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「糖尿病の合併症にとって悪いのは、高血糖か、それとも低血糖か?」というディベートのセッションでした。
これは古くて新しくそして深いテーマなんですね。パッと考えると、「糖尿病は治療しなかったら合併症で怖いことになるんでしょ。だったらガンガン治療して血糖値をドンドン下げたらそれでいいんでしょ。」ということになるんですが、実際の我々人間の体というのはそんなに単純には出来ていないんですね。
このセッションでは内科では有名な「アコードスタディ」というものが再々引用されていました。このスタディは糖尿病を厳しくコントロールする強化療法群と、普通の治療を行う通常療法群に分けて総死亡率を見るものだったのですが、なんと厳格に血糖値をコントロールした強化療法群の方が総死亡率が高い!ということが途中で分かり、スタディ自身が打ち切りになりました。
これは、厳格すぎるコントロールは頻繁に低血糖を引き起こし、それがかえって様々な合併症の発症率を高めるということなんですね。眼科の世界でも糖尿病で内科から最初に紹介を頂いた時には全く網膜症がなかったのに、数ヵ月後に再診すると突然激しい網膜症を発症していて驚くことがたまにあります。「糖尿病治療後網膜症」と呼ばれ、急激な血糖値の変動で目がびっくりしてしまって虚血に陥り、それで急激に眼底が悪化すると言われています。
糖尿病の治療は急激過ぎてもいけない、むしろ少し緩めのコントロールの方が結果としてよい、ということなのですが、
「過剰な治療はかえって健康に悪い」
ということは我々医師全員が常に意識していなくてはならない重要なポイントであると、改めて認識を新たにしました。
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