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2007.06.30
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筒井康隆『夜のコント・冬のコント』


 18編の短編が収録されています。まずは目次を示して、印象に残った物語について感想を書いていくことにします。

「夢の検閲官」
「カチカチ山事件」
「魚」
「レトリック騒動」
「借金の清算」
「上へ行きたい」

「巨人たち」
「鳶八丈の権」
「火星探検」
「のたくり大臣」
「「聖ジェームズ病院」を歌う猫」
「冬のコント」
「夜のコント」
「最後の喫煙者」
「CINEMAレベル9」
「傾いた世界」
「都市盗掘団」


 ホラーテイストの「魚」も面白いのですが、その次の「レトリック騒動」が良かったです。レトリックが全て現実になってしまうという物語。たとえば、「しょげ返っていた者はみな塩のかかった青菜になった」、といった具合。導入部以外、全て一行あたりの字数が同じで、たたみかけるように前述のような事態が描かれます。こちらも良かったです。
 これはすごい!と思ったのは、「「聖ジェームズ病院」を歌う猫」です。中間試験を控えた中学生の「俺」が、割と飛んでる夢を見るのですが、そこでずっと試験を意識しているということは、試験勉強しているのと同じ価値があるのだ、と夢の登場人物に諭されます。…このラストはうまいなぁと思いました。
「最後の喫煙者」も、風刺がきいていて良かったです。日本中で、喫煙者を撲滅しようとするのですが、ところが…人間の馬鹿な一面を感じられるラストです。
 人工の島に作られた自治体。ところが、その島が傾いていき…という「傾いた世界」も、痛烈な風刺が快かったです。
 面白い短編集でした。

 ちょうど、筒井さんが1993年に断筆宣言した後に出版されていることもあり、解説では、筒井さんの断筆の理由が考察されています。こちらも興味深く読みました。





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Last updated  2007.06.30 07:43:15
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