のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2019.09.10
XML


ジャン・リシャール(宮松浩憲訳)『十字軍の精神』

~法政大学出版局、 2004 年~

( Jean Richard, L’esprit de la croisade , Paris, 1957 )

 著者のジャン・リシャールは 1921 年生まれ。パリの国立文書学校、高等研究院で学び、のちはディジョン大学の文学部長や碑銘文学アカデミー会員などを歴任されており、十字軍に関する研究を多く刊行されています。(詳細は訳者あとがき参照。)

本書の構成は次のとおりです。

―――

凡例

日本の読者へ

第一部 叙述

 第一章 十字軍の歴史

 第二章 十字軍の精神

 第三章 テクスト案内

第二部 テクスト

 第一章 呼びかけ

 第二章 応答

 第三章 十字軍のキリスト教徒

付録1 年表

付録2 文献案内

原注

解説に代えて

訳者あとがき

索引

―――

 上記構成のとおり、本書は大きく二部構成となっています。第一部は、十字軍の歴史と概要と「精神」を描き、第二部は、具体的な史料の引用となっています。

 第一部第一章は、まず、十字軍の歴史を概観します。ただし、第一回十字軍では誰がどうして……という通史的な叙述ではなく、十字軍と巡礼の関係や、西欧の防衛といったいくつかの観点からの叙述となっています。


 本書のタイトルと同じ標題の第二章は、「兄弟愛」「イスラーム教徒に対する憎悪、それとも尊敬」、「騎士の名誉」、「金銭上の心配」などの15の観点から、「十字軍の精神」を描きます。


 第三章は、第二部のテクストについてのごく簡単な概要です。


 第二部は、十字軍についての主要な史料の引用となっています。有名な、 1095 年のクレルモン教会会議での教皇ウルバヌス2世による十字軍への呼びかけから始まり、その他の教皇による書簡、文学作品、従事者による記録など、多様な史料が紹介されます。


「解説に代えて」として、訳者である宮松先生による、シンポジウムでの報告「ヨーロッパ史における十字軍―新しい時代へ―」が掲載されています。この報告は、膨大な十字軍の先行研究について、主要研究をもとに簡潔な見取り図を示してくれるほか、こんにちの論点なども提示しており、たいへん興味深いとともに勉強になりました。


 以上、簡単なメモになりましたが、十字軍研究をおさえておくうえで、勉強になる一冊でした。

・西洋史関連(邦訳書)一覧へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2019.09.10 21:59:02
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 第2部第…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 脳科学に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: