んでいて、新しいアイディアも出てくるのですが、日本は周回遅れの状況です」
  ー  引用終わり  ー









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最終更新日  2023年10月18日 06時00分10秒
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