モーリス・デリベレ『色彩』(白水社文庫クセジュ)読了。所有作品一覧でも日記のカテゴリも西洋史関連にしているけれど、本書は、文庫クセジュのカテゴリでは自然科学に分類されている。 「各時代における色の認識」「色の象徴化とことば」など、歴史などいわゆる文系の領域に関わる章もあること、パストゥローの研究で色彩学にも興味をもったこと(これに関連して、色彩学に関する本を読んでパストゥローの研究をより理解できるかと思ったこと)から、西洋史関連、に分類したのだけれど。 まずは、もうどうにも分からなかったところから。化学式が出てくる。フタリミドとイサチン(そもそもこれらがなんなのかさっぱり分からない)。色は、三つの要素で決まるという。「色相」と「純度」と「明度」。これらがなんなのか、ここで記すのは私の力量を超えているので控えたいけれど、簡単にいうと、色は光の波長に対応していて、たとえば(ああ、簡単にはいえなさそうだ…)紫外線、赤外線という言葉がある。これは、人間に知覚できる波長の一方の端が紫(4000オングストローム。オングストロームがどういうものかは今の私には分かりません。いや、光の波長の単位なんだろうけど)で、もう一方の端が赤(7000オングストローム)。で、それぞれの外側(つまり、4000未満と7000より上の波長)が紫外線、赤外線と呼ばれる。で、色がこの波長のある範囲に独占的に割り当てられるところの波長を、「色相」という。「純度」は、薄い色か純粋な色か(白との比)、「明度」は放射される光の量(明るい色か黒っぽい色か)。で、これら三つで色が決定されるようなのだが、計算式がある。これにもうついていけない。インテグラルまで用いられる計算式もある。インテグラル、忘れているよ…。 というんで、このあたりを読むのは正直苦痛だった。理解も殆どできていない。 「各時代における色の認識」の章も、中世に関する記述はほとんど無いといってよい。古代についてはアリストテレスやプラトンの紹介がなされているが、中世は「先の考えをうけつぐことで満足する」(24頁)とあるくらいで、記述はいっきに17世紀にとぶ。これは寂しかった。12世紀は、青色が台頭する時代だというのに。なお、ゲーテは色彩の研究に熱心だったという。このあたりのことはパストゥローのBlue-The history of a colorでふれられていたと思う。 84-86頁の色の効果、第六章「色の象徴化とことば」(87-94頁)は興味深かった。本書でも、フランス人(ヨーロッパ人)の一番のお気に入りの色は青色とある。ついで、赤だそうだ。 緑が、賭博などに使われるということに関する記述もあった。これは、パストゥローの『ヨーロッパの色彩』でも読んでいた記述。知識の補強ができた。でも、その知識をうまく活かせないのが、まだまだ自分の未熟さだと思う。勉強しよう。 でも、今日からはノベルスに力を入れて読んでいこう。「のぽねこミステリ館」というブログ名なのに、最近ミステリに関する話題が少ないので。