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2007.07.29
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サマー・アポカリプス

~創元推理文庫、1996年初版(1999年第5版)~

 副題は、「ロシュフォール家殺人事件」。
 矢吹駆シリーズ第二作の長編です。では、内容紹介と感想を。

『バイバイ、エンジェル』事件の終幕について、ナディアがカケルを非難してから一週間。二人は、その公園で話していた。カケルが関心を抱くカタリ派に関する研究を進める、シャルル・シルヴァン教授は、ナディアの友人のジゼール・ロシュフォールが師事する人物だった。カケルは、ジゼールの仲介で、シルヴァンと知り合う。
 カケルは、コルベールの時代に編纂された、カタリ派に関する膨大な記録「ドア文書」の欠落について調べようとしていた。その手掛かりとなりうる史料が、サン・セルナン文書である。カケルは後に、その文書についての論文が掲載された雑誌の関係者と話をする機会をもつことになる。
 カタリ派への関心、シルヴァンが南仏、ラングドックはモンセギュールにカタリ派の研究に趣くこと、ロシュフォール家の邸宅がモンセギュールに近いこと、そして、ジャン=ポール・バルベス警部の実家もまたモンセギュールに近いことから、ナディアとカケルは夏休みに南仏を訪れることになる。なお、ロシュフォール家の当主オーギュスト・ロシュフォールは、シルヴァンが進める、カタリ派の秘宝の発掘調査に資金援助していた。
 カタリ派の伝説の財宝を狙う者には、カタリ派の呪いがかけられるという脅迫状がロシュフォールとシルヴァンに送られ、また、カケルが何者かに銃撃されるという事件が起こってはいたのだが…。
 そして、ヨハネの黙示録に見立てられた事件が起こる。ロシュフォール家を訪れたドイツ人が、その日、殺害された。死者は、岩球と矢によって「二度殺されて」いた。同時に、ロシュフォール家の白馬も殺されていた。

 一方、カケルは、ジゼールの恋人、ジュリアンの姉で、エコロジストのシモーヌとの対談や、サン・セルナン文書に関する調査を進めていく。

 ヨハネの黙示録6章1-8節、四つの生き物(白、赤、黒、青(白い)の4頭の馬)が現れる部分にみたてられた事件も非常に魅力的なのですが、今回は、ドア文書とサン・セルナン文書をめぐる推理をわくわくしながら読みました。
 カタリ派の思想は、ナチスも魅了したとのことで、ナチスに関する解釈も興味深く読みました。
 …カタリ派についても、多少は勉強しているのですが、なかなかそらで語れるほど理解しきれていないので、今回は割愛します。勉強不足を痛感しますね…。
 本作で驚いたのは、最初の方で、『バイバイ、エンジェル』の犯人の名前が挙がるばかりか、その事件の関係者の名前がどんどん出てくることです。後者はともかく、犯人の名前が露骨に書かれているので、『バイバイ、エンジェル』を未読の方は注意が必要です。…というか、読んでいないと、その登場人物についての予備知識がないわけですから、本書を読んでいても分からない部分が出てきます。続けて読んだのに、私には理解しきれていませんが…。残念です…。
 変な言い方になりますが、いまの私には、ミステリとして楽しむのが精一杯でした。





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Last updated  2007.12.13 10:54:25
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